算数の授業のお悩み解決!低学年の文章題の手立て
算数の授業のお悩みを募集していますが、低学年の文章題の手立てについてご質問がありました。どのように手立てをしていけば良いのでしょうか。今回は、その手立てを紹介します。
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児
文章題の取り組ませ方
例えば、2年生に次のような問題があります。
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カードをもっていました。
おねえさんからカードを8まいもらったので、24まいになりました。
はじめは何まいありましたか。
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こういった問題では、問題場面をもとに図をかいて、式をかきます。立式ができるようにするためには、図をかけるようにする指導が大切です。しかし、図のかき方は教えていく必要があります。かかせるような指導をしていないと図がかけないのです。子どもにとって、図をかくノウハウが必要なのです。なぜかというと、図がかけない子は、なぜその図になるのかがわからないからです。大切なことは、子どもに口で言わせながら図を書かせることです。どういう順番でどこからかかせるかを紹介します。
図のかき方と式の立て方の手立て
大きな手順は4つあります。
(1)文章を1行ずつ読んで、図にする。
文章題が苦手な子は、問題文の内容がよくわかっていない場合があります。そこで、問題文を1行ずつ読んで、どんな内容なのかを確認して、図に加えていくことが大切です。文章を読んで少し書き、文章を読んで1つ書きといった感じです。そうするとうまくかけます。
先ほどの問題文だと、「カードをもっていました」というのが1行目です。まず、持っていたのは何枚かを子どもに尋ねます。でも、何枚持っているかはこの時点ではわかりません。「カードをもっていましたというのは、どんな図になるの?」などと聞きながら、マス目のあるノートにかかせる。ここで大事なことは、マス目のあるノートにかかせるということです。マス目があることによって、どこからどこまで線を引けば良いのかなどがわかりやすいからです。
(2)結果の見通しをする。
「おねえさんからカードを8まいもらったので、」は、どこからかかせるでしょうか? クラスにはどこからかいていいかわからない子もいるはずです。そこで、最初にカードを何枚もっているかはわからないけど、8枚もらっています。「8枚もらったら、最初持っているカードの数は増えたの?減ったの?」と結果の見通しを聞くと良いです。
次に、「24まいになりました」は何をしたら、24枚になったのかを聞きます。子どもに、「最初に何枚か持っていて、8枚もらったから24枚になった」ことに気付かせます。たくさんの子どもに説明させることが、図をかけるようなるコツです。
そして、文章題の内容がわかったところで図にまとめます。この問題では、テープ図をかきます。
①「カードをもっていました」だから、テープ図の左の部分をかきます。
②「8枚もらった」なので、テープ図の右の部分をかきます。
③「24まいになりました」だから、テープ図全体が24となります。
④図をきちんと書いてあるかを確認します。
(3)ちょっと図をかく練習を入れてみる。
ここで、図をかく適応問題を用意するのも良いです。友達の意見を聞いて、わかるのであれば、全員が図をかけるようになったはずだからです。しかも、これで形成的評価をすることができます。確認のペアを作ってお互いに説明させ手も良いでしょう。次のような手順でやります。
①「同じようにテープ図にかけるはずだよね」「ここまでを自分でテープ図で描いてみましょう」と伝えます。
②「似たような問題があるんだけど、図をかけるかな」といって問題を出します。
③「最初何枚かもっていて、5枚もらったら、13枚になりました。はじめに何枚ありましたか、という問題です」と問題を言います。
④「今言った問題の図をかける?」と言って、図をかかせます。
⑤理解できたかを確認します。
(4)なぜ、この式になるのか説明する。
最初に持っていたカードの数を求める式が24−8になる式を説明します。なぜ、この図からこの式になったのかを説明してほしいわけです。友達の説明をノートにメモをさせるのも良いでしょう。その後、隣の人に説明させます。上手なわかりやすい説明がみんなでできると素敵ですね。コツは上手な説明をみんなで共有することです。こういうふうに説明するといいということをわからせると共に、そういう子を増やしていくようにします。
今回、2年生の逆思考の問題を元に文章題の手立てを紹介しました。これは、1年生でも同じです。1年生の場合は、○を使った図になります。
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神保 勇児(じんぼ ゆうじ)
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭
2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
「jimbochanのブログ」https://jimbochan.hatenablog.com/
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