算数と学級通信が紡ぐ家庭と教室の温かいドラマ
算数科の授業と学級通信をテーマに、教室の学びのドラマを家庭へ届ける連載。
4年生の分数の授業を例に、子どもが数の本質に気付くプロセスと、それを学級通信で共有し学級づくりに生かす実践を紹介します。
山口大学教育学部附属山口小学校 有村 竜希
連載スタートに寄せて
はじめまして。山口県で教員をしています有村 竜希(ありむら たつき)と申します。この度、学びの場.comで連載をさせていただくことになりました。
これからの連載では、算数科の授業と学級通信の2つをメインテーマに据えて綴っていきます。読者の皆さまに1つでも参考になることがあれば幸いです。
学級通信で、学校生活のドラマを家庭に届ける
学級通信を書き続ける最大の理由は、子どもたちの学校生活のありのままの姿を家庭に届けたいからです。
教室では、休み時間の友達との何気ないやり取りや、行事へのひたむきな取り組みなど、通知表には書き切れないほどのたくさんのドラマが生まれています。学級通信は、そんな学校生活の様子を保護者と共有し、子どもの成長を喜ぶための大切なツールになっています。
子どもたちの学校生活の大半を占める日々の授業もまた、ドラマの宝庫です。ハッとするような子どものつぶやきや試行錯誤の過程を届けたいと思っています。しかし、学校から家庭に持ち帰るプリントでは、正解か不正解かという結果しか伝わらず、その裏にある深い学びのプロセスは抜け落ちてしまいます。
だからこそ、授業の熱量や、思考の過程が見える黒板の写真、そして子どもたちの発見、自分の目で見て感じたことを学級通信に書き、家庭へ届けるようにしています。
そのように学びの過程を伝えると、保護者の見方が変わります。「夕食のときに、子どもが算数の話をしてくれました」「温かく見守ってくれてありがとうございます」といった声が寄せられるようになりました。
算数科を中心に研究していることもあり、算数科の実践と学級通信でどのようなことを家庭へ伝えているのかをお届けします。
分数の見方を「切り分ける」イメージから「目盛りとして測る」考えへ
では、実際に通信で伝えたくなるような「算数のドラマ」とはどのようなものか。先日、4年生の教室であった出来事を紹介します。
分数の学習は、4年生にとって大きな壁になることがあります。なぜなら、子どもたちは、分数を「1枚のピザを4つに切り分けた1つ分(1/4)」のように、形あるものを「分ける」イメージで捉えているからです。実際に私のクラスで行ったレディネステスト(単元前の定着度調査)でもそのような結果になりました。
この「ピザのイメージ」のままでは、4年生で1を超える分数に出会ったとき、「1枚のピザを分けるはずなのに、どうして5/4(4つに分けたものが5つ)もあるの?」と混乱してしまいます。
そこで4年生の算数では、分数の見方を「ピザを切り分ける」ものから、「1/4という『目盛り』がいくつ分あるか」と考え、「長さやかさを測る」ものへと、大きくアップデートさせる必要がありました。
「どちらの数が大きいでショー!」分数と小数の授業実践
学年末が近づいた3月の授業。黒板に「どちらの数が大きいでショー!!」を掲げ、分数と小数の大きさ比べを行いました。
白熱したのは1/5と0.2の比較です。4年生はまだ約分などの計算方法を習っていません。子どもたちが武器にしたのは、教室に掲示した0から1までの大きな数直線でした。
ある子が数直線の目盛りに着目して言いました。
「0.2は、0.1という目盛りが2こ分でしょ。1/5の場所も、数直線の幅を見ると1/10の目盛りが2こ分になっているよ!」
「あっ! 1/10も0.1も同じ長さだから、どちらも『共通の目盛りが2つ分』だ!」
一見すると表記が全く違う1/5と0.2が、数直線上では同じ場所にピタリと重なる。計算のテクニックに頼らなくても、数直線を定規のように使うことで、子どもたちは分数と小数の共通性を自らの手で発見したのです。
「いくらでも分けられる数」という分数の本質に気付く
この学びは、授業後の振り返り「1枚ポートフォリオ」でも見取ることができました。ある子が、こんな言葉を残していたのです。
「小数は10こにしか分けられないけれど、分数とは、小数とはちがい、いくらでも分けられて、1よりも小さくも大きくも表せる数」
これはまさに、子どもが小数の限界に気付き、ピザを切り分けるというイメージを自ら突破して、分数の持つ自由さと本質を見いだした瞬間でした。
こうした学校生活の中で生まれる子どもの豊かな思考と、それを温かく見守る教室の空気。そして学級通信を通じた家庭の協力があってこそ、本物の力が育ちます。
今後の連載でも、「学校生活や算数の授業で見つけた子どものドラマ」や、それを「学級通信でどう学級づくりへ還元していくか」という視点で、実践を共有していけたらうれしいです。どうぞよろしくお願いいたします。

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