2025.08.09
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教師の夏休み、いろんなことにチャレンジ!~教材研究・戦争学習・食育の実践~

「夏休みは教師の特権!」
これはある先生がおっしゃった言葉ですが、本当にそうだと思います。
夏休みには2学期の準備などの仕事もありますが、まとまった時間を研修に充てることができます。
また、普段ではできないような教材研究にも取り組むことができます。
今年も、たくさんの学びを行う予定です。
さまざまな経験が学校での授業に生きてきます。

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

学びの夏に

昨年度の旅より(京都・比叡山山頂)

 

今年は戦争が終結してから80年になります。今年の夏はまず戦争について学び直したいと思っています。学生時代からこれまで、戦争を経験した方の話を聞く機会は何度もありました。しかし、時は過ぎ、戦争を経験した方々も大変高齢になってきました。もう間もなく戦争体験を直接伺う機会がなくなってしまいます。一回一回の出会いが本当に大切な機会です。この夏も戦争について学びます。まずは、できるだけたくさん戦争の体験を聞くことからスタートします。

また、授業の教材研究にも取り組みます。毎年行っている震災を取り上げた実践は、今年度も予定しています。そこで、実際に東北の被災地を訪れ、現地の様子を視察したいと思っています。私自身の学びとしても大変貴重な機会になります。

さらに、担当の2年生の児童の課題として「食」に関することが挙げられているので、今年度は食育にも力を入れています。野菜を作る農家への取材や、豚肉を生産する工場の見学など、食に関することを私自身も学んでいきます。

いろんなところに出かけ、たくさん本を読み、いろんな方と触れ合う夏休みにしていきます。そして、たくさんの学びを得る夏にしていきたいと考えています。

 

直接話を聞く機会を大切に

まずは、戦争の学習です。担当学年では直接戦争についての学習はありませんが、いろんな機会を通して子どもたちに戦争のことを伝えたいと思っています。そこで、戦争体験を聞く機会を設けることにしました。
戦争を経験された方の声を聴くことは、今や大変貴重になっています。現在では、その話をアーカイブとして残して視聴できるようにもなっているようです。それは貴重な資料ですが、やはり生の声で直接お話を伺う機会は何にも代えられない貴重な経験です。

今回は、子どもの頃に広島で原爆の被害に遭われた方のお話を聞く予定です。これまでも当時のことを聞いたり、本で読んだりする機会はありました。しかし、「子どもたちに指導する」「子どもたちと考える」という視点で考えたことは少なかったように思います。この夏はもう一度、その視点から考えてみたいと思います。

また、3学期に授業で取り上げる東日本大震災から学ぶ授業では、石巻の被災地の方からお話を伺うことになっています。そこで、私自身も被災地についてしっかりと学んでおかなければならないと感じています。まずは再び現地を訪れて、語り部の方の話に耳を傾けたいと考えています。また、震災遺構や町の復興の様子をこの目で見て、子どもたちに伝えられるようにしたいです。

この夏は、教師としてはもちろん、一人の人間としてもさまざまな学びを深めていきたいと考えています。

教材研究で授業の精度を上げる

また、夏休みは教材研究に十分な時間を充てられます。普段は目先の仕事に追われがちで、なかなか時間がないのですが、この時期は2学期を見通しながら教材研究をすることができます。

今年度は、学校の研修で体育の「ボールけりゲーム」の実践を行います。そこで、大学の図書館に通い、体育の教科書や参考書などを読み、子どもたちにとってどのような活動がよいかを考えます。また、この単元に向けてどのような準備をしなければならないか、他の多くの実践をもとに考えていきたいと思います。授業で使う用具などの作成も、この期間を活用して進める予定です。

そして、もう一つの研究授業が算数科の取組です。2年生の「10000までの数」について学習をします。算数では日常的な事象と結び付けて学習することが望まれています。そこで、教室でも力を入れている「食」とのかかわりを目指していきたいと考えています。1学期には、ブタを教室で飼うことを取り上げた映画を視聴しました。子どもたちは豚肉に大変興味をもっています。豚肉などを題材に算数授業を展開できないかを考えています。埼玉県には豚肉の工場やテーマパークがあります。夏休み中に見学を行い、ヒントを得てこようと思っています。

この夏は「学びの夏」にして、2学期からの活動に備えたいと考えています。子どもたちと楽しく授業を行えるように、準備をしていきます。そして、教材研究を通して新たな出会いがあれば、素晴らしいと感じています。この夏に学んだことを生かし、実践したことをまたこの「つれづれ日誌」に綴っていこうと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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