2026.03.13
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教員の締め切りストレスを緩和する「校務DXサイト」の活用法

多くの学校で教員の超過勤務時間削減に向けてさまざまな取組が実践されている一方で、若手教員に対する効果的な研修や、多忙感の解消などが話題になっています。
教員の業務内容には慣例的なものも多いため、業務内容を削減するには組織的な改革が必要です。
ここでは、個々の教員の業務改善や効率化によって業務の負担感を減らす方法を提案します。

岡山県和気町立佐伯小学校 教諭 角田 直也

締め切りに追われることは、ストレスを増大させる

どの仕事にも締め切りは付き物です。教員は、保護者や児童に対しての集金や各種注文などを依頼する担任業務の締め切りと、教育委員会からの調査や職員会議の書類を作成する分掌業務の締め切りがあります。
担任業務に関しては、担任児童数が増えればなかなか提出物がそろわず、保護者に問い合わせを繰り返すうちに全体集約の締め切りが迫ってくるでしょう。分掌業務に関しては、小規模校ほど1人当たりの分掌数が増える傾向にあります。そのためタスクを管理しきれず、管理職から突然締め切りを伝えられることもあるでしょう。

タスクが多ければ、優先順位をつけて仕事に取り組みます。しかし、日頃の忙しさの中で、手がつけやすい仕事を優先し、考えたり相談が必要だったりする仕事を先延ばしにしていないでしょうか。この先延ばしが、結果的に「多忙感」や「負担感」を増大させてしまいます。

心理学的にも、業務を先延ばしにして生産性の低下を生む「エメットの法則」や、締め切り間際で集中力を向上させると同時にストレスを増大させる「締め切り症候群」などの言葉があります。締め切りと負担感は関係が深いのです。

優先順位と提出状況を視覚化することで、締め切りの見通しをもつ

 

優先順位、締め切り、提出状況の一覧を一括で提示(筆者作成)

教員は、1年間という長いスパンで業務を繰り返すため、経験の浅い若手教員は先を見通して進める力が不足しがちです。そこで経験豊富な教員や教務担当者が、今後の業務内容や締め切りを全教員と共有したり、タスクの進捗状況を視覚化したりする役割を担います。
そこで本校では、グーグルサイトを活用して、教員のタスク一覧を共有し、締め切りと優先度、進捗状況を一覧で示すようにしました。
他教員の進捗状況を知ることは、業務を焦らせ、ストレスを増大させる要因になるのではという意見もありましたが、実際には若手教員から「するべきことが視覚化されてわかりやすい」という意見が多くありました。

校務DXサイトの運用と仕組み

 

本校で活用している校務DXサイト(筆者作成)

タスクの一覧に加えて、超過勤務時間一覧や教育計画のデータベース、放課後の研修計画などが一括で確認できるようにして、業務内容や締め切りの「見える化」を工夫しました。その他にも、グーグル・ワークスペースを用いて各担任が作った教材や、図画工作科の作品データベース、生成AIが作成した学習アプリなどを格納し、誰でも校務の情報にアクセスできるようにしています。
突然の締め切りや、把握していなかった研修などをできる限り少なくし、見通しをもって業務にとりかかれるようにしました。このサイトは、グーグル・ワークスペースのスプレッドシートとひもづけて運用しています。教務担当者がシートに行事予定やタスクを入力すれば、自動的にサイトに反映されるようになっています。

教務担当者が、従来ならば紙媒体で行っていた提出物の確認を電子媒体に移行することで情報の共有を図るなど、新たな業務を増やさないシステムにしています。各教員の業務用パソコンを起動させれば、自動的にこのサイトが開くように設定し、どの教員も目を通す習慣にしています。

校務DXサイトを活用した教職員の声

学級担任をしていると、職員室に戻り事務仕事を始めるのは15時前後です。他の担任がどのくらい担任業務や分掌業務を進めているかは、見えにくい部分です。そのような中で直前の締め切りに気づき、優先順位を変更して、慌てて業務に取り掛かることは大きなストレスにつながります。

このサイトを運用した後に、若手教員に負担感について聞き取り調査をすると、「すべきことが明確になった」「未完了の仕事がわかりやすい」「早く自分の欄に◯をつけたい」など、業務に見通しをもてている意見が多くありました。教務担当者としても、締め切りを細かく伝える必要がなくなったので、不要なストレスが減りました。

一方で「締め切りはわかったけど、業務に追われていて間に合わない」など、根本的な業務量に苦しむ教員もいます。個人レベルで業務を効率化することには限界があります。管理職のリーダーシップやチームで取り組むことも必要不可欠です。

角田 直也(かくだ なおや)

岡山県和気町立佐伯小学校 教諭


特別(聴覚)支援学校、青年海外協力隊(マラウイ)、公立小学校に勤務。
近年は、総合的な学習の時間に行う地域をフィールドにした活動を軸として、教科横断的なカリキュラム編成を実践・検証し、地域学習と教科学習の双方の深化について研究しています。
また、先輩教員のノウハウと新しい"観"の教育を融合しつつ、若手教員と共に学ぶ新しい研修方法を実践しています。

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