学校現場の働き方改革(後編)
教師としての仕事は多忙です。定時退勤できることは稀で、12時間以上を学校にいる日も少なくありません。休日出勤すれば、同じように働く同僚達がいるのが当たり前。そんなとき、何が忙しいのかを考えてみますが、その忙しさの内容は毎回変わります。多岐にわたる業務が時間を圧迫しているため、一言で語ることはできません。今回は後編として、私が実践している「学校現場の働き方改革」を紹介させていただきます。
東京都品川区立学校 平野 正隆
取組①「学年だよりカレンダー」
私は今年度、教務主任をしています。
教務から職員向けに毎月出している月行事予定を見ながら、学年だよりにその予定を打ち込む同僚達の姿を見ていて、どうにか効率的にできないかと考えていました。そこで作ったのがこの表計算ファイルです。ここに、その月の行事予定をコピペして、月の始まり「1日」を入力すると、学年ごとのカレンダーになるようにしてあります。不要な行事をあとから消すだけでカレンダーが完成します。
取組②「タブレット等の活用による時間削減」
会議で配布する資料や授業で使うプリント、保護者へのお便りなどを電子化して配信することで、印刷や配布などの時間を削減することができます。この取組を行ううえで気をつけなければいけないのは、電子化によるメリット・デメリットを考える必要がある点です。教師側と児童生徒・保護者側がメリットを感じられるものについて、電子化します。
具体的な例を挙げると、私が勤める学校では、毎週金曜日の朝学習の時間に「聞き取り」というものを実施しています。教師が毎週交代制で自ら作成した原稿を放送で読みます。テーマは推理問題や料理のレシピ、防災の話など様々で、担当の教師が決めます。以前は聞き取り用のプリントを印刷し、記入後に回収、添削後に返却という手間がありました。プリントの枚数も5〜9年生に対して実施しているため、600枚程度にも及びます。しかし、児童生徒に一人一台タブレットが配備されたこともあり、それも削減することができました。児童生徒からは、手間もないし、プリントがカラーで見やすいという意見もあり、好評でした。
取組③「面談資料作成ファイル」
私の場合、「教師としてやりたい取組」にこだわりたいと思っています。その中の一つに、「面談を通して保護者と連携し、一人一人のより良い成長について考えること」が挙げられます。そのために、面談資料を作成しています。
その資料を改めて一から作成するのは、時間がかかってしまうので、普段使っている成績等を処理する表計算ファイルから自動的にデータがとぶようにしました。
一度作ってしまえば、微調整は必要であっても継続して使えます。また、同僚にも広めてみんなで活用できるようにしています。
時間的なことだけを考えれば、ここまでこだわる必要はないのかもしれません。しかし、「やりたいこと」に目をつぶって、自らのモチベーションを下げるのは私の性分には合いません。
あえて働き方改革と逆行する!?
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教務主任として出している週予定に手書きのメッセージを添えています。それはあえて働き方改革に逆行してみようと思ったからです。「一見、無駄と思えるものにもきっと意味がある」と私は思います。
多忙な日々を労る気持ちを綴ったり、授業や学級経営で生かせそうな内容を載せたりしています。時には、「ゴールデンウィークの過ごし方」など、仕事以外の話題もします。
この週予定がただの事務連絡ではなく、共に働く仲間の支えになったり、ホッとしたりする一枚になることを願って。
まとめ
「働き方改革」は、広い目・長い目で見た効果を考えつつ、自らの仕事に対するモチベーションを大事にしながら進めていかなければと思います。ただの業務削減や時間短縮でなく、みんなが働き易い環境を整えていくことだと私は思います。
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平野 正隆(ひらの まさたか)
東京都品川区立学校
研究会での実践報告や校内での若手教員育成などの経験を通して、自分の経験や実践が広く皆様のお役に立てるのではないかと考えております。大人・子どもに関わらず、「明日から頑張れそうです」「明日が来るのが楽しみです」と言ってもらえるのが私の喜びです。
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