「振り返り」に値する中味(授業)が大事 子どもの成長を見出す編
「子どもにとって中味のある授業」を創ること。それは、教師が子どもをどのように見ているかということに、大きくかかわるのではないかと思います。
それが、夏休み明けならば、「早く子どもたちに会いたいな」「どんな成長をしているか楽しみだな」「子どもからどんな話が聴けるだろう」というような期待を持っているといないとでは、授業の空気も変わってくると思います。あなたは、どんな思いを持って、子どもと今日の出会いを創っていきますか?
浜松学院大学 現代コミュニケーション学部 子どもコミュニケーション学科 教授 前浜松学院大学短期大部 幼児教育科 特任講師 川島 隆
2学期スタートの3日間は?
いよいよスタートする2学期。
まだまだ暑い日が続きます。
私の、初任者の頃の「実践記録」から「2学期のスタート」を振り返ってみます。
【実践記録】9月1日(月)
いよいよ2学期である。
夏休みのはじめの頃、
「子どもたちと会いたくてしかたがない」
「学校にいて、寂しい」という時があった。
そのころのことを振り返ってみると、待ちに待った始業式というところである。
いずれにせよ42名、何の事故もなく、元気で登校してくれたことが一番うれしいことだった。
1学期は何か途中スタートした感じであったが、2学期は心を押し付けてのスタートである。
「これから、頑張るぞ。」という気合が入る。
反面、不安がないわけではない。
2学期の盛りだくさんの行事を考えると、目が回るようだ。
【実践記録】9月2日(火) 続く2日目
体重測定を1ヵ月ぶりにおこなった。
子どもたちはそれぞれに成長している。
身長が3センチ近く伸びている子さえいる。
「すごいなぁ」と思わざるを得なかった。
身体的だけでなく、精神的にも成長している点がこれからの生活に見られるだろう。
1つの楽しみでもある。
学級委員を決めた。
子どもたち全員の選挙によって決めた。
およそ予想通りの結果が出た。
男子はMさん、女子はHさんである。
特に、Mさんは、細かな点までよく気がつき、みんなに人気もある。
リーダーとしてまとめていく力はあるだろう。
なるべく早く学級を軌道に乗せていきたい。
【実践記録】9月3日(水) そして、そして、3日目。
夏休みの宿題がまだ出せない子が数名いる。
本来8月23日の登校日に出さなければならない。
宿題は、負担になるような量ではない。
計画的にやっていけば、何の問題もないのだろうが、なかなか計画通りと言うのは難しい。
自分自身、身にしみて感じていることである。
子どもにとっても自分で進めていく事は難しく、親が手助けしてやらないとまだまだできないのではないか。
しかし、まだ出せないと言うのは、夏休みの暮らしに問題があると言える。
家庭にも問題があると思われる。
過保護、教育熱過剰なども困ったものであるが、放任もまた同様に困る。
早く夏休みのけじめをつけ、新たな気持ちを持って一人一人が学校生活に臨んでほしいものである。
今になって考える、3日間の中で
この3日間は、まだ給食もなく、午前のみの授業でした。
でも、いろいろな思いが交錯する3日間でもありました。
3日目は、高慢な気持ちが出すぎではと今になって反省しています。
教師が、子どもの「ねばならない」を強く意識しすぎると子どもとの関係に溝をつくってしまうことになります。
何故そういうマイナスの状況に陥ってしまったか。
子どもに寄り添いながら、考え、支えていくことかなと今は、考えます。
教師は、子どもがいてくれてこその教師です。
子どもがいなかったら、教師はやっていけません。
子どもと共にある教師。
教師が子どもといることのよさを感じていれば、そのことは、きっと子どもにも伝わっていくことと思います。
そして、子どもの成長を直に感じ、喜べるのも教師だからこそではないかと思うのです。
3センチの成長だけでなく、心の成長も感じることができるのが教師だと思います。
些細なことでも子どもの変化、成長を一緒に喜べるようにしたいなと思います。
また、楽しみにしたいなと思うのです。
そうすれば、きっと子どもと創っていく空気もよいものになっていくのではないかと思います。
むすびに
指導担当のI先生から、9月1日の実践記録のノートに、こんなご指導の言葉をいただいております。
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2学期が今日から始まりました。
川島先生は、そのための準備を、いつから、どのようにやりましたか。
もし、9月1日の今日から準備をするとしたら、他の準備の良い人と比較し、10日いや1ヵ月のハンディは出ると思います。
きっと、事前の準備と指導計画のもと、ぴしっと2学期が開始されたと信じています。
頑張ろう!
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この言葉を当時の私がどのように受けたのかは、記憶にも記録にもありません。
子どもたちへの思いだけでなく、思いを実現するためのアクションを起こさなくてはいけなのです。
子どものちょっとした変化や成長を見出し、そこに喜びを感じるためにも、日々の準備をし、一日一日、子どもとの生活を大事にしたい。
あらためて、そう思います。
元日本代表サッカー選手であった本田圭祐氏のこの言葉を思い出します。
「準備が全てだと僕は、思っているのです。準備の段階で試合は、始まっている」
川島 隆(かわしま たかし)
浜松学院大学 現代コミュニケーション学部 子どもコミュニケーション学科 教授
前浜松学院大学短期大部 幼児教育科 特任講師
2020年度まで静岡県内公立小学校に勤務し、2021年度から大学教員として、幼稚園教諭・保育士、小学校・特別支援学校教員を目指す学生の指導・支援にあたっています。幼小接続の在り方や成長実感を伴う教師の力量形成を中心に、教育現場に貢献できる研究と教育に微力ながら力を尽くしていきたいと考えております。
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