小学校で使えるソーシャルスキル~「質問」や「相談」のかたちで伝える~
つれづれ日誌を1年間もご無沙汰してしまいました。理由は体調不良などではなく、単純に忙しさのあまりのエネルギー不足です。私はここ10年間ほどを臨時の立場で教師を続けていて、算数を担当することが多かったのですが、昨年度1年生を担任し、引き続いて今年度は2年生を担任するという年齢的に無謀なことをしていたのです。それで、学校の仕事だけで疲れ果てていたというのが実態です。
そうであっても、学級担任は子どもたちの成長が手に取るように分かりますし、頑張った分のご褒美を子どもたちの笑顔から受け取ることができます。本当にありがたい仕事だと思っています。
特定非営利活動法人TISEC 理事 荒畑 美貴子
さて、そんな立場で小学校の教育現場に立ち続けていると、子どもたちのみならず、保護者、教師のソーシャルスキル、あるいはコミュニケーションスキルの低さに驚かされることが増えてきました。
私が教師人生を始めたころには、保護者や先輩教師から学ばせてもらうことも多く、子どもたちのスキルも目立って低くはなかったのです。それなのに、この数十年での格差は、非常に大きなものになったなと感じます。
そこで、私が感じたことや、効果的であると思われるソーシャルスキルやコミュニケーションスキルをお伝えすることで、少しでも皆さんのお役に立てればと思いました。どうぞ、お付き合いください。
今回は、主に保護者の皆さんに向けて書いていますが、保護者の方だけに必要なスキルというわけではありませんし、保護者だけに改善してほしいという意図でもありませんので、ご承知おきください。
苦情の前に、何が原因なのかを考える
保護者から、一方的な苦情の手紙を受け取ることがあります。その方の感情があふれていて、読み手も圧倒されてしまいそうになることもあります。
お子さんが、学校での嫌な体験を伝えたり、学校に行き渋ったりすると、保護者の皆さんはパニックのようになってしまうのだろうと想像します。
「これまで順調だったのに、何が起きたのだろう」「きっといじめに違いない」「教師(あるいは学級担任)は知っていて対応してくれているのだろうか」「教師が厳しすぎる、もしくは甘すぎる。だから、こういうことになったのだ」などなど、そのように思われることは想像できますし、お気持ちもお察しいたします。
しかし、その感情を手紙や電話での対話にぶつける前に、一度原因について考えてみてはいかがでしょうか。
学校行事や習い事などで疲れているのではないか。学習で分からないことがあって不安になっているのではないか。仲良しの友達と喧嘩をしたのではないか。誰かとの関係の中で行き違いがあったのではないか。子どもが自分に都合のいいことばかりを伝えているのではないか……。
そう考えるうちに、思い当たることが出てくるかもしれません。自分たちで対処できることがあるかもしれないのです。
「苦情」ではなく、「質問」や「相談」の形をとる
原因を考えてみて自分では解決できそうになかったら、教師に聞いてみる、相談してみるという形をとることをお勧めします。
これは、逆も然りで、学校側から保護者に何かを伝えるときも同様です。子どもを間にして、大人同士が感情をぶつけ合ってもいいことはありません。互いの心にしこりを残すと、その後の関わりがギクシャクしたものになってしまいがちだからです。
それに、誰であっても、質問には丁寧に応えようと思いますし、相談となれば何とか力になってあげたいとさえ思うものです。そこにはネガティブな気持ちは入り込めません。
ただ、ここで注意しなければならないことは、教師は保護者から連絡を受けたら、それを誠実に受け止めなければならないということです。
相談といったかたちで、いわゆる大人な対応をされていたとしても、本当なら苦情を言いたかったのかもしれないと想像をしてみることが大事なのです。
「その後の様子」を伝え合う
保護者から連絡を受けたら、教師は必要に応じて学年や学校全体に共有したり、管理職に報告や相談をしたりして問題の解決にあたります。
そして、どのようなことがあったのか、どう解決しようとしているのかについて、学校側からの見解として説明が行われると思います。
保護者の皆さんは、それを受けて、お子さんの様子に良い変化があったのかどうかを、よく観察してください。しつこく聞き出そうとしたり、教師や学校を批判したりするのは逆効果になるのでやめた方がいいと思います。
そして、「その後の様子」を伝えていただくと、解決が円滑になります。
学校と家庭、お互いの場で子どもたちが元気に過ごせているとするならば、問題は解決したとみることができるからです。

荒畑 美貴子(あらはた みきこ)
特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com
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