ある学級の出会い~教師自身の「助けて」と言えるスキルを高める~
以前の記事でも、頼り合える関係性を教室につくる大切さについて書きました。
そこで今回は、教師自身の「助けて」と言える(援助要請)スキルについて、もう少し具体的に考えてみます。
埼玉県公立小学校 石井 雄大
一人で抱え込む教師が教室に与えるリスク
多くの真面目な先生ほど、自分のクラスの問題は、自分一人で解決しなければならないという強い責任感に縛られがちです。
しかし、不登校や発達障害など、子どもたちの抱える課題が多様化している現代において、担任一人に頼る学級経営は危険です。
教師が「助けて」を言えずに孤立すると、心身の余裕が失われ、無意識のうちに表情や声のトーンが険しく、硬くなってしまいます。この微細な非言語情報は、子どもたちにダイレクトに伝わり、教室の心理的安全性に影響を与えてしまいます。
包摂を実現する学級経営とは、問題を起こさせないように管理することではありません。不適応が起こることを前提とし、問題が生じたときにいかに多くの大人の手で多角的に解決していくかという、状況調節の力量が問われているのです。
頼れる人リストで支援を可視化する
教師の援助要請スキルを高めるために、今すぐ始めたいのが、自分自身を取り巻く頼れる人を整理することです。
教室の外にも、頼れる人や機関は多くあります。スクールサポートルームのスタッフやスクールカウンセラーなど、子どもに関わる人は校内にも複数います。そしてスクールサポートルームのスタッフ。さらには、学校外の医療機関や民間機関まで、あらゆる存在がリストの対象となります。
このように、学校内外の人的環境とチームを組み、支援をつないでいく仕組みを整えることこそが、次世代の教師に求められる専門性です。
「助けて」と言える教師の姿が、子どもを育てる
教師が周囲の人を頼る姿を見せることは、実は子どもたちに対する有効な教育になります。
クラスの中に存在する成長差により、子どもたち自身も「みんなと同じようにできない」「しんどい」という不適応の苦しさを抱えています。
そんなとき、担任が職員室の先生や専門スタッフを頼り、チームで問題を解決していく姿を目にすることで、子どもたちは「人は困ったとき、誰かに頼ってもいいんだ」という安心感を学びます。
支援の形を見えやすくすることで、教室には、誰かを頼ることを否定しない関係性が育まれます。教室には誰にでも優しくなれる関係性と支え合う文化が育まれます。
これからの時代の教師の力量は、頼れる力に比例します。
教師自身がしなやかに「助けて」を言い合い、周囲とのネットワークを紡いでいくこと。それこそが、多様な子どもたちを誰一人取り残さずに包み込む、優しく強い学級経営のあり方なのです。

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