2023.01.26
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『つなぐ・つながる』~授業づくり・学級づくり、そして学校づくりの、明日のために~「同僚とつながる」 

新しい年を迎えたと思ったら、もう1月末を迎えようとしています。今年度のゴールを見つめる時期になりました。今年度、共に過ごし、共に学んだ同僚、仲間との「つながり」について考えてみたいと思います。

浜松学院大学 現代コミュニケーション学部 子どもコミュニケーション学科 教授  前浜松学院大学短期大部 幼児教育科 特任講師 川島 隆

早いものです、1月もあっという間 この一年を振り返る

もう1月末を迎えようとしています。
このままだとすぐに年度末が来てしまいそうです。
そんなことを考えているのは、私だけでしょうか。

4月に新しい組織、新しい仲間でスタートした学校もゴール間近なのです。
この一年、自分は、何をしてきたのでしょうか。
この一年、何ができるようになったでしょうか。
自分自身にどんな成長があったでしょうか。

そのように思い返すと、自分だけではできなかったことが沢山あることに気付きます。
学年の仲間、先輩、上司、保護者、そして、子どもたちがいてくれてできたこと、できるようになったことが多いんじゃないかと。
とりわけ、共に学ぶ「同僚」の存在は、実に大きな影響を自分にもたらしてくれるんじゃないかと思います。
仲間とのつながり、大事にしたいですね。

ということで、今回は、職場で共に働く「仲間」との「つながり」について考えてみたいと思います。

昭和の時代の学校で

私が教員になったのは、昭和の終わり頃。
教職員数50名を超える大規模校。
校舎も、低学年、中学年、高学年、そして、管理棟と4つに分かれていて、学年が違うと、全く顔も合わせない方もいらっしゃいました。
そのような中ですが、否、そのような中だからこそ、学年集団の先生方との「つながり」は太く、その先生方から学んだことが今の自分を創ってくれているのだと言えるほどです。
仲間、同僚というよりも、皆が先輩であり、先生でした。

先輩から掛けてもらった言葉の「本当の意味」

初任のころ、こんな声を掛けてもらいました。

「朝は、一番に出勤するんだよ」
「夜は、一番最後までいるんだよ」
「朝来たら、先生方の机を拭き、お茶を入れ、校舎の窓を開けて回るといい」
「印刷する役は(自分の仕事でなくても)、買って出なさい」

今だったら、全てNGになってしまうのでしょうか。
でも、それぞれの言葉には意味があるのです。

朝から夜までいるのは、先輩が朝、出勤して、まず何をするのか、すべきかを見て学べという教えです。
そして、退勤までに何をするのかを学べという教えです。
一つ、一つ、声を掛けてくれて丁寧に説明してくれるわけじゃないのです。
働く先輩の背中を見て、自分で学べということです。

先輩の机を拭くのも、お茶を入れるのもそのことが目的ではありません。
机の上に何があるのか、そこから、先生方は、今、どんな仕事をどのように進めているのかを学びなさいという教えなのです。

そして、窓を開けることも、開けていけば、もちろん気持ちもいいのですが、いろいろな教室の学級経営の具体を廊下や教室内で見ることができます。
誰もいない場で、教室経営を学ぶ時間になるのです。

様々な印刷物を、買って出るのも、同じです。
印刷するものに、学ぶものが詰まっているのです。
学級通信があれば、学級経営が見え、授業で活用するプリントがあれば、授業づくりが見えてくるのです。

人の時間を奪ってはならない 時を守ること

そんな学校で、会議というと、部屋にいっぱいの先生方がそろいます。
ある職員会議のときです。
子どもの下校指導時に、どうしても個別に話をせねばならない状況になってしまい、汗をかきかき、駆け足で向かいました。

でもなんとか、会議室前に、開始3分前に到着。
「よかった。会議に間に合った」
と、胸をなでおろしながら、ドアを開けると、もうすでにほぼ全員の先生方が整然と席に着いているではありませんか。

何か、遅刻してしまったような罪悪感を抱きながら、「すみません」
と言って席に着きました。

人を待たせてはいけない、人の大切な時間を奪ってはならない、「時間」を守るなど、当たり前のことです。
ましては、子どもにそのことを指導している教師です。
だから、皆、自らゆとりをもって時間を守って行動しているのです。
あわてて駆け込むなどないのです。

後日、会議前の先生方の様子を観察していると、10分前には、席についている方もいて、他の先生方と情報交換をしたり、資料を先読みして書き込みをしたり、会議にいつでも入れる「心の準備」をしているようでした。

そして、みんなの時間を守るのだという気持ちが伝わってくるのでした。
会議の時間は、自分がそこにいるという自分の時間でもありますが、みんなで同じ時間を共有するという「みんなの時間」なんですね。

校長先生の教え

「時を守り、場を清め、礼を正す」とは、森 信三 氏の教えの一つです。
今でこそ、耳タコの言葉になりましたが、(私自身も指導で使いますが)会議の席上、校長先生から、この言葉についてお話がありました。
この時に、なぜ語られたのか、背景ははっきりと記憶しておりませんが、この言葉のみがずっと心に残っています。
この話を伺ったとき、本当にドキッとしました。
自分は、どこまでできているのだろう、と不安にもなりました。

だれもが私の先生だから

先輩、後輩、若手にベテラン、様々な教職員が働く学校ですが、それぞれの人との「つながり」を大事にしたいと思います。
だれもが私の先生だからです。

川島 隆(かわしま たかし)

浜松学院大学 現代コミュニケーション学部 子どもコミュニケーション学科 教授
前浜松学院大学短期大部 幼児教育科 特任講師


2020年度まで静岡県内公立小学校に勤務し、2021年度から大学教員として、幼稚園教諭・保育士、小学校・特別支援学校教員を目指す学生の指導・支援にあたっています。幼小接続の在り方や成長実感を伴う教師の力量形成を中心に、教育現場に貢献できる研究と教育に微力ながら力を尽くしていきたいと考えております。

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