探究的な学習過程の解像度を上げる~小学校総合学習で課題設定からまとめ・表現までを深める方法~
総合的な学習の時間の授業づくりをしていると「総合って難しいなぁ...」という声が聞こえます。各教科で研究授業を経験しているベテランの先生でも例外ではありません。もちろん、私もその一人です。
そこで、探究的な学習にするための学習過程の解像度を上げていくことが、授業づくりの一助になるのではないかと思い、『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 総合的な学習の時間編』(以下、『解説編』)を読み直してみました。
姫路市立白鷺小中学校 主幹教諭 竹内 哲宏
①課題の設定
課題の設定は、「体験活動などを通して、課題を設定し課題意識をもつ」と説明されています。課題は教師が与えるもので、問題は子ども自身の中から出てくるものです。「課題の設定」では、教師が意図する課題と子どもが感じる問題を重なり合わせる必要があります。
『解説編』では、「ずれ」や「隔たり」を感じさせたり、対象への「憧れ」や「可能性」を感じさせたりする工夫をすることが求められています。「ずれ」や「隔たり」は、子どもの既有知識に相反する地域の実態を資料として提示したり、実際に体験したりして生むことができます。
「憧れ」や「可能性」は、地域で何かに取り組んでいる人の様子を見学したり、前年度、学習に取り組んでいた先輩から話を聞いたりすることで「自分もやってみたい」「自分にもできるかも」という気持ちがわいてくると考えられます。
②情報の収集
情報の収集は、「課題意識や設定した課題をもとに、必要な情報を取り出したり収集したりする」と説明されています。「情報」の意味を調べると「判断や意思決定、行動を左右する全ての事柄」と出てきました。「○○したい」→「○○に関する情報」→「意思決定」という流れが見えてきます。
『解説編』では、情報には、「言語や数字で記号化されたものから得られるもの」「映像や写真など視覚化されたものから得られるもの」「具体物との関わりや体験活動など事象と直接関わることによって得られるもの」があることが示されています。
また、情報を得るための活動として「観察、実験、見学、調査、探索、追体験など」が紹介され、これらの活動によって得られる情報を「数値化した情報、言語化した情報、感覚的な情報」と整理しています。授業をする際には、どのような活動で、どのような情報を収集するのかという意図をもつ必要があることがわかります。
中でも、「感覚的な情報」については、「体験活動を行ったときの感覚やそのときの思いなどは、時間の経過とともに薄れていき忘れ去られる。体験で獲得した情報をレポートなどで言語化して、対象として扱える形で蓄積することにも配慮が必要」と書かれていました。体験から得られる情報を残す大切さが分かります。
③整理・分析
整理・分析は、「収集した情報を、整理したり分析したりして思考する」と説明されています。意味を調べると、「整理:不要なものを処分し、必要なものと不要なものを区別すること」「分析:物事をいくつかの要素に分け、その要素・成分・構成などを細かい点まではっきりさせること」ということが分かりました。
つまり、収集した情報の中から、自分たちが設定した課題に照らし合わせて、不必要な情報を捨て、必要な情報を残すことが「整理」、その残った情報を比較したり、関係づけたりして意味を見出し、自分たちの行動につなげることが「分析」といえるのではないかなと考えました。「比較したり、関係づけたり」は思考の例で、他にもあります。
『解説編』では、それを「考えるための技法」としてまとめています。また、「考える技法」を可視化したものが、いわゆる「思考ツール」です。
④まとめ・表現
まとめ・表現は、「気付きや発見、自分の考えなどをまとめ、判断し、表現する」と説明されています。総合的な学習あるあるで「ポスターを作ったら、教師も子どもも満足しがち」というのがあげられます。私もこれまでの実践で、ポスターを作って校内に掲示して活動を終えるということがありました。
ポスターをつくることは成果の一つになるでしょう。しかし、ポスターをつくって終わらせるのではなく、そこからもうひと展開するということが大切な視点だと思います。ポスターの主な役割は情報を伝えることです。
例えば、地域学習の一環で姫路木綿を扱う場合、姫路木綿のこと(歴史、生活との関わり、地域など)をポスターで伝えるのか、ポスターをイベント用の告知として活用し、集まってもらった人に直接伝えるのかなどの活用方法が考えられます。
また、調べたことをポスターで伝えるという方法にしても、どのくらいの人が見てくれたのか、どの程度伝わったのかということを調査することによって、ポスターの効果を検討するという学習活動が生まれ、新たな展開をつくることができます。
今回は、探究的な学習の過程の解像度を上げることを試みました。まだまだ、解像度が粗いので、実践を重ねてもっと精度を高めたいです。『解説編』には、「探究の過程はいつも①~④が順序よく繰り返されるわけではなく、順番が前後することもあるし、一つの活動の中に複数のプロセスが一体化して同時に行われる場合もある」と記述されています。
授業を構想するうえで、①~④が順序よく並べるとしっくりこない場合は、柔軟に対応していけばいいかなと思います。
参考資料
- 文部科学省『小学校学習指導要領解説(平成29年告示)解説 総合的な学習の時間』東洋館出版 2018.2

竹内 哲宏(たけうち てつひろ)
姫路市立白鷺小中学校 主幹教諭
世界遺産姫路城の目の前にある姫路市初の義務教育学校に勤めています。
資質・能力を育成するための授業づくりを中心に発信できればと考えています。
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