2024.08.13
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「振り返り」に値する中味(授業)が大事~非日常の体験(夏休みにしかできない体験)

子どもにとって「中味のある授業」を創ること。それは、授業をデザインする教師の力量にかかっていると思います。では、教師は、どのように力量を高めればよいのでしょうか。内容研究も、教材研究も、教科書研究も、もちろん目の前の子どもの深い理解も必要ですよね。
研究会に参加するのもいいし。でも、夏休みならではの、普段は体験できないことにチャレンジして人としての見方・考え方を広げてみてはいかがでしょうか。一方で、子どもの夏休みにも思いを馳せてみませんか。

浜松学院大学 現代コミュニケーション学部 子どもコミュニケーション学科 教授  前浜松学院大学短期大部 幼児教育科 特任講師 川島 隆

夏休みに何をするのか?

あっという間に、8月を迎え、2学期のスタートまで1か月を切ってしまったという方もいらっしゃるのではないかと思います。
1学期の終業式から保護者面談や、各種会議、職員作業もあったりして。
それから、校内研修、地区の研究会等への参加等々。

思うように自由な時間がつくれないのが現状かも知れません。
でも、このままだと何も為し得ぬままに、貴重な夏休みが過ぎていってしまいます。
子どもたちには、夏休み前に
「夏休みしかできない体験を!」と言って、指導したり
「計画的に過ごそう!」と言って、計画表を配ったりしたのではないでしょうか。
やっぱり先生だって、子どものモデルになるような何かをしてみたいものです。

非日常の体験をする、それぞれの夏休みに

A先生は、2学期に行う国語科「やまなし」の授業を頭に描きながら、宮澤賢治生誕の地を訪ねたことを語ってくれたことがありました。
2学期の事前研修の場で「やまなし」の実物を手にしながら、
「『やまなし』って、思っていたのと違っていたんですよね」と、授業への思いを語るA先生の姿が未だに忘れられません。

B先生は、学びの共同体のパイロット・スクールとして有名な茅ヶ崎市立浜之郷小学校の夏のセミナーに学校の有志と参加しました。
そこで、語られる実践の豊かさにふれ、
「どんな授業を子どもと共に創ろうか」9月からの授業づくりに思いを馳せていました。
夜は、仲間と共にセミナーを振り返りつつ、お酒を飲み交わし、これまた夏の思い出づくりの一つとしていました。

C先生は、独身時代、夏休みは海外へと足を運んでいました。
飛行機を降りたって目に飛び込んでくる景色は、日本とは異なる別世界。
また、歩く町並みも、行き交う人も全てが日常とは異なり、刺激的であったといいます。
1週間余、主に東南アジアの国々を自分の足で巡り歩くと、自然に日本が恋しくなってくるのだそうです。
そして、日本のことを思うのだそうです。

それぞれの夏休み。
それぞれに非日常を体験しつつ、見方・考え方が広がっていくんじゃないかと思います。

私の夏休みは?

授業を創るための着眼点

一昔前までは、毎年、沖縄座間味の海に潜る休みを過ごしていました。
C先生と同じように、刺激を求め、見方・考え方を広げるための旅でした。

が、今年度は、よい授業を創るための着眼点の一つ、
「教科書を比較・分析する」
「先行実践・研究に学ぶ」
この二つに取り組む夏休みにしようと思います。
(ここで言ったからには、やるしかない!そう覚悟を決めて取り組んでいきます)

この二つ。
実は、まとまった時間がとれないと、できないことでもあります。
今年度は、小学校の教科書の改訂があり、これまでの教科書とは違いが見られますね。
同じ会社の教科書であっても少しずつ変わってきているのです。
その変わったところが、教科書のポイントにもなっています。
つまりは、授業でどのように活用していけばよいかを示唆するところにもなっていると思うのです。
教科書の「見方・考え方」を深め、広げる、そんな成果が得られる夏にしようと思っています。

子どもたちの夏休みは???

一方で、子どもたちは、どんな夏休みを送っているのでしょうか。
ちょっと気になったりしませんか?
子どもにとっての夏休みって、どんなものなのでしょうか?
小学生という立場からずいぶん年月がたってしまったので、思い出そうにもなかなか思い出せません。
そこで、私の小学校6年生の夏休みの思い出を、日記を手がかりにたどってみました。
夏休み2日目。
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7月27日(土)天気:晴れ 起床6時03分
朝7時半から快調に(夏休みの宿題の)練習帳をやった。あと半分だ。
そう思うとゾクゾクした。
そして、また夏休みの計画を立てた。
8月12日までに全部の勉強をやってしまうつもりだ。
きたいしているのは、自由研究だ。
なにしろ自由研究は、おもしろみがあり、新しいことを知ることができるからだ。
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いいですねえ。やる気満々ですねえ。
勉強が終わったら、バラ色の夏休みって感じでしょうか。

私の小学校時代の夏休み、1ヶ月後の日記を振り返ると………

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8月26日(?)天気:? 起床:?時??分
夏休みもそろそろ終わりだ。まだ勉強がたくさんある。
だから早めにやればよかったなあとこうかいする。
しかし、いまさら言ってもしかたがない。
ここまできたら、最後までつかえないようにがんばろう。
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となり、結局は計画倒れ。それどころか最後には、

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9月1日(日)天気:? 起床:?時??分
ほんとうならきょうから学校だ。
しかし、日曜日なのでたすかった。
あと少し勉強が残っているのだ。
2学期は長いからいやだ。
がしかし、行事がたくさんあるからとても楽しい。がんばりぬくぞ。
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2学期への決意はあるものの、現実は9月1日日曜日に救われたって感じでした。
「サザエさん」のカツオと同じですね。なかなか計画通りにはいかないものです。
そんな私ですので、子どもたちに向かって偉そうなことも言えませんし、
ここに書けるわけもありません。
でも、こんな子どももいるんじゃないかと思います。

この子らがうまくスタートを切れるような仕掛けを何か考えてみたいものです。
そんなことがじっくり考えられるのも夏休みですね。

川島 隆(かわしま たかし)

浜松学院大学 現代コミュニケーション学部 子どもコミュニケーション学科 教授
前浜松学院大学短期大部 幼児教育科 特任講師


2020年度まで静岡県内公立小学校に勤務し、2021年度から大学教員として、幼稚園教諭・保育士、小学校・特別支援学校教員を目指す学生の指導・支援にあたっています。幼小接続の在り方や成長実感を伴う教師の力量形成を中心に、教育現場に貢献できる研究と教育に微力ながら力を尽くしていきたいと考えております。

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