2024.09.01

夏休み明け、子どもに期待をかけてみよう

そろそろ夏休み明けですね。私は夏休み明け、子ども一人一人に、「あなたのこういう姿を期待しているよ」とポジティブな言葉をかけるようにしています。教師が子どもに期待することで、夏休み明けに子どもが成長するとともに、3月までのより良い学級経営にも生きてくると考えています。

仙台市公立小学校　教諭　齋藤祐佳

教師が子どもに期待すれば、子どもは期待に応えようとする

私は大学を卒業後に進学し、教職大学院に通っていました。大学院では、私は週に約1回の実習を年間を通して行いました。
実習先の当時の校長先生、教頭先生に恵まれ、私は実習のたびに励ましの言葉をかけていただき、

「いい先生になるよ」
「期待しているよ」
「研究が楽しみです」
と期待する言葉をかけ続けていただきました。

そこで私は、大好きな先生方に期待されている分、頑張ろう、と心から思えて頑張れました。
実習が終わり、大学院を修了する頃、私は、「先生方が期待してくださったから頑張れた」と校長先生と教頭先生に感謝を伝えました。

すると、校長先生はこう仰いました。
「それは子どもも同じ。教師が、『あなたがこうなることを期待しています』と、期待する姿を伝えれば、子どもはそれに必ず応えてくれる。応えようとする。だから教師は、子どもに期待することが大事なんだ」と。

そこから、私は子どもに対して現状を見るだけではなく、一歩先の姿を想像し、期待をかけることにしました。それも、心で思うだけではなく、直接、「こんな姿を期待しています」と伝えることにしました。
日々期待することは大事ですが、私は夏休み明けの初日に、子どもたちを励まし、夏休み明けにこうなってほしいという姿を伝えるようにしています。
夏休みまでの姿を踏まえて、この子はこう伸びていってほしいと期待できる姿が明確になるからです。

どんな言葉で期待を伝える？私が子どもに伝えた言葉を集めました

そこで、今回は、子どもに期待をかける言葉をみなさんとシェアしてみることにしました。
私自身、他の先生方の褒め言葉や言葉がけが、とても参考になることがあります。夏休み明けという学校も多いと思いますので、何か参考にしてくださればうれしいです。私も、みなさんとシェアできることをモチベーションにして、楽しく言葉を考えていきたいと思います。

ちなみに、これを伝える前に、夏休みにしたことや頑張ったことなどを聞いておくのもよいと思います。
全て高学年を想定して、一人一人の子どもの姿を浮かべながら考えたものです。
私は、子どもの理解力や性格を踏まえて、伝える内容や表現を工夫していました。

○○さんには、友達にやさしい気持ちをむけ、自分からしんせつにするすがたをきたいしています
○○さんには、自分のきょうみのあることを、とことんついきゅうし、1番にかがやく姿をきたいしています
○○さんには、やりたいことにチャレンジし、みるみるうちに成長する、気品あふれるエースになることをきたいしています
○○さんには、自分の力をしんじて、あきらめないこと、毎日を新しい気持ちでむかえ、できることがどんどんふえていくことをきたいしています
○○さんには、かしこさとやさしさをもち、プリンセスのように美しくかがやく、人をみちびくすがたをきたいしています
○○さんには、しんの強さをもち、人一倍努力して、なりたい自分になってみせる！そんなすがたをきたいしています
○○さんには、じっくり考え、あせらず言葉にする、ものごとにていねいにとりくむすがたをきたいしています
○○さんには、ものごと、友達のよいところを1番に見つけられる、前向きなすがたをきたいしています
○○さんには、自分のやりたいことをのびのびやる。勉強も遊びも積極的にチャレンジし、かがやくすがたをきたいしています。
○○さんには、授業でむずかしい問題にもちょうせんし、スポーツも勉強もできる、みんなのあこがれの的になるすがたをきたいしています
○○さんには、ともだちの気配りをしつつ、自分の意見も表に出し、かがやく姿をきたいしています
○○さんには、とくいなこと、すきなことを見つけ、思うぞんぶんやってみる、ちょうせんするすがたをきたいしています
○○さんには、人にかける言葉と、自分にかける言葉がやさしい、うつくしい心をもった○○さんをきたいしています
○○さんは、自分のとくいをのばして、授業でほかの友だちまでやる気にさせてしまうスーパーエース✧をきたいしています
○○さんには、自分の理想をもとめて、だれよりも努力し、理想をかなえ、かがやくすがたをきたいしています
○○さんは、わからないところをそのままにせず、授業に集中し、だれよりもぐんぐんのびていくすがたをきたいしています
○○さんには、気持ちをことばで伝える、すなおでやさしい○○さんをきたいしています
関わる人をみんなえがおにする、ニコニコでやさしい太陽のような○○さんをきたいしています
○○さんには、目標を決めてだいたんにちょうせんし、ほかの人にはできないいことをなしとげるすがたをきたいしています
○○さんには、自分のペースをだいじんに、友だちにも自分にもやさしい、お花のようにかわいらしい○○さんをきたいしています
○○さんには、友だちをまとめ、友だちによいえいきょうをあたえられるリーダーとなるすがたをきたいしています
がんばりすぎないで、がんばらない自分も大すきになれる、そんな○○さんをきたいしています
○○さんは、頭の回転がはやく、きよう！ていねいでやさしい姿がまわりのあこがれになる○○さんをきたいしています
○○さんには、あふれるエネルギーで友だちを元気にして、言われてうれしい言葉をだれよりも多く言えるすがたをきたいしています
○○さんには、読書を通して色々な世界を旅して、人と出会い。誰よりもゆたかな人生を歩むすがたをきたいしています
○○さんは、やる気とていねいさがピカイチです！自分のからをやぶり、みちがえるほどかがやく○○さんをきたいしています
○○さんには、世界をよりよく動かす力があります。勉強にていねいに取り組み、手をぬかない、そのすがたに、まわりをひきつけていく○○さんをきたいしています

夏休み明けの伸びに期待しよう

子どもたちは、きっと期待に応えようとしてくれます。少なくとも、これらの言葉からは、子どもは自分が大切にされているという感覚を得られるのではないでしょうか。
少しでも、頑張ろう！という前向きなエネルギーを与えられたらうれしいですね。

夏休み明けも、楽しい毎日を過ごしましょうね。

齋藤祐佳（さいとうゆか）

仙台市公立小学校　教諭

公立小学校にて勤務しながら、よりよい教育を模索している。
宮城教育大学教職大学院にてp4c（子どもの哲学対話）を研究し、現在は心理的安全性を高める学級経営、子どもと対話し考えを深める道徳教育に生かす。
『初任者教師のスタプロハッピー学級経営編』（東洋館出版）にてコラムを執筆。
note（https://note.com/haru_kaneko）では、子どもとの日々をありのままに綴っている。
日本教育心理学会所属。