2020.01.21
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6年生を送る会 出し物コレクション(1~3年生用)

私の知っている限りでは、この時期、どの学校でも6年生を送る会があって、どの学校でもテンプレートのように、体育館のひな壇に座った6年生に向けて、1~5年が数分間の出し物をします。そこで、
「そーだった!でも、ぜんぜん何をするか決めていなかった!」
という方のために、これまで私が見聞きしたり自分で企画したりしたなかで、とくにお気に入りの「6年生を送る会の出し物」を集めてみました(定番もあるかもですが)。
「もう決めちゃった!」
という方も、良かったら、来年以降のためにお目通しを......。

東京都内公立学校教諭 林 真未

1.「エーデルワイス」 リコーダー+英語歌

(3年生向け)

エーデルワイスのリコーダー演奏
エーデルワイスは2、3年の音楽教材なので、演奏は、担任音楽の場合は授業で練習しておきます。専科の先生の場合はご相談して、可能であればお願いします。
エーデルワイスを英語で歌う
リコーダー演奏までは6年生はじめ聴衆も想定内だと思うのですが、まさかの3年生が英語で歌う、ということでちょっとしたサプライズプレゼントになります。
また、3年生にとっても、英語の歌を一曲マスターすることは、これから盛んになってくる外国語活動に取り組む上で、自信につながるというわけで、ウィンウィン(?)だと思うのです。エーデルワイスの英語詞はとても覚えやすいので、最初に、よく日本語で意味を解説しながら、アルファベットとカタカナ表記の両方で教えれば、難しくはありません。

●この形でエーデルワイスを演奏した3年生が、3年後、6年生で聴く側になった時、新しい3年生が同じことをしたら、感動的なんじゃないのかな…と妄想しています。

2.「世界がひとつになるまで」

(1~3年生向け)

「世界がひとつになるまで」を歌うというシンプルな構成のもの。

私が子育て中の頃、よくこの歌がテレビから流れていました。そう、この曲は夕方のNHKアニメ「忍たま乱太郎」のエンディングテーマだったのです。けれど当時は、家事、育児、仕事に追われて、歌詞をじっくり聞く暇もなかった。それが、6年生を送る会で、他の学年が歌っているのを見て初めて、しみじみ、良い曲だな~と感動しました。同じ歌が耳に聞こえていても、自分の状況で、こうも感じ方が違うものなんですね。

また、その学年には、先生方を手こずらせている子が数名いたのですが、その子達も声をそろえて歌っている様子を見て、
「まだまだ小学生は可愛いもんなんだなあ」
と身体中が安堵する思いがしたことも、強烈に憶えています。とにかく、いい曲です。

3.「たんぽぽ」

(1、2年生向け)

「たんぽぽ」を歌う。
サビの部分で、折り紙で作ったタンポポの花を、1(2)年生から6年生に一人ずつ渡していく。

師匠・松崎運之助先生(元夜間中学教諭、夜間中学研究や不登校支援のパイオニア、映画「学校」のモデルの一人)に教えてもらった「たんぽぽ」という歌が素晴らしかったので、6年生を送る会で1年生に歌わせました。

教室で作った小さなタンポポの折り紙細工をひとつひとつ、6年生に手渡しするという演出も加えて。

選曲といい演出といい、自惚れてもいいくらいの出来だったなと私は満足し、後日、松崎先生に意気揚々と報告しました。「先生、あの歌、とってもいい歌だから、小学校の6年生を送る会で1年生に歌ってもらいました!」

すると先生は驚いて言いました。
「ええーー! あの曲を小学生に歌わせたの?!」

てっきり喜んでもらえると思ったのに。
あの曲は、私の好きなパンクロックとちがって、クソだのションベンだのって、不適切なワードは一つもありませんよ。むしろ、部屋に咲く薔薇より野に咲くたんぽぽを贈りたいって歌う、とっても素敵な歌なのに。

なにか私はまずいことをしましたか?

松崎先生は続けて驚いた理由を教えてくれました。
「時代が変わったんだね……。なにも知らないあなたのような先生が、あの歌を素直に受け止めて、子ども達に教えるようになったのか……。あの歌は、労働運動の中から生まれた歌だから、教育現場で堂々と歌われるとは思わなかったよ……」

それは全く知らなかったです。だけど、あの曲は歌い継がれるべきと思います。だって、とてつもなくいい曲なんですもの!

