2026.09.01
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6年生算数「資料の整理」における数学的な見方・考え方

今回は、6年生のD領域「資料の整理」を取り上げ、数学的な見方・考え方が働いている児童の具体的な姿を考察します。

東京都品川区立学校 平野 正隆

「数学的な見方・考え方」とは

「数学的な見方・考え方」を分かりやすく言えば、ものごとを算数・数学的に捉えたとき、「どのように対象を見るか、どこに着目するか(見方)」と「どのように筋道立てて考えるか、考えを広げたり深めたりするか(考え方)」ということです。

見方:何に目をつけるか

数量なら大きさ・数・量、図形なら形・位置・構造、関係なら比例・変化・対応などに着目することです。

考え方①:筋道立てて考える

言い換えると、「理由をはっきりさせて考えること」です。
根拠をもとに説明したり、式や図を使って考えたことを表現したり、「なぜその方法なのか」「次に何をするのか」を明確にしながら順序立てて考えたりします。

考え方②:統合的・発展的に考える

既習と結び付けて(統合して)考えたり、別の場面でも使えるようにして(発展して)考えたりすることです。

「資料の整理」で働く数学的な見方・考え方

以上を踏まえ、「資料の整理」で働く数学的な見方・考え方を考えます。「資料の整理」では、「データの特徴や傾向を数量的に捉え、目的に応じて代表値やグラフを使い分けながら妥当な判断を行う見方・考え方」を育てます。

数学的な「見方」

  • 「散らばっているかどうか」「データが集中している部分はどこか」といったデータの分布に着目する。
  • 目的に合う代表値(平均値・中央値・最頻値など)に着目する。

数学的な「考え方」

  • 学年や性別、サンプル数、偏りなど、データが比較できる条件になっているかを考え、その妥当性を説明する。
  • 結論や解決過程の妥当性を批判的に考察し、平均値で比べることが妥当かどうか、その理由を説明する。
  • データが量的で範囲が広い場合は柱状グラフが適切であることを説明する。
  • 柱状グラフは、棒グラフの考え方を基に、データを階級ごとに整理したものであると統合的に考える。
  • 体育の記録、図書室の貸し出し、地域の防犯データなど、生活の中のデータ分析へ発展して考える。

授業実践

 

 

1時間目に15年前と現在の6年生の体力テストの結果について、代表値を計算で出し、ドットプロットに表しました。
2時間目には、Microsoft Excelを使った代表値の出し方を学び、自分が計算して出した結果と同じ値になったかを確認しました。
3時間目は、これまでに求めた結果から、「現在の6年1組は、15年前の6年1組より体力が低下した」といえるか班ごとに話し合い、発表しました。

今回は、その発表の中で印象的だったフレーズを紹介します。

【代表値に着目】

  • 平均値で比べると、低下したか分かると思う。でも、0.3点しか変わらないので、平均値だけでは分からない。
  • 最高得点は「現在」の方が高いけど、最低得点は「現在」の方が低いから、これでも分からない。

【代表値と分布に着目】

  • 最頻値は「現在」の方がかなり高い。なのに平均値が低いのは、低いところにもたくさんいるから。
  • 中央値をドットプロットで見ると、15年前は最頻値と同じ。でも、現在は中央値付近の記録が少ない。

【分布に着目】

  • ドットプロットを見ると、「15年前」は山が1つできている感じだけど、「現在」は山が2つできている。

【データの妥当性を説明】

  • そもそもこのデータの男女比が違えば、比較するのは難しいのではないかと思う。

【結果の妥当性を批判的に考察】

  • 単純に「体力が落ちた」とは言い切れない。代表値から見れば、体力の水準そのものは大きく変わっていないと思う。
  • 散らばりが少ない「15年前」のほうが、安定した体力の高さがある。「現在」は個人差が大きい。

【発展して考える】

  • 習い事とか、普段の生活の違いが、この個人差に影響していると思う。
  • 種目ごとのばらつきや代表値も比較してみたい。

まとめ

今回の実践では、6年生算数「資料の整理」で、代表値やドットプロットを活用してデータの特徴を多面的に捉える、数学的な見方・考え方が働く児童の姿が見られました。

まず、数学的な「見方」として、児童は平均値や中央値、最頻値といった代表値だけでなく、ドットプロットから分布の様子や散らばり、データの集中している部分にも着目していました。
また、一つの代表値だけで判断するのではなく、複数の代表値や分布を関連付けながらデータの特徴を捉えようとする姿が見られました。

次に、数学的な「考え方」として、代表値やグラフから導いた結論をそのまま受け入れるのではなく、「平均値だけでは判断できない」「男女比など比較する条件が異なれば、妥当な比較はできない」といったように、データの条件や結論の妥当性を批判的に考察する姿が見られました。
さらに、「なぜこのような結果になったのか」を生活習慣や運動経験などと関連付けて考えたり、「種目ごとのデータも比較してみたい」と新たな視点をもったりするなど、学習したことを生活や次の課題へ発展させて考える姿も見られました。

このように、「資料の整理」の学習では、代表値やグラフを目的に応じて適切に用い、データの特徴を多面的に捉えるとともに、その根拠や妥当性を吟味しながら判断することが大切です。

今回の実践では、児童が複数の視点からデータを分析し、根拠を基に対話を重ねながら結論を導く姿が見られました。このことから、本単元で目指す数学的な見方・考え方の育成につながったと考えます。

平野 正隆(ひらの まさたか)

東京都品川区立学校


研究会での実践報告や校内での若手教員育成などの経験を通して、自分の経験や実践が広く皆様のお役に立てるのではないかと考えております。大人・子どもに関わらず、「明日から頑張れそうです」「明日が来るのが楽しみです」と言ってもらえるのが私の喜びです。

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