2026.07.12
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5年生算数「合同な図形」における数学的な見方、考え方~3つの実践から見えた児童の学び~(4)

第5学年の B領域「合同な図形」において、数学的な見方・考え方が働いている児童の具体的な姿を考察します。
今回は、これまでの実践を踏まえたまとめです。

東京都品川区立学校 平野 正隆

「合同な図形」の三つの実践から見えた児童の姿

今回の実践では、「四角形を対角線で分けた三角形」「合同な三角形がかけない場合」「合同な三角形の敷き詰め」の三つの学習場面を通して、第5学年算数科「合同な図形」における数学的な見方・考え方が働く児童の姿を多面的に捉えることができました。

それぞれの実践では、児童が図形を構成する要素や関係に着目し、条件を吟味しながら根拠をもって考える姿が見られました。さらに、そこから一般化へとつなげていく姿も見られました。

これらの姿から、図形領域において育成したい数学的な見方・考え方の具体像を明らかにすることができました。

まず、実践①では、四角形を対角線で分ける活動を通して、児童は「図形を三角形に分けて捉える見方」や「同じ形であるかどうかに着目する見方」を働かせていました。
さらに、「いつでも成り立つのか」という視点から条件を吟味することで、「成り立たない場合を根拠をもって説明する考え方」や「条件を整理し一般化する考え方」が見られました。
個別の図形だけで判断するのではなく、反例を考えながら一般性を確かめようとする姿は、図形の性質を論理的に捉えようとする数学的な思考の深まりを示しているといえます。

次に、実践②では、「2つの辺とその間でない角」の条件で合同な三角形がかけるかを作図によって検証しました。
児童は、実際に複数の三角形をかくことで、「1つに定まらない」という本質的な理由に気付き、「具体的な操作を通して条件を見いだす考え方」を働かせていました。

また、「かける」とはどのような状態を指すのかを問い直し、「いつでも成り立つこと」が必要であると考える姿からは、条件を吟味し、一般化していく数学的な考え方が表れていました。
図形を操作しながら考えることで、抽象的な概念を自ら形成していく過程が見られたことは、大きな成果でした。

さらに、実践③では、合同な三角形の敷き詰めを基に図形を捉え直す活動を通して、「図形を構成する要素や関係に着目する見方」が一層豊かに表れていました。
児童は、平行や辺の長さ、角の大きさなど複数の観点から図形の性質を捉え、「平行四辺形であること」を様々な根拠を用いて説明していました。

このことから、「一つの事象を複数の見方で捉え、それらを根拠として説明する考え方」や、「既習事項を関連付けて統合的に考える力」が育まれていることが明らかになりました。
また、友達の考えに疑問をもち、根拠を補いながら納得へと至る過程には、対話を通して思考を修正・深化させる姿も数多く見られました。

具体的な操作から一般化へつなげる算数の学び

本単元の特徴として重要なのは、図形を操作したり、分けたり、かいたりするといった具体的な活動を通して「見える関係」を捉え、そこから条件を整理し、一般化へとつなげていく学習過程にあります。

この実践においても、具体的な操作と抽象的な思考とを往還する中で、数学的な見方・考え方が繰り返し働いていました。
児童は図形の性質を自ら見いだし、説明し、確かめる学びを実現していました。このような学習過程は、単に合同の理解にとどまらず、数学的に考える力そのものを育成する上で重要な役割を果たしていると考えます。

「合同な図形」で育てた見方・考え方を他単元へ

さらに、本単元で育まれた数学的な見方・考え方は、「合同な図形」の学習だけで活用されるものではありません。
例えば、第5学年の「面積」では、図形を分割・移動して既習の図形に帰着させる際に、「図形を構成する要素や関係に着目する見方」が生かされます。
また、「割合」では、複数の条件を整理し、本質的な条件を見極める考え方が必要となります。

さらに、第6学年の「対称な図形」や「拡大図と縮図」では、図形の対応や性質に着目して比較・類推する見方が重要となり、中学校数学における図形の証明では、条件を基に論理的に説明し、一般化する考え方へと発展していきます。

このように、本単元で育まれた見方・考え方は、図形領域はもちろん、数量関係や変化と関係、データの活用など他領域の学習においても、条件を整理し、根拠を明確にしながら結論を導く場面で活用される汎用的な資質・能力であると考えます。

数学的な見方・考え方を他領域へつなぐ授業づくり

以上のことから、図形領域においては、「図形を構成する要素や関係に着目して捉える見方」と、「条件を基に比較・類推・反証を行いながら結論を導き、一般化していく考え方」とが相互に働くことによって、児童の理解が深まることが明らかになりました。
また、児童同士の対話や学び合いを通して多様な見方に触れ、自らの考えを修正・深化させる過程が、その働きを一層促進していることも確認できました。

今後は、本単元で育まれた数学的な見方・考え方が他単元や他領域でも意識的に活用されるよう、学習内容相互の関連を明確にした指導を積み重ねていくことが重要です。
児童が既習の見方・考え方を新たな課題に自ら適用し、具体と抽象を往還しながら思考を深める授業づくりを継続することで、算数科全体を通して数学的に考える力をより確かなものにしていきたいと考えます。

平野 正隆(ひらの まさたか)

東京都品川区立学校


研究会での実践報告や校内での若手教員育成などの経験を通して、自分の経験や実践が広く皆様のお役に立てるのではないかと考えております。大人・子どもに関わらず、「明日から頑張れそうです」「明日が来るのが楽しみです」と言ってもらえるのが私の喜びです。

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