2026.08.30
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小学校で使えるソーシャルスキル「保護者に寄り添うとは」(NO.2)

前回、保護者がお子さんの様子に心配なことがあった際には、いきなり「苦情」という形をとるのではなく、「質問」や「相談」という形をとった方がいいのではないかというお話をしました。
この「質問してみる」というスキルは、誰に対してであっても有効だと思っています。「分からなければ聞いてみる」という単純なことなのです。そして、相手に不愉快な思いをさせません。

特定非営利活動法人TISEC 理事 荒畑 美貴子

しかし、誰でも不安が高まってくると、思い込みや想像で自分の考えをぶつけてしまいがちです。それは、教師とて同じこと。私自身も自重せねばならないと思っています。

さて、今回は相談を受けた教師が、保護者の気持ちに寄り添うためのコツを考えてみましょう。というのは、丁寧に対応していたとしても両者の溝が埋まらないばかりか、関係を悪化させるケースもあるからです。

1 相手の不安や心配を受け止める

保護者は、「我が子が泣いて帰ってきた」「学校に行きたくないと何度も言う」といったことがあれば、当然不安になります。ですから、こういった情報を保護者から伝えられたら、教師が誠実に対応するのは言うまでもありません。

しかし中には、「どうしても水筒が見つからないので、学校にあるはずだ」といった、理不尽な苦情をいただくことがあります。そして、そういったことが重なると、その保護者に対しての誠実さが薄れていってしまう危険性があります。

教師とて人間ですから、苦情に傷つくこともあれば対応するのが嫌だなと思うこともあるでしょう。ただ、そう思ってしまうと、解決への道のりは遠ざかると考えた方がいいと思います。

まずは、保護者の方が不安であることを受け止める言葉を伝えましょう。「お気持ちをお察しします」とか、「嫌な気持ちにさせてしまって、すみません」などです。自分が悪いと決まったわけでもないのに、謝罪するのはおかしいと思われる方がいるかもしれませんが、ここでの謝罪は、相手のネガティブな気持ちに対するいたわりであって、自分を卑下したりミスを認めたりするものではありません。

ごくたまに、家庭で虐待されているのではないか、ネグレクトなのではないかなどと疑われるケースにも遭遇しますが、極端な例を除き、保護者は一生懸命に子育てに向き合っているのです。それが、不器用な形に見えたとしても、懸命な姿勢に対して共感したり、いたわりの感情をもったりすることが肝要です。

2 紋切り型の回答をしない

教師の中には、こう言ってしまうと墓穴を掘るのではないか、自分に不利益になるのではないかという気持ちがまさるあまり、丁寧な表現で伝えたとしても相手に本心が伝わっていないということがあります。相手が揚げ足を取ってくることのないよう、当たり障りのない表現で伝えようとするからです。

しかし時として、そういった表現は相手に誤解を与えてしまいます。「この先生は、この問題に本気で向き合っていないのではないか」「うちの子どもを心配しているというのは、口だけではないか」といった疑念を抱かせてしまうのは得策とはいえません。

内容にもよりますが、私は自分の体験でつらかったことを伝えることがあります。いじめられそうになった経験や、学校に行きたくないといった気持ちをもったときのことを話すこともありますし、我が子が問題を抱えたときの親としての気持ちを伝えることもあります。それは、心を開いて話すという一例です。

もちろん、若い先生にとっては、経験から話すことは難しいでしょう。でも、本気で問題と向き合おうとする熱意は、伝わるものです。その子どもがかけがえのない存在であると思っていることや、保護者の不安に何としても寄り添いたいという気持ちは伝わるのです。保身にばかり気をとらわれることなく、正々堂々と自分の考えを伝えていってほしいと思います。

3 事前の対策をとっておく

大勢の人同士が関わる学校では、問題が起きることを防ぎきれるものではありません。子どもたちが常に相手を思って表現するとは限りませんし、全員の子どもたちが100パーセント理解できるような授業を続けていくことも不可能だからです。

では、どのようなことが対策になるかというと、子どもたちを日々よく観察することです。勉強しているときも遊んでいるときも、一人一人をよく見ておきましょう。そして、印象に残ったことがあれば、メモしておくといいと思います。

私がよくやるのは、大学ノート見開き分に一人分が記入できるように名前を書いておき、気づいたときに日付とメモを書き入れる方法です。これだと、個人の情報が一目で分かります。もちろん、個人情報になりますから、保管場所には気をつけなければなりません。ノートの保管が難しいと思うなら、放課後にあったことを思い出しながらパソコンで入力するのも手だと思います。

実は、このノートは、個人面談のときに力を発揮してくれました。学習面のみならず、給食当番を頑張っていたとか、友達とけんかをすることもあるけどすぐに仲良くなるといったことを、保護者に伝えやすかったからです。

そして、これらの情報がいざというときに解決の糸口になるかもしれませんし、保護者との信頼関係が解決を円滑なものにしていくのだと思います。

荒畑 美貴子(あらはた みきこ)

特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com

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