2022.12.15
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表現力を培うための土台作り

今回は体育の「表現遊び」について書いていきます。
体育の「表現」はすべての教科に関わる表現力をストレートに育むことのできるチャンスだと感じます。
そんな表現力を培う授業実践について書いていきたいと思います。

沖縄県宮古島市立東小学校 教諭 五條 晶

【表現しやすい雰囲気づくり1】

今回は低学年の「表現遊び」について書きます。
低学年といえど、運動会のダンスを踊ることに抵抗のある子がいますよね。例えば、「リズムに合わせて踊るのが苦手」「人の前で踊るのが恥ずかしい」などの理由が挙げられます。

もちろん、私のクラスにも運動会の練習などでダンス動画を見せても、最初は踊らない子がチラホラ。
そこで、まずは心をほぐしていく必要があります。
今回実際に心ほぐしでやってみた取り組みは2つです。

まず1つ目は「だるまさんがころんだ」です。これがなかなか当たりました。
だるまさんがころんだは、ほとんどの子どもに親しみのある遊びです。
つまり参加するハードルが低く、参加しやすいのです。

だるまさんがころんだを数回やって、子どもをひきつけたら、次のレベルです。
「レベルアップするよ!」といって「だるまさんが〇〇した」ゲームをします。
例えば「だるまさんが犬になった」など様々なものを表現していきます。
ただ、「だるまさんが犬になった」はハードルが高いので、最初は「だるまさんが体育座りをした」など普段やったことあるものから入っていきます。
そして、次に「だるまさんがラーメンを食べた」など人間の姿でできるものをやります。

ここで、動きに違いが出ていきます。ラーメンの食べ方に注目すると、急いで口の中へラーメンをすする子、ラーメンのスープを飲む子、ラーメンを食べながら水を飲む子。
ここをしっかり見て、子どもにこう伝えます。
「ラーメンを食べたと言っただけで、いろいろな動きを表していてすごいね!」
1つのお題で、みんなそれぞれの動きをしてもよいという雰囲気づくりをしていきます。
この雰囲気づくりが、今後の表現の授業でとても大切になっていきます。

【表現しやすい雰囲気づくり2】

2つ目の雰囲気づくりとしてやったことは、リズムジャンプです。
音楽に合わせて、線の上をジャンプする活動になります。
曲はEXILEのライジングサンのような、リズムに乗りやすく手拍子できるものがよいです。
曲のリズムに合わせて線の上を両足でジャンプしたり、片足ずつジャンプしたりします。
ネットで「リズムジャンプ」「リズムトレーニング」と検索すると、様々なものが出てきます。

また、リズムに合わせてジャンプすることで、リズム感覚が養われます。
このリズム感覚は、野球のバッティングで「1,2,3!」でボールを打ったりと様々なスポーツ選手が取り入れています。
なので、幼少期からリズム感覚を身につけることで、運動が苦手な子もリズムで跳び箱が簡単に跳べたりします。
リズムジャンプは曲に合わせてジャンプするだけですが、なぜか子どもたちは笑顔であふれます。
こうした温かい雰囲気をつくってから授業に入っていきます。

【遊園地の乗り物になりきる】

体育で「遊園地へゴー」という単元があります。
遊園地の中のコーヒーカップや飛行機など身近な乗り物になりきって遊びます。
いきなりコーヒーカップになりきってみようと言っても、動かないので実際のコーヒーカップやジェットコースターなどの動画などを見せ、これを体で表してみようと伝えます。
すると、一人でぐるぐる回ってコーヒーカップの真似をする子や、二人組や三人組で手をつないでコーヒーカップの真似をする子がでてきました。

ここから、簡単なお話を作ってみようと声をかけると、
「コーヒーカップがだんだん早くなって、バラバラになっちゃった」というストーリーだったり、「コーヒーカップからほかの乗り物に進化する」というストーリーだったり子どもの発想はとても豊かで、いろんなものを考えて表現してくれました。

おすすめの活動が「のりものクイズ」です。
乗り物になりきっている子が、どんな乗り物になりきっているのか当てます。
様々な身近にある乗り物を体の動きだけで表現していきます。
カヌーやヘリコプターなど、手でオールや操縦しているところを表す子もいれば、カヌーのボート自身、またはヘリコプター自身になりきってプロペラを手で表現する子もいます。
これがまた、人それぞれで面白いです。クイズにすることによって人に伝えたい気持ちがあるため、手や顔、足など全身を使ってヒントを出すことに繋がっていきます。
このような様々な活動を通して、全身を使って人とは違うは発想で表現をすることを楽しみながら遊んでいきます。

この単元は次の低学年表現遊びの「どうぶつランドへゴー」につながっていきます。
そして、前述しましたが、表現をする時には雰囲気作りがとても大切です。
ダンスや表現が苦手な子、恥ずかしい子、いろんな子がいますが、まずは雰囲気づくりから、子どもと楽しめるといいと思います。

五條 晶(ごじょう あきら)

沖縄県宮古島市立東小学校 教諭


授業を通した「みんなで分かる!」「みんなが楽しい!」集団づくりを目指し、試行錯誤しています。

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