大宮盆栽村100周年と学校教育 ― 小学校に根付く盆栽づくり20年の実践 ―
勤務校の地域にある大宮盆栽村が、今年で開村100周年を迎えました。さいたま市では、今年1年間、さまざまなイベントが行われています。盆栽の展示・学校での盆栽のお祭り...などなど、いろんな取り組みがあります。勤務校では盆栽園の協力を得て、高学年児童が盆栽づくりに取り組んでいます。100周年を盛り上げ、盆栽村の発展に少しでも寄与できればと考えています。
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一
大宮盆栽村100周年
勤務校では、高学年が総合的な学習の一環として近隣の大宮盆栽村について調べる活動を行っています。また、体験活動として盆栽づくりにも取り組んでいます。盆栽といえばお年寄りの趣味?というイメージですが、本校では児童が喜んで盆栽を作っています。児童たちは低学年の頃から、この活動を楽しみにしています。学校全体が盆栽に包まれてるような雰囲気があります。
毎年、ゴールデンウィークに開かれる盆栽村の「大盆栽まつり」では、児童の盆栽が展示されます。祭りに訪れた方々は、子どもたちの盆栽を熱心に見てくれます。そして、卒業生や歴代の校長先生が子どもたちの盆栽を見に来てくれることもあります。盆栽の思い出を語り合っている姿を見ると、現在の担当としてやりがいを感じます。もっともっと学校の盆栽の取り組みを盛り上げていきたいと思っています。
大宮盆栽村100周年を迎え、それと連携した本校での盆栽活動20年目の記念の取り組みを紹介します。
20年目を迎える盆栽教室
毎年10月になると、5年生全員が「マイ盆栽」を作ります。児童みんなが楽しみにしている活動です。講師は、テレビや雑誌などでもおなじみの、盆栽清香園(さいたま市北区)園主の山田香織先生です。この20年、学校のために盆栽指導などに尽力されています。また、地域のボランティア団体や学校の盆栽ボランティアの方々からも多くの協力を得ています。今年も5年生児童が盆栽づくりに挑戦しました。
会場の体育館には、山田先生をはじめ、盆栽ボランティアの方々が勢ぞろい。子どもたちを迎えてくれました。子どもたちは盆栽づくりを楽しみにしていたのでうれしそうです。席に着くと、みんなどきどき、ワクワク、いい表情をしていました。早速盆栽づくりが始まりました。
「いらない枝を切るのが難しいな」
「正面をどこにしようかなあ…」
「幹が曲がっているのがかっこいいなあ!」「かっこいい盆栽にしたい」
思い思いの言葉を口にしながら、頑張って作りました。完成した盆栽が盆栽庭園に飾られると、みんなよい顔をしていました。これから、卒業まで子どもたちは心を込めて盆栽を育てていきます。講師の先生やボランティアの方々も温かく子どもたちに接し、本当に良い時間となりました。
大宮盆栽村100周年記念とのコラボ

大宮盆栽村開村100周年記念式典
大宮盆栽村100周年とコラボした取り組みも行われました。まずは、地域の図書館など施設での盆栽展示です。子どもたちの盆栽を地域の方に見てもらう機会は、あまり多くありません。図書館の協力で、展示が実現しました。図書館を訪れると、来館者が子どもたちの思いを想像しながら鑑賞している様子が見られました。私自身も温かい気持ちになりました。
また、校内音楽会に、盆栽村や盆栽に関わる方たちを招いて、100周年のお祝いもしました。盆栽組合の方や、盆栽村の町会長などが来校して、子どもたちに話をしました。会場には1年生から6年生まで全員で作成した「100周年おめでとう」の掲示物を掲げられ、来校した保護者も喜んでくれました。掲示物は、盆栽村の建物に飾ることになりました。地域と一体化した取り組みを通して、子どもたちにも地域を愛する心が少しずつ根付いているように思います。
さらに、大宮で開かれた大宮盆栽村100周年記念式典には職員も参加し、小学校での盆栽の活動をアピールしました。小学校で行っている盆栽づくりに、多くの方が関心を示しました。たくさんの方たちと盆栽について語りあうことができました。学校が地域と共にあることを、改めて思いました。
100周年行事は今年で終わってしまいますが、次の100年に向けて、私も学校での盆栽活動を盛り上げていきたいと改めて思いました。今後さらに子どもたちと学んでいきたいです。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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