2026.10.06
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主体的なペア対話を引き出す、見取りとフィードバックの実践

これまでペア対話の方法を示してきましたが、読んだ方から「見取りはどうしていますか?」と聞かれることもありました。
今回は「見取り」と「フィードバック」に焦点を当てて書きます。

大阪府泉大津市立穴師小学校 大橋 健太郎

見ることの難しさ

教育の世界では、見取りという言葉を頻繁に聞くようになりました。子どもの学びを見取る、子どもの世界を見取る、というように使われます。言葉では簡単に出てくる見取りですが、実際に見ようとすると、そう簡単にできません。
例えば、授業ではこんなことが起こってきます。

「見ようと思ってもどうやって見ればいいかわからない」
「見ることができているかどうかわからない」
「どこから見ればいいかわからない」

見取りといっても、実際に取り組む上での難しさや困難さもあることは間違いありません。
今回は、見取りとはそもそも何か、どうやっていくかということについて、一緒に考えていけたらと思います。

見取りとは

宗貫・若松(2022)は、見取りを次のように定義しています。(p. 12より抜粋)

・積極的に、意識的に、継続的に、子どもに関わること
・子どもの世界に近づこうとすること
・子どもの内面をありのまま、丸ごと捉えようとすること 

見取るということは、子どもを知るための方法であり、断続して見ることが必要です。私は、見取るとは「子どもを知るために、積極的に、意識的に、継続的に関わること」だと考えます。

何を、どう見取るか

見取りは、子どもを知るために、積極的に、意識的に、継続的に関わることだと考えました。では、何を見ればいいでしょうか。例えば、次のものが挙げられます。

児童のノート ICT端末 発言 つぶやき 成果物、子どもの態度 目線 しぐさ 学習する姿 

もしかすると、もっと他にもあるかもしれませんが、上記のものを通して、子どもたちの学びを見取ることが大事です。子どもたちが表現していることから、教師が見る。ここが出発点となります。

見取った結果をフィードバックする

見取りは見て終わりではありません。見取ったことを基にして、児童の学習意欲や学力をあげるために、取り組むものです。
では、見取った後にすることはなんでしょうか。それは、フィードバックです。

フィードバックとは、教師が見たものを児童へ返すことです。ここでのポイントは、返し方です。返す時に2つの工夫が必要です。

工夫1:価値づける

価値づけるとは、児童の良さを教師が評価することです。評価といっても、A B Cをつけるのではありません。「今の発言は〇〇でいいよね」や「Aさんの学習する姿、みんなのお手本だね」など、具体的に教師が捉えたものの良さを伝えていきます。ただし、ここにはポイントが2つあります。

1つ目は、タイミングです。どのタイミングで伝えるかが重要です。その場で言うか、授業の終わりに言うかなど、適切なタイミングを考える必要があります。

2つ目は、具体的に伝えることです。「Aさん、いいね」では何が良いかわかりません。そのため、何が、どのように良いのかということを教師が言語化して伝えるようにしましょう。

これらのポイントに気をつけることで、児童にとって良い方法で伝えることができるはずです。

工夫2:ノートにコメントする

これは教師の価値づけの延長線上にあると考えています。フィードバックをその場ですることと、少し時間を置いてからすることに分けるとすれば、ノートへのコメントは時間が経ってからするものです。そのため、児童が後から見返すときに、気づきを得たり、勇気づけられたりすることがポイントです。大切なことが2つあります。

1つ目は、問いかけと共感のコメントです。
例えば、児童から「今日はちいちゃんの気持ちの変化がわかりました。気持ちの変化を見つけるためには、教科書を細かく読んでいかないとわからないと思いました」といった振り返りがあったとします。
共感のコメントでは、「細かく読んだから、気持ちの変化がわかったんだね」と書きます。つまり、あなたの学びは細かく読むことで得られたんだね、と伝えるということです。
それに対して、問いかけのフィードバックでは、「今日はどこの文から気持ちの変化を見つけることができたかな?」と書きます。このようにして、児童へ間接的に返していきます。

2つ目は、情意面のフィードバックです。
これは、中野(2026)で述べられていることですが、子どもの内面をサポートするようにします。
先ほどの例で言えば、「細かく読むことは簡単じゃないよね。けど、気持ちの変化を見つけようとして細かく読んだから、見つけられたはず!その調子でがんばれ!」というのが、情意面のフィードバックです。

終わりに

今日は見取りとフィードバックについて述べました。私が見取りやフィードバックが大事だなと思い始めたのは、一人ひとりの学びを見つめる必要があるなと思ったからです。だから、「あっ、やらないとな」という義務感よりも、「一人ひとりに返すにはどうすればよいか」という思いからです。

そんな思いを持ちながらも、迷いは生まれます。
「どうして、見取ろうとしているのか」
「子どものどんな姿を考えているのか」

学びのベクトルを私自身に向けながら、絶えず悩み、考えること。そうしながらも、私も児童も共に成長できればと思い、見取りやフィードバックをしています。

大橋 健太郎(おおはし けんたろう)

大阪府泉大津市立穴師小学校、kyoso's サークル所属、国語教育 大阪探究の会所属


「こどもの思考が生きる」授業を目指して、日々子どもたちと共に学んでいます。
子どもたちが教えてくれたこと、子どもの姿から学んだことを読者の皆様と共有していければと考えています。

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