2025.05.30
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地域の盆栽村100周年~子どもたちがつなぐ伝統の学び

勤務校の近くには、日本でも有名な盆栽村があります。
現在は5園となりましたが、かつては30園以上の盆栽園があったそうです。

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

学校での盆栽教育

地域に盆栽園があり、さらに盆栽家の方が本校の卒業生であることから、学校では盆栽づくりに取り組んでいます。
低学年の子どもたちも「高学年になったら盆栽を作れる」とずっと楽しみにしています。
盆栽園や盆栽家の先生に指導を受けながら、学校としても盆栽村100周年を盛り上げていきたいと考えています。

子どもたちは低・中学年のときに近隣の大宮盆栽美術館を見学し、盆栽について学びます。地域にどうして盆栽村があるのかを知り、地域学習としています。低学年のうちから地域の盆栽について知ることで、高学年での盆栽づくりへの興味関心が自然と高まります。やがて、卒業してこの町を離れても、子どもたちが伝統文化である盆栽を誇りに思い、いろんな人にその良さを伝えていけるようになると考えています。そんな思いで今年も活動をスタートしました。私自身、盆栽をテーマにした取り組みを10年以上続けており、思い出深い一年になりそうです。

また、「盆栽委員会」という児童による委員会活動もあります。盆栽を育てる委員会がある学校は、全国的にもめずらしいのではないかと思います。委員会の児童は、毎日の水やりに加え、盆栽教室の準備、盆栽に関する掲示の作成などを担当しています。学校の特色でもある盆栽の活動を、子どもたちも誇りに感じながら取り組んでいます。

盆栽にかかわる取組

毎年、5月の大型連休に行われる「大盆栽まつり」では、児童たちの盆栽が展示されます。展示を見るために、児童や卒業生、そして保護者の方々がたくさん来場します。地域の大きな行事に子どもたちが関われることはとても意義のある経験になっています。また、盆栽のボランティアの皆さんや協力してくれる保護者の方々も、この行事に参加することを誇りに思ってくれているようです。

今年も「大盆栽まつり」に子どもたちの盆栽を展示しました。盆栽村に並べられた100鉢以上の盆栽は圧巻なものでした。

来場者の方々から、
「これは子どもたちが作ったのですか?」
「誰の指導でこんなに盆栽をできるのですか?」
「何の学習で盆栽を育てているのですか?」
など、質問が寄せられました。

皆さん、子どもたちの盆栽に興味津々です。

盆栽村100周年、そして盆栽教育20周年を迎えて

今年は、地域の盆栽村が開村100周年。そして、地域の盆栽家や多くのボランティアの方々に支えられてきた学校での盆栽教育も20周年を迎えます。6年生の児童は、「自分たちが20周年を盛り上げたい」という思いになっています。また、これから盆栽づくりに取り組む5年生は、「自分たちが小学校の盆栽づくりの20代目になる!」と誇りに感じています。

今年は子どもたちと協力していろんな活動に挑戦していきたいと考えています。例年行っている盆栽づくりや剪定作業だけではなく、各教科等でも盆栽を取り上げた学習を展開できればと構想中です。どんな活動ができるか、今から楽しみです。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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