言葉の選び方でもっと伝わる学級通信~「叙情」と「叙事」の使い分け~
今回は、学級通信をより魅力的にする「叙情的」と「叙事的」な表現の使い分けについて考えます。
実際に発行した学級通信の文面をもとに、保護者が思わず読み入ってしまうような心地よいリズムの作り方をお届けします。
山口大学教育学部附属山口小学校 有村 竜希
学級通信で保護者に伝える表現
前回は、教室で起きているたくさんの出来事に光を当て、教師自身の願いや思いを通して、その価値を映し出すレンズの役割について書きました。
では、そのレンズで捉えた教室のドラマを、実際にどのような言葉でつづれば、保護者の心へまっすぐに届くのでしょうか。
学級通信を書く上での具体的な表現について深掘りしていきます。
学級通信にリズムを生み出す「叙情と叙事」の使い分け
学級通信を書く際、目的に合わせて叙情的(感情や情景に訴える)な表現と、叙事的(事実をありのままに伝える)な表現を意識して使い分けています。
この2つを場面によって使い分けることで、学級通信全体にリズムが生まれ、保護者の方も飽きずに読み進めることができるのではないかと考えています。
では、これらをどのように使い分ければよいのでしょうか。実際の学級通信から3つの場面に分けてご紹介します。
学校行事は叙情的に伝える
運動会や音楽会といった学校行事は、子どもたちの感情が大きく揺れ動き、クラスのドラマが生まれやすい場面です。ここでのおすすめは、叙情的に書くことです。
例えば、運動会後の学級通信では、負けてしまった白組の姿を次のように書きました。
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白組の陣地を満たしたのは、静かな、けれど確かな誇りでした。そこに、がっくりとうつむく姿はありませんでした。(中略)まっすぐ前を見つめる子どもたちの瞳に宿っていたのです。
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叙情的に書くことのよさは、勝敗という結果だけでなく、そこに至るまでの心の葛藤や絆の深まりという目に見えない成長を、保護者の胸に響く言葉で届けられる点にあります。
一方で、行事前の当日のタイムスケジュールや演技図などは、事実のみをすっきりと記します。そうすることで、保護者は客観的な事実を正確に把握でき、安心して本番の見通しをもつことができます。
授業の学びは叙事的に伝える
日々の授業や話し合い活動など、知的な追究が行われる場面でのおすすめは、叙事的に書くことです。
例えば、理科の春の植物の学習に関する学級通信では、子どもたちの姿を事実ベースでそのまま載せました。
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ムラサキカタバミだけ球根から育っているよ!」「ほかにはどんな植物が球根で育っているのかな?」発見したことを次々にノートに書き留めていました。
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叙事的に書くことのよさは、今、どのようなステップで学びが進んでいるのかがクリアに伝わることです。
また、子どもたちのありのままの発言をそのまま載せることで、授業のリアルな盛り上がりや思考のプロセスがストレートに伝わります。
一方で、図工の作品づくりなどの表現活動では、叙情的に書くこともあります。
日常の決め事は叙事的に伝える
係活動や片付けなど、集団生活の基礎となる日常場面でおすすめなのは、叙事的に書くことです。
例えば、本の持ち込みルールでは、「自分で管理をすることと、友達同士で貸し借りしないことになっております」と端的に記しました。
叙事的に書くことのよさは、クラスの決め事を保護者へ確実に周知できることです。誰が、何を、どうするかを必要以上に感情を交えずに伝えることで、認識のズレを防ぐことができます。
目的に合わせて筆を持ち替える
叙情と叙事。この2つの筆遣いを意識するだけで、学級通信の紙面は驚くほど立体的になります。
大切なのは、今、保護者に何を一番伝えたいのかという目的を明確にすることです。事実を共有して共通理解を図りたいのか、それとも、感動を共有して一緒に子どもの成長を喜んでほしいのか。
その目的に合わせて筆を持ち替えることができれば、保護者と、クラスの様子をより深く共有でき、学級通信はさらに力を発揮します。
ぜひ、学級通信を書く際に、ほんの少しだけこの使い分けを意識してみてください。
次回は、学習に関することと日常に関することを叙情的に表現する具体をお伝えしたいと思います。
授業づくり研修会のお知らせ
2026年6月26日(金)に山口大学教育学部附属山口小学校を会場として「授業づくり研修会」が開催されます。当日は、県内外から先生方が、子どもたちの普段の学びの様子を参観に来られます。
今回、私も公開授業①において、算数科第3学年「倍の計算」の授業を公開することになりました。
たくさんの先生方に囲まれて少しドキドキする空間になるかもしれませんが、子どもたちがいつも通り仲間と顔を合わせ、「なぜ?」「なるほど!」と生き生きと思考を深めていく、そんな算数のドラマあふれる姿をしっかりと支えていきたいと考えています。
ご都合がよろしければ、ぜひご参加ください。
申し込みは、以下のページからお願いします。

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