2023.03.11
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学期末・学年末のいろいろ(通知表/あゆみの渡し方等)

学年を終えるときの細々としたことって、意外とウエブ上に情報ないかもと思って、自分のやり方を書きとめることにしました。最後にやる学習や、教室じまい、私物の片づけ等々。よかったら、参考にしてください。

東京都内公立学校教諭 林 真未

①漢字全問テスト

私は、年間を通じて、漢字を単元とはリンクさせずに淡々と一時間に着き二文字ずつ進めて行っちゃいます。そうすると、年内には全漢字の学習が終わります。
そのあと漢字全問テストをして、間違えたところは個別に練習プリントで覚えます。
個別と言っても、漢字練習プリントのテンプレートを作って、個人の名前と間違った漢字を書き込むだけです。この個人練習プリントをしている間は、全問正解の人たちは漢字宿題はありません。
そして最後、3月に入ったら、また全員に漢字全問テストをします。まちがえたところは学年が終わるまでに再テストを繰り返してクリアさせます。
もしそれでも終わらなかったら、覚えられなかった漢字は、春休みの課題。

2年生の場合は、算数のかけ算九九も、学年が終わるまでに覚えさせたいですよね。

②学習成果物のまとめ袋を作る

学習の成果物で、日々のプリントやかさばる物はすぐに返しちゃいますが、「これはおうちでとっておきたいだろうなあ」と思う作品は、年間を通じて預かっておきます。 
私費会計で、ひとり@90円くらいの不織布の大袋を買って、そこに溜めていた作品を次々に配って入れさせます。
これは、最後の日に通知表/あゆみと一緒に持たせます。
こうしておけば、通知表/あゆみの成績が思わしくなくても、たくさんの成果物に目が眩んで(笑)、子どもが怒られなくてすむんじゃないかと思って。
それに、保護者も一通り見た後もとの袋に戻せば、クローゼットの端っこにすぐしまえると思って……。

③学年便りで思いを伝える

「お子さんが何をどうがんばったかの記録です」なんて優等生的な呼びかけもむなしく、通知表/歩みを受け取った保護者は、〇が「よくできる」「できる」「もうすこし」のどこに何個ついているかしか見ません。
無駄な抵抗とほのかに感じつつ、それでも、私は毎年、学年便りで「お子さんのすばらしさは、通知表/あゆみの紙の上だけでは伝えきれません」「お子さんがそこにいるということそれ自体が大きなことそれにくらべれば、成績なんて薄皮饅頭の皮くらいの薄さです」と伝えます。

これはもちろん、上記の作品袋同様、保護者が通知表/あゆみに注目しすぎるのを避けるためです。
自分がだいたいどのくらいできるかなんて、子ども本人が一番よく知っている。わざわざ紙に書いて渡さなくてもいいとさえ、私は思っています。

よく考えてみてください。その後の長い人生に、小学校の通知表/あゆみの〇の位置なんて、必要ありません。それより、1年間の小さな瞬間の積み重ね、なにげないやりとりの繰り返しこそ、宝物みたいに大切なもの。

保護者にはそこに注目してほしいです。

④めあてのふりかえり      

学期のはじめに立てためあても振り返らなくちゃ。私はめあての裏面にふりかえりを書かせていました。でも今考えたら、最初から振り返りの欄を表に設けておけばよかったかも。
通知表/あゆみの行動評価も、私は子どもに自己評価してもらいます。
もちろん、自分に甘い子や厳しすぎる子もいるので、
「これはさすがにちがうぞ、と思ったら、先生が変えちゃいます」
と宣言しつつ。
でも、彼らの自己評価は驚くほど正確なので、ほとんど直すところはありません。

⑤教室じまい

教室じまいは計画的にやるのが肝心です。週案は3月当初に最後まで立ててしまうことをお勧めします。そうすると、時程の過不足がわかるので、すべての科目が順調に終わるよう調整し、見通しをもって日々を過ごすことができます。そこに学習用品の持ち帰り計画も書き込みます。

学習の仕上げと並行して自分の荷物も整理します。これは、クラスの子どもたちが手伝うのが大好きな仕事です。

まず、段ボールや旅行バッグを用意しておきます。
次に、教室おきのものと、次の教室に持っていくものに分けておきます。
教室置きのものはそのまま、次の教室に持っていくものは、種類や場所、入っていた引き出しごとにビニール袋にまとめます。
こうすれば、そのまま新しい教室の同様のところに迷わずしまえるからです。
余っている文房具や画用紙などは、丁寧に少しずつ戻します。一気にどばーっと戻したら、事務室に迷惑がかかっちゃいますからね。

私物の本と、教室置きの本の仕分けも、子どもたちの大すきな仕事なのでお任せしちゃうことが多いです。

子どものほうはといえば、まず、お道具箱等を持ち帰らせて、まず自分の机・ロッカーを空っぽに。そしてそれらと下駄箱をしっかり拭く。次に、早い子には、教室の箒と塵取りをお願いします。
それから、机を外に出して、雑巾がけ大会。床だけでなく、棚や壁、ドアや窓のさんなど、みんな自分から雑巾が必要な場所を見つけ出して頑張ります。日程をにらみつつ、できればワックスがかけられる状態にしてもらいます。

これはトータルで2時間くらいあればできます。

⑥お楽しみ会

お楽しみ会ももちろんやります。
ほんとうはちゃんとやる時間を確保して計画しているのに、子どもには
「みんなが頑張ってお勉強したから、時間が余って、ドッジボールが1時間たっぷりできるよ!」
とか言って喜ばせちゃいます。そしたら、目をハート♡にして感謝してくれるから、低学年はかわいいです。
 
もちろん、ドッジボール以外のレクもやります。それらを決めるのが最後の学級会。
先に掃除をすませて、広くなった教室と予め抑えておいた校庭を使って、たっぷり2時間、お楽しみ会をします。

⑦通知表/あゆみ渡し

管理職の先生から
「通知表/あゆみは一人一人にその子の頑張ったことや課題を伝えながら渡しなさい」
と言われるのだけれど、それを30人繰り返すのは、けっこうな時間がかかります。お友達の大事な場面を見守ろう、という指導が正しいのだと思いますが、私は、見ている子どもたちはさすがに退屈なんじゃないかなあ、と思ってしまう。
そこで、私は動画を見せながら、一人一人呼び出していきます。

私が流す動画の定番は「長くつ下のピッピ」。リンドグレーンの名作を1970年代にスエ―デンで実写化したDVD(YouTubeにもありました)。もう完全に私の趣味で選んでいます。

実は、最後の最後に、学年が変わってお別れしても、「これからも、ピッピみたいにものおじしないで生きていってほしい」という願いを込めているのです。

林 真未(はやし まみ)

東京都内公立学校教諭
カナダライアソン大学認定ファミリーライフエデュケーター(家族支援職)
特定非営利活動法人手をつなご(子育て支援NPO)理事


家族(子育て)支援者と小学校教員をしています。両方の世界を知る身として、家族は学校を、学校は家族を、もっと理解しあえたらいい、と日々痛感しています。
著書『困ったらここへおいでよ。日常生活支援サポートハウスの奇跡』(東京シューレ出版)
『子どものやる気をどんどん引き出す!低学年担任のためのマジックフレーズ』(明治図書出版)
ブログ「家族支援と子育て支援」:https://flejapan.com/

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