授業づくりは何から始める? 一人ひとりの学びを見取る授業の作り方
さまざまな地域の学校へ行き、授業を参観したり授業者の先生と交流したりする機会が増えました。
多くの実践に触れながら自分自身の勉強不足なところや、先生方の熱量を感じています。
その中で感じたことを書こうと思います。
岡山県赤磐市立桜が丘小学校 指導教諭 古市 剛大
算数の授業で感じたこと
先日ある学校で授業を参観させてもらいました。
算数の授業だったのですが、書く時間が長いなあと感じてしまいました。まず、考え方の説明をノートに書かせていました。それを共有した後、さらに友達の考えを受けて、もう一度説明を書かせていました。もちろん子どもたちは、図を使ったり言葉を補ったりなど、友達の考えを取り入れながらより伝わりやすい説明を書きあげていました。
授業後にその先生に「どうしてあんなに書く活動を多く入れたのですか?」と聞きました。
すると、
「実は子どもたち、計算ができているようで本当はできていないかもしれないんです」
「どういうことですか?」
「問題にある数字を単に当てはめて式にしている子が多いんです。テストを見てそうかなって思って。だから、なぜそう考えたのか、どうしてそうなるのかをちゃんと考えて確信をもって取り組んでほしいなと思って説明メインの授業にしたんです」
その話を聞いて、私はすごくうれしくなりました。
子どもの実態から
まず、授業づくりを「子どもの実態」から始めていることです。
よい授業とは、誰にとってのものか。私は「子ども」だと思っています。どんなに優れた手法や考え方でも、それが目の前の子どもの課題に合っていなければ取り入れる必要性は少ないと思います。「子どものどの力を伸ばしたいのか」「何が不足しているのか」をしっかり見取り、それに合う授業をデザインすることが重要です。そこを先生自身が説明できるって素敵です。
一人ひとりの学びの把握
次に、子ども一人ひとりの学びを正確に見取ろうとしていることです。もしこの授業で、考え方をノートに書かせるのではなく発表で見取ろうとした場合、何が起こるでしょうか? 発言する子については学びの様子が見取れますが、発言しない子はどうでしょう。理解しているのか、分からないから時間が過ぎるのを待っているのか、判断できませんよね。
それを「書く」という表現活動にしたことで、全員の学びを見取ろうとしたのです。授業後に「よしよし、全員できていたぞ」となれば次の授業でも同じような活動を設定し、「あれ、あんまりできていないぞ」となれば指導法を工夫したり支援を増やしたりしていくのでしょう。そうしながら「数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表す力」を育成していくのでしょう。まさに指導と評価の一体化です。
テストを効果的に活用
最後に、テストを効果的に活用していることです。成績をつけるためだけではなく、誤答から子どもたちの課題を見つけようという意識も素晴らしいです。休み時間や給食を早く食べてつくった時間を使っての丸つけ、大変だと思います。時間が足りない中で工夫して仕事を行っているとは思うのですが、少しでも余裕のある時には丸つけだけで終わらず、「どんな問題でつまずいている子が多いのか」「なぜできなかったのか」「どんな資質・能力があればできたのか」などを考えてみてはいかがでしょう。
ちょっと調べれば、たくさんの手法が
今の時代はとても便利です。本もそうですが、インターネットで調べれば、「〇〇法」「〇〇学習」など多くの教育手法が見つかります。「こうすれば子どもたちはこうなります!」「こんな活動を設定すれば子どもたちのこんな力が伸ばせます!」のような言葉を見ると、ちょっとやってみようかななんて思いますよね。そういう私も、若い頃はよく本屋に行ってはおもしろそうな手法はないかなと探していました。「おもしろそうだからやってみよう、子どもたちはどうなるかな」と、手法ありきになっていたのだと思います。
手法も大事です。自分自身の指導の引き出しが増えます。ただ、授業づくりで最初に考えるべきは目の前の子どもだなと改めて感じました。本でもインターネットでも、自分のクラスのことや、子どもたちの課題は載っていません。これを一番知っているのは、一番気付けるのは、担任である先生だけです。
さあ、2学期が近づいてきました。クラスの子どもたちにつけたい力は何ですか?
どんなところに課題を感じているでしょうか?
その課題を解決するために何をしますか?

古市 剛大(ふるいち たけひろ)
岡山県赤磐市立桜が丘小学校 指導教諭
「道徳の教科化」をきっかけに,道徳のおもしろさと難しさを感じながら,研究と実践を重ねてきました。子供の「知りたい」「話したい」を大事にした授業とは?道徳科における個別最適×協働とは?日々の授業から,そして指導教諭だからこそ見える・感じることを綴っていきたいと思います。
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