誰でもできるペア対話の指導法「質より量を重視せよ」(2)
学校にも少しずつ慣れ、授業にも力を入れようと思いつつ、なかなかペア活動がうまくいきません。
そんなときはどうすれば良いでしょうか。
大阪府泉大津市立穴師小学校 大橋 健太郎
ペア対話の習慣化が児童の主体的な学びを引き出す
前回は心理的なハードルを下げるために、「にらめっこ」から取り組みました。遊びのようで学びでもある取り組みです。
これを続けることで次へのステップが見え、児童から「次は〇〇がしたい」とアイディアが出てくるかもしれません。一つの取り組みを習慣づけてやり続けることで、更に進化するものです。
さて、今回は「対話は質より量」ということをお伝えします。
ペア対話といえども、簡単ではありません。ペアで話せるようになるためには、回数と成功体験が必要になります。質より量とはどういうことか、ペア対話のちょいポイントは何かを解説します。
質より量とは簡単なことを何度も繰り返すこと
ここでいう「質より量」とは、簡単なことを何度も行うことです。この「簡単なこと」は、私の中で2つあります。
1つ目は学習の場面です。例えば、算数の授業では、式や答えを書いたら隣と確認し合います。目的はペアと確認することで、自分の解答に自信を持たせることです。
2つ目は話の聞き方の確認です。例えば、「今から3つのことを言います。1つ目は・・」と指示をした後に、「では、先生が言った3つのことを隣と確かめましょう」と促します。教師の指示を確かめることにもペア対話を使います。
最初は確認から入ること。これが大きなポイントです。
ちょいポイント① 良い姿を認める価値づけ
ペア対話の回数を多くすることは有効です。しかし、1回の授業で3回活動を設けても、実際には1回しかできなかった、もしくは0回であれば話は変わります。設定した回数をできた方が学習効果は高くなります。
では、継続させるポイントはなんでしょうか。それは価値づけです。具体的には、良い姿を認めてあげることです。例えば、質問し合いながら、話をしている児童がいたとします。そんなときは、全体にこう問いかけます。
「このペアはずっと、話を続けることができました。どうしてだと思う?」
まず、予想させます。その上で、実際に「どうやって二人でやっていましたか」と聞き、「質問をした」や「お話を最後まで聞いた」などの答えを引き出します。
「〇〇をしていたんだ。だから、こんなに続いたんだ。すごいね」と全体に伝えて、再度、取り組むようにします。
これは指導のほんの一部ですが、このように価値をつけることで、周りの児童は真似をし、認められた児童はさらに続けようとします。
伝えることで、クラス全体の相乗効果をねらっていきます。
ちょいポイント② モデルとお手本で分かりやすく
価値づけをしても、中にはできない児童もいます。そのために、「モデル(お手本)を示す」ことが鍵となります。実際に取り組む前にお手本として、児童に示すのです。
「お手本を見せてくれる人?」「誰かやってくれる人はいるかな?」と問い、児童に取り組んでもらいます。その時の教師の役割は、解説です。
「最初に〇〇をするよ」「お話をするときは、『私は〇〇と思いました。理由は・・・だからです』と答えます」などと丁寧に伝えます。お手本を示し、全体にわかりやすく伝えることで、児童も取り組みやすくなります。
ちょいポイント③ 対話が苦手な児童には教師が支援する
モデルを示し、価値づけをすることで大半の児童は取り組むことができます。しかし、それでもうまくいかない児童もいます。
ついつい感情的になると、児童のモチベーションが下がります。そのため、このときに教師がすることは、一緒にペア対話の中に入ることです。
教師から「今はどんなお話をしているかな」「〇〇さんはどう思うの?二人の似ているところや違うところはどこかな」などと質問する姿を見せます。
そして、「なら、今から違うところと同じところを伝え合おうね」と、二人で話をできる場を作ります。
少しだけ関わりながらアプローチしていくことで、その児童も話ができるようになります。
焦らず丁寧に児童を観察することが指導成功の鍵
ペア対話がうまくいくと、子どもたちは活発になります。そんなとき、どうしても、「早く全員ができるようにさせないと」と焦るかもしれません。しかし、大切なことは、「どうしてできないのか」「どんな支援が必要なのか」と考えることです。
できないという現象だけに目を向けるのではなく、子どもたちの状態や表情から、本当の原因を探ることが鍵となります。常に心がけることは、「焦らず 丁寧に」です。児童の様子をじっくり観察することで、本当の原因が見えてくるはずです。

大橋 健太郎(おおはし けんたろう)
大阪府泉大津市立穴師小学校、kyoso's サークル所属、国語教育 大阪探究の会所属
「こどもの思考が生きる」授業を目指して、日々子どもたちと共に学んでいます。
子どもたちが教えてくれたこと、子どもの姿から学んだことを読者の皆様と共有していければと考えています。
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