地域連携で子どもの本気を引き出す主体的な作文指導の実践
皆さんは、作文指導は得意ですか。
私は、そもそも国語科の指導が不得意で、自分自身も文字を読んだり書いたりすることが好きではありませんでした。
そのような中で、子どもたちのやる気を高める作文指導を実践できたことがなかったのですが、1学期に実践した作文指導で、初めて子どもたちの目がキラキラしていたので報告します。
岡山県矢掛町立小田小学校 教諭 角田 直也
書く目的を明確にして形式的な作文学習から脱却する
児童が書く作文は、形式的なものになっていませんか。教科書に書いてある題材をもとに作文を書き、教室後方に掲示され、参観日の時に家族の人が見るような作文になっていないでしょうか。
私は、一生懸命書いた作文が限られた人の目にしか読んでもらえない、「書くことが目的」になってしまっている作文学習から脱却したいと思っていました。
そこで、以前の記事でもお伝えした、社会科の学習と総合の地域学習を合科的に扱った作文学習を行いました。社会科で政治分野について学習した後、理想の町づくりについて税金の使い方などの施策を考えました。
国語科の提案文を書く単元で、地域や役場の人に向けて考えを伝えるような内容にすることとしました。
コンテスト出品を具体的な目標に設定する
でき上がった作品は、地域の人に読んでもらいたいことを児童に伝えました。この時点で、以下のような条件が加わりました。
目標:よりよい町づくりを提案する
対象:地域に住む人
ある程度条件がある方が、児童も作文を書きやすくなります。しかし、これぐらいの目的意識であれば、「地域の人が読んで、よく頑張っているね、ぐらいの感想をもらうだけなんでしょ」と児童も形式的な活動であると認識して、やる気にはつながりませんでした。
そこで、さらに、目標を追加することで児童のやる気を高めたいと仕掛けました。
目標:より良い町づくりについて地域の人から意見をもらい、コンテストに出品する
この目標を提示すると、上位層の児童は「地域の人からいいコメントをもらいたい」「賞を取りたい」という思いから、自分の作品を見返すようになりました。
地域からの対等な感想が児童の心を動かし本気にさせる
実際に公民館に掲示した作品に対して、いくつかのコメントが返ってきて、期間内で20通ほどになりました。
児童は、地域や役場の人から寄せられた感想を目を、輝かせながら読んでいました。
児童が書いた内容を、少し指摘するようなコメントもありましたが、「なるほど」と受け止めながら、意気揚々と作文を手直ししていました。自分が書いた作品に、大人が対等にコメントしてくれたことが、児童の心を動かしたのでしょう。
自分の作品を読んでくれる人がいて、それに反応してくれたことが、児童にとってはとてもうれしい経験だったようです。
やはり、形式的に書くだけの作文よりも、目的意識をもって誰かに読んでもらうゴールがあることで、子どもたちの主体性は向上します。さらに可能であれば、読んだ人の回答を得ることで、子どもたちの自己有用感は本物になるのだなと思いました。
目的意識と大人の真剣さが生む主体的な学び
この実践には、続きがあります。児童が手直しした作品を実際に賞に応募すると、指定の文字数をオーバーしていました。明らかに、要項を確認していなかった担任の落ち度ですが、地域の人の力を借りて作品を完成させた児童は、絶対にこの賞に応募したかったようでした。
中には、4割程度要約しなければいけない児童もいたのですが、「同じこと書いてしまっている」「もっと短い言葉に直せそう」などと話し、普段の要約なら早々に切り上げてしまうところですが、1時間ほど集中して要約をしていました。
この作文学習を通して、児童が少し面倒に思う活動でも、目的意識とゴールがはっきりしていることに加えて、大人の真剣さが、児童の自己有用感を高め、主体的な深い学びにつながるのではないかと実感しました。

角田 直也(かくだ なおや)
岡山県矢掛町立小田小学校 教諭
特別(聴覚)支援学校、青年海外協力隊(マラウイ)、公立小学校に勤務。
近年は、総合的な学習の時間に行う地域をフィールドにした活動を軸として、教科横断的なカリキュラム編成を実践・検証し、地域学習と教科学習の双方の深化について研究しています。
また、先輩教員のノウハウと新しい"観"の教育を融合しつつ、若手教員と共に学ぶ新しい研修方法を実践しています。
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