2026.08.22
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「違い」を「共創」の力に変えられるか? ―パプアニューギニアで見つけた国際理解教育と開発教育―

国際理解教育/開発教育とは、異なる文化を知るだけの教育なのでしょうか。
違いを共創の力に変え、共に未来を造る教育とは何か。パプアニューギニアでの出会いを通して、私自身の教育観が揺さぶられ、変わっていきました。

目黒区立不動小学校 主幹教諭 小清水 孝

最初に浮かぶ言葉は「共創」

JICAパプアニューギニア事務所で共創を振り返る

2026年度JICA教師海外研修(教育行政コース)の機会をいただきました。
パプアニューギニア(PNG)を訪問し、JICA事業の視察や関係者との意見交換を通じて理解を深めました。帰国後は、国際理解教育/開発教育を担うリーダーとして各地域で推進を図ります。

本研修を振り返りたいと思います。
私は毎日、ジャーナリングをしています。今回は、ジャーナリングノートに書き留めた言葉を拾いながら、研修を振り返ってみます。

今、研修を振り返って最初に浮かんでくる言葉は「共創」です。
研修中、私は在パプアニューギニア日本国大使やJICAパプアニューギニア事務所長に、次のような問題意識を語りました。

「ドラえもんとのび太くんなら、この社会課題をどのように解決するか?」

この問いが、今回の研修を通して、私の中で少しずつ大きくなっていきました。

出会った人々が変えた私の教育観

 

JICA海外協力隊の授業(ソゲリ小学校) 

今回の研修では、実に多くの方と出会いました。
PNGの教育開発に30年以上従事されている方。
首都ポートモレスビーの公衆衛生環境を改善するため、下水処理施設で尽力している職員の方。
PNG教育省と連携し、教育支援に尽力しているJICA職員の方。
そして、現地の小学校で「現地・現場・現物」を大切に活動しているJICA海外協力隊員。

出会った方々に共通していたのは、野心ではなく、志を抱いて活動していたことです。
社会の課題を「誰かが解決してくれるもの」と考えるのではなく、自分自身がその課題の当事者となり、周囲の人々と力を合わせながら、一歩ずつ前に進んでいました。

こうした方々との出会いによって、私自身のナラティブは紡ぎ直され、少しずつ変化していきました。そして、これからも絶えず変化していくのだと思います。

自分のものの見方や教育観が変わっていく中で、私はふと、あることを考えるようになりました。

「なぜ、ドラえもんは50年以上にわたって人々に愛されているのだろう?」

そして、「なぜ、私はこんなにもドラえもんが好きなのだろう?」

ドラえもんから気づいた「共創」のかたち

 

JICAが有償資金協力した首都ポートモレスビーの下水処理施設 

その答えを考えているうちに、私が「ドラえもん」を好きになった日のことを思い出しました。
『ドラえもん』第5巻(小学館)に収録されている「重力ペンキ」という作品です。

この作品では、家が狭く友達を呼べずに困っているあばら谷くんを、のび太くんとドラえもんが秘密道具「重力ペンキ」を使って助けます。

しかし、今振り返ってみると、私が惹かれていたのは、秘密道具のアイデアのすごさや便利さではありませんでした。
のび太くんとドラえもんの生き様そのものに、私は惹かれていたのだと思います。

物語の中には、次のようなプロセスがあります。

① のび太くんは、友達が困っていることに気づき、「どうしたの?」と尋ねる。
② のび太くんは、友達の不安や悩みに寄り添い、共感する。
③ のび太くんは、すぐには解決できない難題にモヤモヤする。
④ のび太くんは、ドラえもんに相談する。
⑤ のび太くんは、ドラえもんから借りた秘密道具を使い、友達を助ける。
⑥ のび太くんは、友達が喜ぶ姿を見て、自分もうれしくなる。
⑦ のび太くんは、達成感や成就感、喜びをしみじみと味わう。

私は、このプロセスの中に「共創」があることに気づきました。
のび太くん一人では解決できません。ドラえもん一人でも、そもそも問題は生まれません。
のび太くんが困っている人に気づく。相手に寄り添い、共感する。
一人では解決できないから、誰かに相談する。互いの力を持ち寄り、解決策を生み出す。

そして、相手の喜びを自分の喜びとして感じる。
そこにあるのは、一方的な支援ではありません。
「共に創る」という関係です。

私は、パプアニューギニアで尽力している方々の活動に、のび太くんの共創を見たような気がしました。
私がドラえもんが好きな理由はここにありました。

違うからこそ、共に創れる

では、国際理解教育とは何か。
開発教育とは何か。
研修中、私はこの問いを絶えず自分に投げかけてきました。そして今、現段階での私なりの答えが見えてきました。

「共感・共創で得たナレッジを、次世代に引き継ぐ教育」

これが、現時点での私なりの国際理解教育・開発教育です。
もちろん、これで答えが出たとは思っていません。これからの実践を通して、問い直し続けたいと思います。
今後、やりたいこと、やるべきことがたくさんあります。

在京パプアニューギニア大使館を表敬訪問します。
複数の教育インフルエンサーと共同でイベントを開催します。
国際協力・国際貢献に従事するJICA職員の方々の志を授業化します。
そして、学校と大使館をつなぎ、日本とPNGの教育・文化交流を生み出します。
一つ一つ、実現していきたいと思います。

私は、日本とパプアニューギニアの違いを、競争の材料にはしません。
むしろ、両国の違いを共創の重要なリソースとして歓迎したいと思います。
イノベーションは、異なる既存知の掛け算によって生まれます。
そう考えるなら、違いは決して分断の要因ではありません。
違いは、新しいものを生み出すための資源です。だからこそ、違ってよい。いや、違うからこそ面白い。

日本とパプアニューギニア。
遠く離れた二つの国の違いから、どんな新しい教育を共に創ることができるのか。
今回の研修で得たご縁と問いを、これからの実践につなげていきたいと思います。
​​​​​​​
※本稿に掲載している写真および関係者・関係機関に関する記述については、JICAおよび関係者の了承を得ています。

小清水 孝(こしみず たかし)

目黒区立不動小学校 主幹教諭


フープ1本でできる運動を3つ以上言えますか? 
現場で使える技術、できる実践、リアルな指導法を日々追究しています。
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NPO教育サークル「GROW5th」代表。

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