2024.04.26
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学校現場の働き方改革(前編)

学校現場でも働き方の見直しが少しずつ進んでいるのではないでしょうか。一方で、教員の人員不足等で実際は改善された感覚がないのが現状です。だからこそ働き方改革を進め、教員みんなが働き易い環境を整えていく必要があります。今回は前編として、私が考える「学校現場の働き方改革」について紹介します。

東京都品川区立学校 平野 正隆

「働き方改革」の考え

教師としての仕事は多忙です。定時退勤できることは稀で、12時間以上を学校にいる日も少なくありません。休日出勤すれば、同じように働く同僚達がいるのが当たり前。
そんなとき、何が忙しいのかを考えてみますが、その忙しさの内容は毎回変わります。多岐にわたる業務が時間を圧迫しているため、一言で語ることはできません。また、教員の人員不足もあり、教員みんなが働き易い環境を整えていくための「働き方改革」を進めることは急務となっています。
私が考える「働き方改革」は、単純な時間や業務の削減ではありません。
大事にしているのは、みんなが働き易い環境を整えていくことです。

具体的には、
①組織全体の利益を考えること
②精神的な充実感を味わえるようにすること
③費用対効果を高くすること
です。

① 組織全体の利益を考えること

学校という組織で「働き方改革」を進めるうえで、自分だけの都合ではいけません。児童生徒や保護者、教師が長い目で見て、その恩恵を得られるかどうかを考えます。
教師にゆとりが生まれることで、児童生徒と向き合う時間や授業準備の時間がとれ、それはそのまま保護者の安心にもつながります。つまり、教師の働き方改善は、基本的には全体に良い影響を及ぼします。
しかし、自らの業務を他の教師に委託するだけだったり、児童生徒への指導やその準備を単純に削減したりするのでは、本当の意味での働き方改革は進みません。

②精神的な充実感を味わえるようにすること

仕事の内容を大きく分けてみると「教師としてやらなければいけない責務」と「教師としてのこだわり」に分けられます。
前者の責務は放棄するわけにはいかないですが、方法を変えて効率的にできないかを検討します。ICT機器をうまく活用することで、改善することも多くあります。
後者のこだわりは、「担任として自分が子どもたちにしてあげたい取組」「教務主任としての教職員への発信の工夫」「副担任としての担任への手厚いサポート」などが挙げられます。これらは、やらなくてもいい仕事かもしれません。しかし、このこだわりを実践することが自らのモチベーションを高め、結果的に精神的な充実につながります。
大事なのは無理なく続けることなので、「今年度は何を大切にするか」を毎年選択するようにしています。

③費用対効果を高くすること

たとえシステムをつくるのに時間がかかったとしても、それが継続的に使えたり、汎用性があったりすれば、その効果は高くなります。また、多くの人がそのシステムを活用すれば、統一感が生まれるといった効果も望めます。
その場限りの業務削減・時間短縮ではなく、長い目・広い目で見た働き方を考える必要があります。

前編はここで終わります。次回の後編では、私の実践を紹介させていただきます。

平野 正隆(ひらの まさたか)

東京都品川区立学校


研究会での実践報告や校内での若手教員育成などの経験を通して、自分の経験や実践が広く皆様のお役に立てるのではないかと考えております。大人・子どもに関わらず、「明日から頑張れそうです」「明日が来るのが楽しみです」と言ってもらえるのが私の喜びです。

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