ここ数年、担当する学級で「辞書引き学習」に取り組んでいます。「辞書引き学習」とは、中部大学准教授でいらっしゃる深谷圭助先生が提唱されている学習方法で、国語辞典の中から知っている言葉を探し、見つけた言葉にふせんを貼っていくという学習法です。この学習法により、子どもたちの言葉に対する興味関心が高まり、さらには学習に進んで取り組む姿勢が身に付くことが報告されています。私も深谷先生にご指導をいただきながら数年間、辞書引き学習に取り組んできました。
今年度担当になった3年生は、国語辞典の学習がスタートする学年です。今年も新たに辞書引き学習をスタートすることにしました。子どもたちに辞書引き学習について話すと、すぐにでも始めたいと話していました。
授業のスタートでは、まず国語辞典は何のために使うのかということを話し合いました。子どもたちからは、
「知らない言葉を知るため」
「漢字が分からなくなった時に調べる」
「意味が分からない時に調べる」
という発言がありました。そこで、私の方から、「まずは、辞書から知っている言葉を見つけてみよう」と投げかけました。子どもたちは、ちょっとびっくりした様子で、「先生、知っている言葉を見つけるのですか?」と半信半疑でした。「知っている言葉にどんどん付箋をつけていくことで、その言葉にもっと詳しくなるし、その言葉の近くにある言葉にも目がいくようになるよ。」と説明して、早速辞書引き学習に取り組ませました。
最初は、戸惑っていた子どもたちも数枚ふせんを付け始めると、すぐに活動がおもしろくなり、どんどんふせんを付け始めました。
「先生、知っている言葉があったよ」
「先生、イラストが載っているページもあるよ」
「先生、今理科で勉強しているチョウのことが載っていたよ」
など、うれしそうに感想を述べながら活動を行うことができました。たった30分ぐらいの時間で100枚以上のふせんを貼った子も出ました。子どもたちをこれほど夢中にさせる辞書はすごいと改めて感じました。子どもたちは、辞書を家庭にも持ち帰り辞書引き学習に取り組んでいます。
今年度は、辞書引き学習をさらに豊かにしていくために、各教科等の授業とも連動させて、積極的に辞書を活用していきたいと考えています。また、「辞書引きカード」を作り、子どもたちのがんばりを認めていくこともはじめてみました。100枚ふせんを貼るごとにシールを貼り、3000枚達成で「辞書引きマスター」に認定するようにしました。すぐに辞書引きマスターが登場してしまいそうなので、さらに次のカードも用意するつもりです。また、今年度はうれしいことに同じ3年生の2クラスでも実践してくださることになりました。よい意味で競い合いながら辞書引き学習を進めていきたいと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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