2023.01.25
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

自分へ手紙を書いてみよう

3学期になりました。
学校の先生の仕事は、突き詰めれば突き詰めるほど、子どもたちのためになっていることも多いですが、実は先生の心の負担になっていることもあるようにも感じています。
「先生はやりがいのある仕事だけれど、ストレスの多い仕事」
と、自分でも理解していても、どこかで自分の心は放置していることもあるのかもしれません。
どこかで自分の心と向き合い、負担に気が付くことが必要になってくるのではないでしょうか?
今回は「自分へ手紙を書いてみよう」というタイトルで、少し自分の気持ちに向き合ってみたいと思います。もし、お付き合い頂ける方は、何枚かの便箋と筆記用具をご用意いただき、お読みください。
今回の記事もよろしくお願いいたします。

信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭 丸山 裕也

自分に向けた手紙

元々は、ある中学校で生徒に取り組んで貰う課題として、私の所属していたカウンセリング研究会の仲間と一緒に作ったものです。
もちろん、学級で取り組んでみても面白いかもしれません。
やり方や内容は子どもの発達段階や実態に合わせても構いません。
これから記載するのは、この記事を読んでくださっている方が、学校の先生だったり、その関係者だったり、大人だと仮定して作ったものです。

①普通の手紙と同じように、書き出してみましょう。
「拝啓 ○○さん 最近はめっきり寒くなってきました。風邪などひいていないですか?」といった具合に書いてみましょう。難しく書く必要はありません。間違っていてもいいんです。読むのは自分だけです。

②最近、あった出来事を書いてみましょう。
嬉しかったこと、楽しかったこと、自慢できることがあったらどんどん書きましょう。
例えば私であれば、このように書くと思います。
「先日、テレビに自宅近くが映りました。その番組を見て家族で盛り上がりました。友達とご飯を食べに行きました。そこで食べた料理がおいしかったです。それにおみくじを引いたら大吉でした」

③もし、辛くて吐き出したいことがあるのであれば、それを書いてもいいです。
ただ、たくさんは書かず、1,2個に留めておきましょう。
「仕事では、書類を忘れてしまって怒られてしまいました。また、最近は雪も多くて雪かきが大変です」

④最後は文末になります
「お身体ご自愛ください。益々のご活躍をお祈りしております」など結びの言葉を忘れずに書いておきましょう。

書き上げたら、すぐに読むのではなく机の引き出しに仕舞っておきましょう。
やってみると、意外と簡単にできてしまうのではないでしょうか?
少し恥ずかしい気持ちもあるかもしれませんね。
もし書くのが難しいと思ったら、もっと気楽に取り組んでみましょう。繰り返しますが、読むのは自分だけです。丁寧に書く必要なんてありません。

自分に向けた手紙に、自分で返事を書く

さて、机の引き出しに仕舞ってしばらく経ちました。内容のことはうすぼんやりと覚えているくらいになったころ、手紙を読んでみましょう。
読んでみると、少し時間をおいた「自分に向けた手紙」には、書いた時の自分が思った以上に、整理された自分の気持ちが書かれていたのではないでしょうか。
手紙を書くという行為を通すと、頭の中でもやもや考えていたことが、整理された状態になることが多いようです。そして、その手紙を読むという行為を通すと、客観的にその事象に向き合えることもあるようです。

さて、返事を書くとどのようになっていくのでしょうか?
自分に向けた手紙に、自分で返事を書くというのは変に感じるかもしれませんが、やってみましょう。

①まずは、普通の手紙の返事のように書き出してみましょう。
「拝啓 ○○さん 先日はお手紙ありがとうございました。確かに最近寒いですね」と、こんな内容で大丈夫です。

②手紙に書いてあったことに、リアクションをしてみましょう。
全てにリアクションする必要はなく、反応しやすい内容を選んで書いてみるといいかもしれません。
「書類、忘れてしまうこともありますよね。通知が来るようにスマホのカレンダー機能に入れておくといいかもしれません。おみくじの大吉、すごいですね。きっと今年はいいことありそうですね。自宅近くが映ったとのこと、凄いですね。今度みんなに自慢できますね」

③最後は文末になります。
これは、最初の手紙と同じように
「お身体ご自愛ください。益々のご活躍をお祈りしております」など結びの言葉を書いておきましょう。

同じように、机の引き出しに仕舞っておいて、内容を少し忘れたころに読んでみます。すると、今度は手紙に書いたことに対するリアクションが、整頓された状態で手紙に書かれていることに気が付くのではないでしょうか。

例えば、スマホの通知機能を使おうと思っていても、頭の中で考えているだけでは、つい忘れてしまうこともありますよね。
おみくじで、大吉をひいたことも、頭の片隅にあるだけでは忘れてしまいますよね。
テレビで自宅の近くが映るって、凄いことですよね。でもみんなに自慢する前に忘れているかもしれませんね。
これらを手紙で読むことで整理された状態で、再認識することができるのではないでしょうか。
手紙を介在することで、自分の心や頭の中を整理し、見つめなおすことができると、私は考えています。
頭の片隅にあった情報を、再活用できる状態に戻すことができるとも思っています。
書く時間も必要ですし、少し面倒に思うかもしれませんが、やってみると意外に楽しかったりもします。
忙しい時だからこそ、自分の心に向き合うことも考えていきましょう。

丸山 裕也(まるやま ゆうや)

信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭
公認心理師、学校心理士、障害者スポーツ指導員(初級)、福祉用具専門相談員
「あした、またがっこうでね。」と、子どもも教師も伝え合うことができるような、楽しい学級づくりを目指しています。また、障害のある子どもたちの心の健康について、教育と心理の二面からアプローチしていく方法を考えています。
特別支援学校で出会ってきた子どもたちとの学びを、皆さんにお伝えしていきたいと思っています。


ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop