2026.08.26
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学校の謎ルールとその対応

少し前に「ブラック校則」という言葉が注目されました。それを機に、生徒によるルールメイキングが進み、校則を見直す動きも進んできたのではないでしょうか。
しかし、小学校にも校則とまではいかなくても、昔からの慣例で続けられているような「謎ルール」が多くあります。ルールを作った人が転勤し、その意図がわからなって形だけ残り、すっきりしないまま児童や教員がルールを守っていることがあります。
ここでは、ルールの裏にある意図とその対応について実践を紹介します。

岡山県矢掛町立小田小学校 教諭 角田 直也

謎ルール①:教科書は持って帰りましょう

置き勉はダメ!

「国語科と算数科の教科書やノートは、全て持って帰りましょう。それ以外の教科書はロッカーに置いておいて構いません」

このようなルールがありませんか?
親世代と比較すると教科書のページ数は増え、タブレットの持ち帰りも始まり、児童が持ち帰る物は明らかに増えました。保護者からすれば、使わない教科書をどうして毎日持って帰らないといけないのでしょうか。

児童や保護者の不満を聞きながら、「ルールだから……」と教科書を持ち帰らせている教員もいるのではないでしょうか。

家庭学習で使うから

 

児童によるルールメイキング(筆者作成) 

教科書を持って帰る理由は、家庭学習で使用するからです。例えば、計算ドリルの問題の解き方がわからなかったら、教科書やノートを見て解き方を振り返る必要があります。

児童の中には、「わからなかったら、家の人に聞くから、教科書は必要ない」という考えをもつ子もいます。その考えにも一理あります。しかし、本当にそれでいいのでしょうか。

小学生のうちはその方法が使えるかもしれませんが、高校生になれば家の人に聞いてもわからないことも増えます。だから、自分で教科書を読んで解き方を考える必要があるのです。そうした習慣をつけてもらうためにも、教員は教科書を持って帰ってほしいのです。

似たような習慣として、長期休み前に絵の具セットやお道具箱を持って帰ることを不思議に思う人がいるかもしれません。これは、必要な物品を補充してほしいからです。

高学年になれば、絵の具の貸し借りは日常的です。必要な絵の具を補充せずに、友達の絵の具を自分の物のように使う子もいます。だからこそ、長期休みは一式持って帰り、親子で物品の整理をしてほしいのです。

言い換えれば、必要なものが全てそろっている子は、持って帰る必要はないのではないかと思います。

謎ルール②:廊下は走ってはダメ

先生だって走っている!

当たり前のようで、よくわからないルールです。
教員としては、廊下を走っている児童を全て注意することも大変ですし、衝動的に走ってしまう児童を抑制するのも難しいです。怒りたくないけれど、注意しないといけません。

児童の立場に立ってみると「大人(先生)だって走っている」と、納得いかないのもよくわかります。このようにどちらの立場に立っても、苦しいルールはなぜ存在しているのでしょうか。

大人は危険を予測して行動できる

  

どうして廊下を走ってはいけないのか(筆者作成)

人と人がぶつかるとケガをします。速度が速ければ速いほど、ケガが大きくなる危険があります。だから、廊下の角でぶつからないことを大前提に考えています。

確かに、廊下を急いでいる(早歩き)大人はいます。しかし、大人は経験則から、角でぶつからないよう工夫をしています。
廊下を急いでいる大人を観察してみてください。まず、廊下に人がいないことを確認してから急ぎます。また、角でスピードを落としたり、角から少し離れたところを曲がったりしています。周囲の状況や、角を曲がるときのリスクを考慮して行動しています。

しかし、児童はそういうわけにはいきません。後ろを見ながら走ったり、とんでもないスピードで廊下の角に突入したりします。特に低学年の児童は、周囲を十分に確認せずに廊下に飛び出して、ぶつかってしまうことがあります。受け身をうまく取れず、硬い廊下に頭を打ち付ける危険もあります。

謎ルールからのルールメイキング

学校内にある謎ルールの多くは、児童の学習や安全を支えるためのルールです。しかし、教員も児童もそのルールの意図や背景がわからず、ルールだけが残ることが、謎ルールになる一因です。

現在は、この意図や背景を知り、児童に周知した上で、必要に応じて児童主体のルールメーキングを行うことが求められています。
児童が主体になることで、児童にとって都合のよいルールになることを警戒する教員も多いと思いますが、児童は責任感をもってルールメーキングする力は十分にあります。

児童の自治組織である運営委員会や代表委員会を活用したり、新たに校内改革委員会などを立ち上げたりして、話し合い活動をすることが考えられます。以下の段階を意識して、ルールメーキングを行ってみてください。

①学校の変えたいルールを募る。

②そのルールの意図や背景を調べ、児童に共有する。【教員共有】

③ルールの改善案を提案し、話し合う。(視点:対象=一部or全校、予想できる姿、変更することによるリスク)

④変更するルール(児童案)を決定する。【教員が確認、ブラッシュアップ】

⑤施行する。(場合によっては改善)

ルールは、行動を抑制するためにあります。しかしルールが行動を抑制するだけのものになると、児童の主体性や学校生活の楽しさが失われていくことにもつながります。
子どもたちが楽しくなる学校づくりを目指していきましょう!

角田 直也(かくだ なおや)

岡山県矢掛町立小田小学校 教諭


特別(聴覚)支援学校、青年海外協力隊(マラウイ)、公立小学校に勤務。
近年は、総合的な学習の時間に行う地域をフィールドにした活動を軸として、教科横断的なカリキュラム編成を実践・検証し、地域学習と教科学習の双方の深化について研究しています。
また、先輩教員のノウハウと新しい"観"の教育を融合しつつ、若手教員と共に学ぶ新しい研修方法を実践しています。

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