2026.07.01
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この夏、子どもに特別な体験をさせてあげよう

私、アグネス・チャンがこれまで学んだ教育学の知識や子育ての経験をもとに、学校や家庭教育の悩みについて考える連載エッセイ。夏休みが近づいてくると、子どもたちはワクワク、親はちょっとドキドキする季節です。今回は「この夏、子どもに特別な体験をさせてあげよう」をテーマに考えました。

夏休みは、思い切り遊んで、少し苦労も経験する時間

 

 

夏休み、皆さんはどんなふうに過ごす予定ですか。予定を立てるのが楽しみな方も、長い休みをどう過ごさせようか悩んでいる方もいると思います。私は息子たちが小さかった頃から、夏休みは思い切り遊んでほしいという気持ちがありました。あまり「勉強、勉強」とは言いませんでした。遊んで、挑戦して、苦労する。そういう時間が大切だと思っています。

我が家の夏の恒例行事は、パパと男の子たちだけの「小銭旅行」でした。一年間貯めた小銭を持って、どこかへ出かけるのです。お金に余裕があれば民宿に泊まり、なければ素泊まりでコンビニのお弁当、それも足りなくなったらテントを張ります。バスに乗ったり、ご飯を食べたり、お金の計算もしながら旅をするのです。
当時は携帯電話もありませんから、電話は夜に一本だけ。「温泉に入ったよ」などと報告を聞くのが楽しみでした。家族のきずなも強くなり、一生の思い出になったと思います。

一回の旅行で、子どもはびっくりするくらい成長します。いつもと違う場所に行き、体験することで、何かを吸収しているようです。自転車や徒歩で遠くまで行ってみるといった体験でも十分です。大切なのは、普段できないことを計画してやってみること。それだけで子どもは大きく変わります。

小さな達成感を積み重ねて、夏を特別にする

毎日家にいると、どうしてもスマホやゲームに向かってしまいがちです。そんなときは、できるだけ家にいないようにするのも一つの方法だと思います。公園でもどこでもいいので、外に出て体を動かしていればスマホを触るひまがなくなります。お金を使わなくても、公共の遊び場や博物館など過ごせるところはたくさんあります。

夏に何か新しいことを始めるのもいいと思います。あまり大変なことでなくていいのです。「ティラミスを作れるようになろう」「ダンスを覚えて家族で踊ろう」などのちょっとした挑戦です。ティラミスなら半日で作れますよね。ダンスなら、子どもが一人でいる時間に少しずつ練習して、家族もそれぞれ覚えて、あとでみんなで踊ってみるのも楽しいと思います。一人の時間を、ただスマホを見て過ごす時間にしないためにも、「今日はこれをやってみよう」という小さな目標を用意しておく。ひとつ達成したら、次へ。そうやって小さな達成感を積み重ねていくことが、子どもの自信につながります。

うちでは子どもたちが退屈したときは、ホースで水を掛け合ったり、水風船を投げたり、バカバカしいこともやりました。みんなで大騒ぎしたり、たくさんの餃子を包んで餃子大会をしたり、頭も使ってほしいので、ボードゲームもやりました。

宿題も、最後の一週間で慌ててやるのではなくて、私は大プロジェクトにしていました。絵日記なら、ただ書くだけではなくて「飛び出す絵日記」にします。どう作れば、開けたときに動いて見えるかを調べて作ります。普段あまりやらないことを楽しくやるのです。

そして、せっかくの夏休みです。私は毎年プールや海に連れて行って、夏休みの間に泳ぎを教えてしまいました。自転車や縄跳び、鉄棒など、まだできていないことがあれば、ぜひこの夏にやってしまいましょう。

学校と仕事、子どもの夢を育てる体験をしよう

夏休みには、将来につながる体験をするのもおすすめです。進学したい学校や地域の大学を見に行くのはどうでしょうか。まだ先のことだと思っても、実際に学校の空気を吸ったり、学食で食べたりすると、子どもの中に夢が生まれます。地域に開放している大学も多いので、ぜひ調べて訪ねてみてください。

私は、友人に頼んで職場見学のようなこともやりました。政治に興味があった長男は、政治家のもとへ。一ヶ月、インターンとして働いて、「僕は政治家に向いてない」と言って帰ってきました。政治家になっても面白い子だなと思っていたので、私は少し残念でしたけど、現実を見ることも大事な体験です。次男は音楽に興味があったので、バンドの練習を見せてもらって、三男は編集者になりたかったので、新聞社へ行かせてもらいました。

子どもにとっては夏休みでも、大人は働いているので見学に行けるのです。こうした体験は、大人が計画しないと、なかなかできません。知り合いに頼んでみると、半日くらいなら「いいわよ」と言ってくれることもあります。顔なじみの八百屋さんでもいいし、カフェでお皿を洗わせてもらうでもいいでしょう。後ろで見せてもらうだけでも、きっとよい経験になります。大人の社会を見ることで、子どもの中に将来の夢が少しずつ形になっていきます。

夏休みは、本当に大好きです。「あの夏にこんなことをしたね」と、何年たっても語り合えるような思い出を一緒に作ることができたら素敵だと思います。

関連情報
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結婚してもしなくても女は不利なの?
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著:上野千鶴子/アグネス・チャン
発行:Gakken
価格:1,760円 (税込)

アグネス・チャン

1955年イギリス領香港生まれ。72年来日、「ひなげしの花」で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、78年カナダ・トロント大学(社会児童心理学科)を卒業。92年米国・スタンフォード大学教育学部博士課程修了、教育学博士号(Ph.D.)取得。目白大学客員教授を務め、子育て、教育に関する講演も多数。「教育の基本は家庭にある」という信念のもと、教育改革、親子の意識改革について積極的に言及している。エッセイスト、98年より日本ユニセフ協会大使、2016年よりユニセフ・アジア親善大使としても活躍。『みんな地球に生きるひと』(岩波ジュニア新書)、『アグネスのはじめての子育て』(佼成出版社)など著書多数。2009年4月1日、すべての人に開かれたインターネット動画番組「アグネス大学」開校。2015.6.3シングル『プロポーズ』release!!(Youtubeで公開中)

AGNES CHAN OFFICIAL SITE ~アグネス・チャン オフィシャルサイト

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