【2学期最初の3日間】初任の先生に知ってほしい!押さえるべき5つのポイントとやりがちな失敗
夏休みもあっという間に終わり、残り数日で2学期がスタートします。学期の始まりは、教室に活気が戻る瞬間です。初めて2学期を迎える新任の先生方は、「何をすればいいんだろう?」と不安に思っているかもしれません。
ここでは、2学期がスタートして最初の3日間で、押さえるべき5つのポイントとやりがちな失敗をご紹介します。
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児
1. 出席確認と席替え
出席確認と席替えは、学級運営の基本です。出席確認は、子どもの安全確認、不登校や問題行動の早期発見につながります。また、席替えは子どもの学習環境に変化を与えるだけでなく、子どものコミュニケーションを高めることに役立ちます。
【重要ポイント】
- 出席簿を用意し、一人ひとり名前を呼んで確認する。
- 欠席者がいる場合は、朝の会の後に理由を確認し、必要に応じて保護者に連絡を取る。
- 席替えを行い、視力や聴力に問題がある子どもの席の配置に注意を払う。
【やりがちな失敗】
- 始業式の日は時間がないので、出席確認をパッと済ませ、個々の子どもの様子を見逃す。
- 席替えを行わず、1学期のままにし、夏休み中の成長や変化を考慮しない。
- 欠席した子どものフォローを忘れ、長期欠席のリスクを見逃す。
2. 久しぶりの再会を喜び、夏休みの経験を共有する
長い夏休みの後、久しぶりに会った子どもたち同士の信頼関係を再構築することは大切です。また、クラスの一体感を高める絶好の機会です。夏休みに経験したことを簡単でもいいので共有してみましょう。子どもの成長や変化を把握し、個々の子どもへの理解を深めることができます。これは、その後の指導や支援の基盤となります。ただし、それぞれの家庭の事情もありますので、一人一言発表するということは避けておいた方が無難です。
【重要ポイント】
- 明るく元気な挨拶で子どもを迎える。
- 夏休みの思い出を共有する時間を設ける。
- 全体では、発表したい子だけでよいので話を聞きます。その後、個別に声をかけ、一人ひとりと短い会話の機会を作り、個別の変化や成長を観察する。
【やりがちな失敗】
- 教師が一方的に話しすぎて、子どもの発言をする機会がなくなってしまう。
- 特定の子どもの話題に偏り、他の子どもが疎外感を感じる。
- 夏休みの宿題や成績の話題にすぐ入り、再会を楽しむ時間を十分に取らない。
3. 学級ルールの再確認と必要に応じた見直し
学級のルールを明確にしておくと、秩序ある学習環境の維持につながります。また、子どもが自律していくことに役立ちます。2学期がスタートした時に、学級のルールを再確認しましょう。子どもの意識を喚起し、1学期の反省を踏まえた改善が可能になります。また、子ども参加型のルール作りは、クラスの民主的な運営につながります。
【重要ポイント】
- 1学期に決めたルールを黒板に書き出し、クラス全体で読み合わせをする。
- 必要に応じてルールの見直しや追加を行い、子どもの意見も取り入れる。
- 特に重要なルールは教室に掲示し、常に目に見えるようにしておく。
【やりがちな失敗】
- 1学期のルールをそのまま継続し、子どもの成長や学級の変化を反映しない。
- 学級のルールを先生が一方的に押し付け、子どもの意見を聞かない。
- 学級のルールを確認するだけで、なぜそのルールが必要なのかの確認をしない。
4. 教室環境を整え壁面構成を考える
教室環境は、子どもの学習意欲や心の状態に大きな影響を与えます。清潔で整理された教室は、子どもの集中力を高め、適切な壁面構成は子どもの学習環境に効果を発揮します。また、子どもの作品を掲示することで、達成感と学級の所属意識を育むことができます。
【重要ポイント】
- 教室の清掃を行い、清潔で快適な環境を整える。
- 季節に合わせた装飾を施し、子どもの作品なども積極的に飾る。
- 学習に必要な掲示物(時間割、当番表など)を更新し、見やすい位置に貼る。
【やりがちな失敗】
- 装飾に凝りすぎて、却って子どもの集中を妨げる環境を作ってしまう。
- 教師の好みだけで教室を飾り、子ども意見を反映しない。
- 飾りを作ることに先生の労力を注ぎすぎてしまい、他の仕事ができなくなってしまう。
5. 夏休みの宿題と提出物の確認
夏休みの宿題は、子どもの学習の習慣をつくり、2学期の学習への橋渡しとなります。宿題の提出状況と内容の確認は、子どもの学習態度や理解度を把握する重要な機会です。また、気になる子どもには個別に声をかけましょう。子どもの学習意欲を向上させ、次の学習へのモチベーションを高めます。
【重要ポイント】
- 宿題の提出状況を確認し、記録する。
- 未提出の子どもには個別に声をかけ、理由を聞く。必要に応じて提出の猶予を与える。
- 提出された宿題は、2週間を目処に目を通し、コメントを付けて返却する準備をする。
【やりがちな失敗】
- 宿題の確認を厳しく行いすぎて、2学期のスタートから子どもが萎縮してしまう。
- 未提出の理由を聞かずに叱ってしまい、子どもの個別の事情を考慮しない。
- 宿題の内容を十分に確認せず、子どもの理解度や躓きポイントを把握できない。
まとめ
これら5つのポイントは、単なる業務として捉えるのではなく、子どもの成長と学級運営の基盤を形成する重要な活動として考えましょう。各ポイントの意義をもう一度確認して、やりがちな失敗に注意しながら取り組んでみてください。新任教師の皆さんの、よりスムーズな2学期のスタートにつながるでしょう。
教育は子どもの継続的な学びと指導の改善が大切です。これらのポイントを意識しつつ、子どもと共に成長していく姿勢を持ち続けることが、教師としての成功への鍵となります。子どもとの信頼関係を最優先に考え、柔軟な対応を心がけてください。
神保 勇児(じんぼ ゆうじ)
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭
2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
「jimbochanのブログ」https://jimbochan.hatenablog.com/
同じテーマの執筆者
-
京都教育大学付属桃山小学校
-
立命館宇治中学校・高等学校 数学科教諭(高校3年学年主任・研究主任)
-
兵庫県西宮市立甲陽園小学校 教諭
-
名古屋市立御器所小学校 教諭
-
高知大学教育学部附属小学校
-
信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭
-
東京都東大和市立第八小学校
-
浜松学院大学 現代コミュニケーション学部 子どもコミュニケーション学科 教授
前浜松学院大学短期大部 幼児教育科 特任講師 -
沖縄県宮古島市立東小学校 教諭
-
東京都品川区立学校
-
岡山県赤磐市立桜が丘小学校 指導教諭
-
北海道旭川市立新富小学校 教諭
-
鹿児島市立小山田小学校 教頭
-
沖縄県那覇市立さつき小学校 教諭
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)