お昼ご飯も忘れて集中...「探究的な学び体験ワークショップ」
「みかんの仲間」をテーマに、子どもたちと一緒に問いを出し、調べ、まとめた探究的な学び体験ワークショップ。
お昼ご飯を忘れるほど夢中になったり、みかんの果汁を絵の具代わりにしたり、「4700万トン」から象の話まで探究が広がったり。子どもたちの「知りたい!」を受け止め、問いをつないでいく中で、私自身も探究の楽しさを存分に味わった2日間でした。
合同会社Toyful Works 代表社員・元公立小学校教員 川崎 知子
広島県・福山らしいテーマを考える
2024年の「イエナプラン100周年イベント@福山」に参加してくれた方と意気投合し、定期的にランチなどをしています。
「去年の夏はゲーム体験ワークショップをやったから、今年は探究かな?」なんて話したら、「ぜひやって! 会場借りられるかも!」とトントン拍子に話が進み、福山市内の小学生を対象に探究的な学び体験ワークショップを開催することになりました。
土曜日は小学1~3年生対象、日曜日は4~6年生対象。大人だけの見学も歓迎と告知しました。結果、土曜日は年長さんから小学3年生、日曜日は小学1年生から中学1年生まで、幅広い年齢の子どもたちが参加してくれました。
福山らしいテーマがいいな、バラかな。でも季節じゃないな……クワイかな? 嫌いな子が多いんだよな……と考えること数週間。
ふと、「因島のはっさく! 瀬戸田のレモン!」と思いつきました。
「カンキツ類」にしよう!
そうひらめいたのです。
季節外れではありましたが、ハウスみかんとデコポンを用意し、「みかんの仲間」をテーマに、問い出しをしました。
「みかんの仲間」から、問いを生み出す

みかんは浮くかな?デコポンは?
1日目に出てきた問いの一部です。
・みかんにはどうして緑のところがあるの?
・皮で何か作れる?
・中がつぶつぶなのはなぜ?
・水に浮かぶ?
・大きいのは何? はっさく?
まずはバケツを借りて、みんなでみかんが水に浮くかどうかを調べました。
その後は、図書館で借りてきた本で、みかんの育ち方やデコポンとは何か、「中がつぶつぶなのはなぜ?」など、それぞれが自分の問いについて調べました。
私は8冊借りてきた本の表紙を全員に紹介しただけなのに、なんと全員、自分の問いに対する答えを見つけることができました。
すごすぎる!
そして、11時45分頃。
「お昼まであと15分だけど、調べたことを書きたい人いる?」と聞いたら、8人中7人が手を挙げました。
結局、全員が集中して机に向かうこと30分。
「そろそろやめてお昼を食べよう」と言うまで、誰も席を立ちませんでした。
「絵の具がないなら、みかんで!」
お昼の後は、それぞれの子が書いたもの、作ったものを紹介し合いました。
「皮で何か作れる?」という問いをもった子たちは、「みかんくん」というキャラクターを作りました。
また、調べたことを絵でまとめたくて、
「先生、絵の具ある?」
と聞いてきた子もいました。
「ないんだよ。ごめんね。」と答えると、
「みかんを絞ったらいいんだ!」と言って、みかんの果汁で色を塗っていました。
絵の具を用意していなくて、かえってよかったなと思ったのでした。
「中がつぶつぶなのはなぜ?」という問いの答えには、大人もびっくりでした。
ぜひ、この記事を読んでくださっている方にも、調べてみてほしいと思います。
「全員分をまとめたい!」
さらに、「全員分をまとめたい」と言ってくれた子がいました。
そこで、残り20分くらいのところから、模造紙にまとめることになりました。
「先生、何時まで?」
「2時までだけど、きっとこんなに頑張ってるんだから、予定さえなければ、少し延びても大丈夫じゃない?」と言いながら、結局15分くらい延長して終了しました。
大人も一緒に問いを出す
2日目は、1日目から続けて参加してくれた3年生の子がいたので、レモンも加え、「カンキツ類」をテーマに問い出しをしました。
高学年の子が多かったので、大人にも一人一人、問いのマインドマップを書いてもらいました。
出てきた問いの一部です。
・どこで育ったの?
・一番高級なものは?
・世界で一番食べられている国は?
・柑橘類の定義は?
・美味しい季節は?
大人も一緒に、本やインターネットで調べることにしました。
「4700万トン」から、象の話へ
共有の時間のこと。
「世界で一番多く生産している国は中国だそうで、年間4700万トンだそうです」
でも、4700万トンってイメージがつかないよねえ?
「トンってなに?」
「1000キログラム?」
「10マングラム?」
「ますますわからんねえ……」
「1トンって何ぐらい?」
「象じゃない?」
「象かあ……調べてみようか」
調べてみると、象は何トンもあるらしい!
……と、話がどんどん広がっていきました。
話が広がっていくことが、探究学習の魅力なのだと実感します。
「お姉ちゃんがすごいと思った」
最後に、「今日どうだった?」と聞きました。
すると、
「お姉ちゃんがいろんなことを調べていてすごいと思った」という感想が出ました。
今回、兄弟姉妹で参加してくれた子たちが多かったのですが、この感想を聞いて、家族のことを褒めるって、すごく素敵だなと改めて思いました。
弟や妹の立場の子たちにとっては、初めての場所、初めて出会う人たちの中で、お兄ちゃんやお姉ちゃんの存在がとても頼もしかったようです。
私自身もとても楽しかったので、また秋か冬に第2弾を行うことができたらいいなと思っています。
今から、次のテーマは何にしようか、楽しみにしています。

