2026.06.30
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その「決まり」は原則ですか、規則ですか

学校には、教室には多くの決まりがあると思います。
今回はその決まりについて深掘りして考えてみます。

福島市立福島第一小学校 教諭 横山 淳平

決まりには二つの性質がある

学校にもともとある決まり。
その年にだんだんとできていく決まり。

「廊下は走らない」
「宿題は家でやってくる」
「先生の話を黙って聞く」

どれも、大切なことばかりです。

でも私は、この決まりという言葉に気を付けています。
というのも、一つの言葉の中に、実はまったく性質の違う二つのものが混ざっているのではないか、と思っているからです。

その二つとは、規則と原則です。

規則は一本の線を引く

私は規則という言葉から、一本の線をイメージしています。

「これより上はOK」「これより下はダメ」。
線の上か下か、内か外か。できているか、そうではないか。
そうやって判断していく考え方です。
教師があらかじめ置いたその線を、子どもが越えているのかどうかという見方をしていきます。

この規則という決まりには、強さを感じます。
誰に対しても同じ基準で測れるし、子どもにとってもどこまでがセーフなのかが見えやすい。もちろん我々教師にとっても。

でも、線を引くということは、必ずどこかで「こぼれ落ちる子」が出る仕組みをつくってしまっているということでもあります。
その線をまたげなかったのは、その子なりの事情があるかもしれないのに。
規則という決まりで見ていると、その子はできなかった子として、線の外側に置かれてしまうのです。

原則は、風呂敷のように包む

一方で原則というのは、線ではなく風呂敷をイメージします。
風呂敷は、中に入れるものの形に合わせて、自分のほうが形を変えていくものです。
四角も丸もいびつな形も、その形を認識して後から包み込むわけです。

原則も、同じ感覚だと感じます。
「なぜ、それを大切にするのか」という、もとになる考えだけがまずある。
あとは、その子のいる位置まで、こちらがあとから形を変えて包みにいく。

「廊下を走らない」という決まりを規則として見れば、走った子はアウトです。
でも、「お互いが安全に過ごせるように」という原則として見れば、どう捉えられるでしょうか?
転んだ友達を助けようと走り出した子を、私たちは叱るでしょうか。

線の上か下かではなく、その子がどんな位置にいるのかを、まるごと包み込む。
そんな原則には、優しさを感じさせる力があると思います。

大切なのは、教師の自覚と、子どもとの共有

ここで一つ、お伝えしたいことがあります。

原則は、優しい。
だけれども、扱い方を間違えると、ただの先生の気分になってしまいかねません。
その日の機嫌で包んだり包まなかったりしたら、子どもからすれば「なんであの子はよくて、自分はダメなの?」となってしまいますよね。不公平感、ひいき感が生まれてしまいます。

だからこそ大切なのが、二つのことだと思っています。
一つは、教師である自分がこの瞬間に、規則で見ているのか、原則で見ているのかについて自覚しているということ。
そしてもう一つは、その原則を、子どもたちとちゃんと共有していることです。

「私たちは、なぜこれを大切にするんだっけ?」

そこが共有されていれば、子どもたちが自分たちのことを考えるようになります。
原則が、先生だけのものではなく、クラスみんなのものになっていくと思うのです。

共有された原則は、もう先生の気分ではありません。
それが、原則が優しさのままでいられるための、一番大切な条件なのだと思います。

おわりに

「決まり」という言葉は、規則も原則も、まとめて包み込んでいます。
だからこそ、自分が今どちらのつもりでその言葉を使っているのか、立ち止まって考えてみたいと私は考えています。

私は、どんな子も線の外に置かない、原則で成り立つクラスをつくっていきたい。
一人ひとりの違う形を、風呂敷のように包み込めるクラスでありたいと思っています。
「言うは易く行うは難し」なのは分かっていますが「言ったことしか現実化しない」とも思っています。

今回は、「決まり」をめぐる規則と原則について、考えていることを書いてみました。
皆さんの学校、教室に存在する決まりは、規則でしょうか。
それとも、原則でしょうか。
一度ゆっくり考えてみませんか?

横山 淳平(よこやま じゅんぺい)

福島市立福島第一小学校 教諭


早稲田大学大学院教育学研究科修了 修士(教育学)、日本金融教育支援機構教員アンバサダー、東北社会科を面白がる会・ふくしま社会教育士の会事務局、その他FPやICT関係の資格保有。
「子どもがいるから学校がある」をモットーに、教師としてできることを考えています。

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