2023.03.10
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子育て支援の技を教室へ~ストレングスとリフレーミング~

低学年を持ってから、保育の勉強をするようになりました。
今回書く内容はそこで学んだことのひとつです。

沖縄県宮古島市立東小学校 教諭 五條 晶

教師の理想が自分を苦しめる

教師の理想と児童イメージ

図は筆者作成

私たち教師は児童に対して、それぞれの理想を持っています。

「朝は元気に挨拶してほしい」
「トイレのスリッパはきれいに並べてほしい」
「給食を残さず感謝の気持ちを持って食べてほしい」
「休み時間は授業の準備をしてから休憩してほしい」

これがまた教師ごとの価値観で変わっていきます。
それはそれで、当たり前のことなのですが、この教師それぞれの理想を、児童に「絶対身に着けてほしいもの」と押し付けて指導してしまうことがあります。

この理想の指導は児童からしたら、教師が変われば毎年指導も変わることがあるため、去年は「そんなに強く言われなかったのになあ・・・」という違和感のある子もいます。
この時に児童視点から考えると臨機応変にその教師にフィットできる子もいれば、できない子もいます。
うまくフィットできない子は、教師から「ちゃんとしなさい」と指導されてしまいます。

添付した図は、今のことをイメージして作りました。
「〇〇という規律を守らせたい」という理想の枠組みをもともと教師は持っているため、そこにあてはまるように児童を見てしまいます。
しかし、そんな教師の理想に最初からぴったり合う子はいません。教師の理想が四角形だとすると、凹凸のある子がほとんどです。

その凹凸を理想に合わせて、四角形になるようにカットしていったり、穴を埋めていったりすることを指導として行っていきます。
ここに、児童の思いや願いを尊重せずに指導を行ってしまうと、反発などが起こり、「教師はなんで分かってくれないんだろう」と苦しみます。
なので、まずはこの「教師の理想」を考え直す必要があると思います。

子育て支援の技は結構使える!

さきほど図で表したように、児童には凹凸があります。というより、大人でも得意・苦手が分かれるように凹凸があります。
そんな児童が集まるクラスでは、どうしたらみんなが笑顔でいられるのかなと思ったときに、子育て支援の本を読み勉強になったことがいくつかあります。
その1つがストレングス視点とリフレーミングです。

まずはストレングス視点から。
先程の児童の凹凸を、その児童の「潜在的な強みや長所」と考える視点です。その児童はその児童らしく他の児童とは異なるものをたくさんもっています。
これが強みとみることができれば、わざわざその凹凸をみんなと同じように削ったり、穴を埋めたりという考え方がなくなっていきます。
ただこれは、理想に目を背けることでも、その児童には何か強みがあるはずと期待することでもありません。

そして次に大切なのはリフレーミングとなります。
これは、足りないところを見るのではなく、強みに視点を切り替えるように捉え方を変えることです。
つまり、ネガティブ思考をポジティブ思考に変えて、物事を見ることです。
例えば「注意散漫で飽きっぽい児童」がいた時に、視点を切り替えて「様々なことに興味がある児童」「一人遊びが好きな児童」がいた時に、「自分の好きなことに一人で集中できる力がある」など、ポジティブに切り替えていくことをリフレーミングと言います。
この視点の切り替えがあるのとないのとでは、児童の見方が大きく変わります。
また、このリフレーミングを行い、児童に声掛けしていくことで児童の変容も見られます。
凹凸を指導されれば、児童は「僕はここがダメなんだ」と悲観的に捉えてしまうこともありますが、
強みを伝えられた子は「僕にはこういう長所があるんだ」と自己肯定感も上がります。また、ほかの子の強みに気づく児童も現れていきます。
こうした友達の強みや長所に気づいて伝えられる子が広がれば、お互いがお互いを補い合ったりすることもできます。

教師の望むべき児童の姿って何だろう・・・

図は筆者作成

教師の理想を押し付けるべきではないといっても、教師の理想を掲げることは、賛成だと思います。
僕の理想は児童が「今日一日を笑顔で過ごすこと」が理想です。何かルールを守るのも、何のためかと考えると、それは児童の笑顔のためです。
だから、枠組みを大きく「笑顔で過ごすこと」と考えています。

そして、イメージ図のようにこの理想に当てはめるのではなく、児童が補い合い「隙間があっても、べつにいいじゃないか」という心持ちで過ごしています。
それでも、日々様々な教師がたくさんいる現場で働く中で教師の望むべき児童の姿って何なんだろうと悩むこともあります・・・

五條 晶(ごじょう あきら)

沖縄県宮古島市立東小学校 教諭


授業を通した「みんなで分かる!」「みんなが楽しい!」集団づくりを目指し、試行錯誤しています。

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