2016.05.17
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学習のルール「あいうえお」

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV) 関田 聖和

 大型連休が終わり,学級づくり再スタートではないでしょうか。

システムの再見直しは,終わりましたか。そして,学習は……。

 私は,クラスを学習をすることが,進めることができる

「学習集団」

にしたいと,考えてきました。

 また,

 学習集団づくりをする中で,学級集団ができあがってくる

と考えています。

 学級集団づくりは,学級の子どもが

一斉に揃って何か活動をする

という意味ではありません。

 子どもたち一人一人が,自分の個性や特性を活かして,

 

力をつけ伸びていく仲間のこと

を指しています。それぞれの将来の夢や身近な目標などに一生懸命に取り組みながら,

一緒に過ごしていくことです。

 ドラゴンボールなら,いわゆるZ戦士の集まり(笑)

 ONE PIECEで言うなら,麦わら海賊団の面々のような集まりです(笑)

まあ,中には,新世界の猛者たち大集合のクラスもありますが……(苦笑)

 

 学習集団に話を戻すと,集団をつくるには,

分かりやすい,学習のルール

が,必要だと考えています。

 子どもたちに分かりやすくが,ポイントです。

 私は,クラスの子どもたちに以下の話をよくしてきました。

 

 

 学習のルール「あいうえお」

「あ」……「あいての顔を見て」

 話している人は,聞いている人の顔を見ながら話し,

聞いている人は,話している人の顔を見ながら聞くことです。

 授業のでの話し合いなどは,真剣にお互いの目を見つめながらしたいです。

その方が勉強もよく分かります。

 そっぽを向いて話されて,そっぽを向いて話を聞かされたら,

どのように感じるでしょうか。話し合いの雰囲気も崩れてしまいます。

 

 

「い」……「いつでもまず返事」

 「はい。」と元気に返事をすることは,「自分は,ここにいます。」と,

存在を知らせるということ。そして,相手の心に応えるという働きがあります。

 そっと呼ばれたら,そっと返事をし,大きな声で呼ばれたら,大きな声で

返事をしたいものです。

 当たり前のような話ですが,これが合わないと,とてもちぐはぐになり,

相手に失礼になることもあります。

 いつでも,どこでも,堂々と返事をさせたいものです。

おうちに帰っても,呼ばれたら必ず返事をさせたいです。

 

 

「う」……「うなずきながら聴く」

 真剣な目を向けて,うなずきながら話を聴いてくれる友だちがいたら,

つい話している子どもは,その友だちを見ながら話をしたくなってきます。

 これは,聞き手が話し手に対して,親しみをもち,同じ考えだなあとか,

自分の考えと比べてみてどうかなあと考えているのでしょうね。

 発表の苦手な人や言おうとしている意見に少し自信が無いときに,

聴いている仲間が,うなずきながら聴いてくれていたら,

その子どもには,どれだけの励みになり,ほっとするでしょう。

 「聞く」から「聴く」へ。そして,時には,「訊く」こともでき,

それが当たり前になってくると,学習集団へと「効いて」きます。

そしてよりハイレベルの集団となって,活動にも応用が「利いて」

きます。だからこれは,良い聴き手となるために忘れてはならない

子ども同士の心遣いです。

 また自分の思っていること,考えていることを精一杯,

語り合える教室にするための大切な条件です。

 一人の話がクラス全員の友だちに響いている。

これは,このようなうなずきがあるときでしょう。

早く,そのような教室にしたいと,考えてきました。

 

 

「え」……「笑顔で反対」

 反対意見を言うときは,とかく攻撃的な態度になりやすいものです。

反対意見を言うということは,相手と対立するということだからです。

 でも,よりよい考えを生み出すためには,常に反対の考えが必要です。

 本当の意味での反対は,反対のための反対ではなく,

よりよい進歩と発展のために,しなくてはいけません。

 つまり,「人と意見を区別すること」が」大事になります。

これは,人権教育の視点の一つとも言えるでしょう。

 とげとげしい反対意見が出てくる時もあるでしょう。

クラスの子ども自身の感情を悪くするだけでなく,

正しい判断,正しい考えを邪魔してしまうこともあります。

ここは,ぶれずに指導したいところです。

 だからこそ,子ども同士が,意見に反対するときこそ,気分をやわらげて,笑顔で行わせたいです。

 

 

「お」……「おかしくても笑わない」

 先生のギャグを笑ってはいけないということではありません(笑)

話をしたがらない,発表を苦手とする子どもにそのわけを尋ねると,

その多くが,

「笑われるのが,いやだから。」

とこたえます。

 失敗や間違ったことがあるからこそ,学校に毎日勉強をしに来ているのですが……。

 この場合の「笑われる」は,馬鹿にされたり,

「なんや,あいつ,あんなんも分からへんのか!」

と受け取ってしまうことです。

 間違った答えや少し足りない答えは,

クラスのみんなで考えていくためのきっかけ

となるので,歓迎したい意見ですよね。

 そういう意味で,こういった間違った意見などは,

「ナイス間違い」

なのです。そして,その意見をさらにすぐれた考えに,みんなで高めていくのです。

 そのためには,温かい雰囲気の話し合いを進めてほしいものです。

また,「笑われても気にしない」という強さも身につけてほしいです。

 

 

なんといっても,授業が第一義

 学校は,学習するところです。だから,学習抜きでは,考えられません。

学習する時間は,授業の時間です。だから,教師は,素材・教材研究をし,場合によっては,

遅くまで,ああでもない,こうでもないと,考えをめぐらせます。

 授業づくりと両輪でもある学習集団づくり……。

子どもたち一人ひとりが自分の個性・特性を活かして,自立して取り組んでいくことが

できるように育てたいものです。もちろん,自立は,他律的自立も含めた上で……。

 

 

 
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関田 聖和(せきだ きよかず)

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。

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