4.「できっこないをやらなくちゃ!」

(1~2年生向け)

イラスト 有田りりこ

「できっこないをやらなくちゃ」を振り付きで歌う。
間奏で代表が言葉を言う。

サンボマスターの名曲「できっこないをやらなくちゃ」は、CMや映画でも使われていたので、聴いたことのある方も多いのではないでしょうか。

この曲を、まず、いきなり歌いだします。前奏では、手を上げ下げするなど簡単な振りを交えてもいいと思います。

1番を歌い終えると間奏。
学年全員が体を揺らして手拍子をするなか、代表の子数人が、次から次へと列を飛び出し、一人ずつ中央に置かれたマイクの所まで来ます。

そして、マイクに向かってひとことずつはなむけの言葉を言います。この子たちが息を合わせて交代し、間奏が始まって終わるまでの間に、言葉をぴったりはめ込むのがポイントです。最後の代表が列に戻った瞬間に、全員が歌いだすのです。

また前奏、間奏だけでなく、歌詞のポイントポイントで、ふさわしい振付けをアレンジしておくと、ただ歌うだけより飽きさせません。

サビでは、学年全員が拳を突き上げてジャンプします。

6年生に向けて、「これから先どんなことがあってもあきらめないで、できっこないをやらなくちゃ!」というメッセージをこめて、低学年が小さな身体で全身を使って、飛び上がって元気に歌う姿が可愛いです。

5.学校生活をふりかえる

(3年生向け)

もしかしたらご存知の方も多いかもしれませんが、やっぱりこれはいいですよね。

6年生が1~5年生の間に学芸会で演じたり音楽界で歌ったり、あるいは運動会で踊ったり競技したりしたもの、普段の授業の様子など、思い出をぎゅっと詰めて、次々と見せていく手法

私が見たものは、グループに分かれて並び、前列から順番に、10秒くらいでいずれかの思い出を表現するとすぐに列の両サイドに散り、最後列に並ぶ、というやり方でした。

まるで走馬灯のように、後から後から、6年生の思い出がライブに表現されていて圧巻でした。

ただ、この手法のネックは、準備や指導に、手間と時間がかかることです。
6年生が思い出の行事でやったことを掘り起こして、それぞれのグループに割りふって、10秒くらいにまとめた演目をそれぞれに指導して、しかも全体として、流れるように動く練習もしなければなりません。

見応えのあるものを作るには、やはりラクはできません。

6.ダンスのプレゼント

(どの学年でも)

歌は放送にお任せして、ダンスだけを見せる

今で言ったら「パプリカ」、ちょっと前なら「U.S.A.」、「恋」など。
踊る曲はその年の流行で選べばよいのではと思います。流行の曲なら、親切な方がユーチューブにチュートリアル動画をアップしているので、それを活用することもできます。

子どもたちもよく知っていて、踊るのが好きな子も多いので、楽しく練習できます(流行に疎い子、ダンスが苦手な子への配慮も忘れずに)。

フォーメーションを工夫すると、このアイデアもバージョンアップします。

各横6名~8名の列にして並びます。

その6~8名が、前列から順番に、6年生にワンフレーズ踊って見せた後、サイドに移動。すると、6年生は、後から後からいろんな子どもたちがワンフレーズ踊る様子を見続けられます。

6年生に踊りを見せ終わったら、他の学年の座っている場所の正面になるように移動してワンフレーズ踊り、また別の学年の前で踊るということをくりかえし、全学年に見せ終わったら最後列へ。

並んだ列そのままで踊ると、中に並んでいる子は埋もれてしまうし、後ろに並んでいる子は6年生から見えません。

けれど、こうすると、どの子も、6年生を含めた誰かの正面で1フレーズずつ踊るので、踊っている方もテンションあがるし、6年生だけでなく、その場にいるどの学年も楽しませることができます。

7.「ありがとう」(奥田民生+井上陽水)

(1~3年生向け)

「ありがとう」といえばいきものがかりの曲、というのが学校現場の定番ですが。

私は奥田民生+井上陽水の「ありがとう」推しです。いろんなことやいろんなひとにありがとうと言い続けるこの歌。しかも、

目立つ人だけでなく 地味な人にも、
優しい人だけでなく 冷たい人にも、
好きな人だけでなく 嫌な人にも、

みんなみんなありがとうと伝える、スケールの大きな歌詞に圧倒されます(実は意味深な歌詞もないわけではないのですが、不適切なワードは使われていませんから大丈夫)。

今年の6年生を送る会は、この曲に、群読的な演出をつけて2年生に歌ってもらおうと思っています。

林 真未(はやし まみ)

東京都内公立学校教諭
カナダライアソン大学認定ファミリーライフエデュケーター(家族支援職)
特定非営利活動法人手をつなご(子育て支援NPO)理事


家族(子育て)支援者と小学校教員をしています。両方の世界を知る身として、家族は学校を、学校は家族を、もっと理解しあえたらいい、と日々痛感しています。
著書『困ったらここへおいでよ。日常生活支援サポートハウスの奇跡』(東京シューレ出版)
『子どものやる気をどんどん引き出す!低学年担任のためのマジックフレーズ』(明治図書出版)
ブログ「家族支援と子育て支援」:https://flejapan.com/

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