川崎 知子(かわさき ともこ)
合同会社Toyful Works 代表社員・元公立小学校教員
元公立小学校教員。東京・広島の小学校で約20年勤務。
2017年からは家族とともにオランダに渡り、イエナプラン教育を学ぶ。日蘭イエナプラン専門教員資格を取得し、現地のイエナプランスクールでアシスタントとして2年間勤務。20校以上の小中学校を視察した。
帰国後は、広島県福山市立のイエナプランスクール開校に携わり、現在は日本イエナプラン教育協会理事。
不登校支援や特別支援教育、保護者との関係づくり、対話・探究・遊びを通して、子どもも大人も、安心できる学びの場づくりに取り組んでいる。
同じテーマの執筆者
-
兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
-
帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
-
兵庫県姫路市立坊勢小学校 教諭
-
岡山県教育委員会津山教育事務所教職員課 主任
-
福岡市立千早西小学校 教頭 今林義勝
-
前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭 -
大阪市立堀江小学校 主幹教諭
(大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年) -
戸田市立戸田第二小学校 教諭・日本授業UD学会埼玉支部代表
-
静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭
-
佛教大学大学院博士後期課程1年
-
小平市立小平第五中学校 主幹教諭
-
東京都内公立学校教諭
-
札幌大学地域共創学群日本語・日本文化専攻 教授
-
明石市立高丘西小学校 教諭
-
ユタ日本語補習校 小学部担任
-
木更津市立鎌足小学校
-
北海道公立小学校 教諭
-
信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭
-
在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師
-
東京都東大和市立第八小学校
-
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭
-
静岡市立中島小学校教諭・公認心理師
-
東京都品川区立学校
-
岡山県赤磐市立桜が丘小学校 指導教諭
-
神奈川県公立小学校勤務
-
寝屋川市立小学校
-
仙台市公立小学校 教諭
-
東京都内公立中学校 教諭
-
目黒区立不動小学校 主幹教諭
-
東京都公立小学校 主任教諭
-
尼崎市立小園小学校 教諭
-
ボーズマン・モンテッソーリ保育士
-
埼玉県公立小学校
-
大阪府泉大津市立穴師小学校
-
岡山県矢掛町立小田小学校 教諭
-
山口大学教育学部附属山口小学校
-
愛知県東郷町立春木中学校 教諭
-
福島市立福島第一小学校 教諭
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)
この記事に関連するおススメ記事
「教育エッセイ」の最新記事













アグネスの教育アドバイス
映画と教育
震災を忘れない









































この記事をクリップ
クリップした記事
ご意見・ご要望





