2026.05.22
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5年生算数「小数と整数」における数学的な見方、考え方〜単位と位取りから迫る数の仕組み〜(2)

前回(1)は、算数科における「数学的な見方・考え方」の定義と、本単元で注目すべきポイントを整理しました。
今回は、5年生の単元「小数と整数」において、数学的な見方・考え方が働いている児童の具体的な姿を考察します。

東京都品川区立学校 平野 正隆

実践(一部抜粋) 第5学年算数科「小数と整数」

※本文中の【 】は、特に「見方・考え方」が働いている場面を示しています。

教師「宮崎県の馬口岳(まぐだけ)は標高が1435です。新幹線のレールの幅も同じく1435です」

児童
「そんなわけがないよ」
「単位が違うんじゃないかな」

教師「単位は何だと思いますか」

児童
「標高はメートル(m)でしょ」
「レール幅はセンチ(cm)かな」
「cmだと、14.35mになって、かなり大きいよ」

教師「それだと教室の幅より大きいですね」

児童
「(笑)」
「じゃあミリ(mm)かな」
「たしかに、それだと1.435mになるから、ちょうどいいな」
「数字は同じだけど、単位をそろえたら、全然違う大きさだ」

【数の大きさや関係に着目する見方】

◆ねらい:整数と小数の仕組みには、どんな関係があるのか考えよう。

教師「位(くらい)をそろえて書いて、大きさの違いを比べてみよう」

(作業)

児童「3つ位が違う」

【位取りに着目する見方】

児童「1000倍の違いがあるよ」

教師「どういうこと?」

児童「10倍したら1つ位が上がるから、10倍、100倍、1000倍ってことです」

【既習に基づいて考える】

教師「では、馬口岳の1435の『1』は、何が1つあるのかな?」

児童「1000が1つ」

教師「同じように『4』『3』『5』は?」

児童「100が4つ、10が3つ、1が5つ」

【単位に着目して考える】

教師「1.435は?」

児童
「1が1つ、0.1が4つ、0.01が3つ、0.001が5つ」
「僕は0.1や0.01じゃなくて1/10、1/100の位だから1/10や1/100って分数にしたけど…」
「0.1は1/10だからいいんじゃないかな」
「たしかに。1を10個に分けたって意味では同じだしね」
「0.01は1/100だね」

教師「では、数の仕組みについて整理してみましょう。1が10個あつまると、どんな数字になりますか」

児童「10」

教師「1を10等分すると?」

児童
「0.1」
「1/10」

教師「では、さらに10個や1/10をして、ノートに数の仕組みを整理していきましょう」

(作業)

児童
「私は図に書いて整理しました」
「僕は式に表してみました」
「私は矢印で、10倍、10倍…や1/10、1/10…をして、まとめました」

【表現に着目する見方、表現しながら考える】

教師「今日の学習から分かったことをまとめましょう」

児童「整数も小数も、10個集まると位が1つ上がり、10等分すると位が1つ下がる」

(同じ仕組みとして統一的に見る見方)

まとめ

本実践を通して、第5学年算数科「小数と整数」における児童の思考のプロセスが明らかになりました。児童が位取り(十進位取り記数法)や単位、数の大きさの関係に着目することで、整数と小数を統一的に捉えようとする「数学的な見方」が働いています。
特に、10倍・100倍や1/10・1/100といった操作を通して位の変化を捉える姿は、数の構造そのものに目を向けているといえます。

また、「既習に基づく類推」「単位に着目した思考」「変化や規則の発見」といった「数学的な考え方」が、児童の発言や表現の中に具体的に表れていました。さらに、図や式、言葉を用いて説明する活動を通して、考えを筋道立てて表現しようとする姿も見られました。

これらのことから、「小数と整数」の学習においては、単に計算技能を習得させるのではなく、数の仕組みに着目させる発問や、既習と結び付けて考えさせる場面を意図的に設定することが重要であると考えます。

また、複数の表現方法(図・式・言葉)を往還させることで、児童の思考を深め、統合的・発展的な理解へとつなげることができます。
今後は、こうした「数学的な見方・考え方」が他の単元や領域においても自覚的に活用されるよう、学習の振り返りや価値付けを丁寧に行うことが求められます。

平野 正隆(ひらの まさたか)

東京都品川区立学校


研究会での実践報告や校内での若手教員育成などの経験を通して、自分の経験や実践が広く皆様のお役に立てるのではないかと考えております。大人・子どもに関わらず、「明日から頑張れそうです」「明日が来るのが楽しみです」と言ってもらえるのが私の喜びです。

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