新年度 最初の学級開き「担任の思い」
新しい学年・学級をもって、担任としてどんな学級にしていきたいかを初めに話します。
教師になって17年。16回の学級開きを経験しましたが、少しずつ話す内容も洗練されてきました。
今回は、私が以前担任していた学級で最初にした話を交えながら、学級開きの考え方を紹介させていただきます。
東京都品川区立学校 平野 正隆
黄金の三日間
新年度が始まってから、最初の時期を「黄金の三日間」と呼ぶのを聞いたことはありませんか。
始まったばかりの時期は、良い意味で緊張感が高く、指導が入りやすいです。だからこそ、担任としてどんな学級にしていきたいか、意思表示をしっかりしていく必要があります。
それは、決して子どもたちに押し付けるものではなく、成長していくべき姿のイメージを共有するものです。
この時期に、子どもたちに何を感じさせたかが、担任にとっても、子どもたちにとっても、1年間の土台になると思っています。
成長していくべき姿の共有
新学年になり、子どもたちは「気持ちを切り替えて頑張ろう」と思っているでしょう。
だからこそ、前向きに捉えられるような話し方で伝えます。
「〜をしない」「〜はやらない」ではなく、「〜なクラスになれたら、どう思う」と問いかけながら、共有するといいかもしれません。
共に良い未来をイメージできれば、この先に訪れる困難にも共に解決していこうとします。
話す内容を厳選する
私の場合、教員としての経験年数を重ねるごとに伝えておきたいことが増えていきました。
しかし、一方的に伝えすぎるのは逆効果でした。
何を意識すればいいのかがぼやけてしまうばかりか、押し付けている印象を与えかねません。
だからこそ、自分が大事にしたいこと、前年度に子どもたちが課題として残していることを踏まえて、3つか4つに選びます。
実践
以前、担任をしていたクラスで、最初に話した内容をここで紹介します。
①みんなでみんなができるクラスにしたい。
先生は、「自分ができること」よりも「自分と共にみんなでできること」を喜び合えるクラスにしたいです。将来、社会に出た時も、そうであると思います。できない人はできる人に助けを求め、自分もできるようになればいいのです。できる人は周りを助けることで自らの存在価値を実感してください。きっと、自分だけができるより、みんなで成し遂げたことの方が、喜びは大きいです。
②自分達で考えて動けるクラスにしたい。
何をすればいいのか、何が正しいのかを自分達で判断していけるようなクラスにしたいです。正しいと思うことはすればいいし、分からないときは友達に相談すればいいし、ダメだと思うことはしなければいいと思います。でも、本当に困ったときは相談してくださいね。
③好き嫌いを減らしていけるクラスにしたい。
食べ物のことだけではありません。嫌いなものを克服することは、幸せな生き方の秘訣だと思います。相田みつをさんの言葉に「しあわせは いつもじぶんのこころがきめる」というものがあります。学校では、給食・教科・人間関係の嫌いを克服していけたらいいですね。
④挨拶、返事が爽やかにできるクラスにしたい。
挨拶は人間関係を築く基礎だと思います。挨拶から始まる人間関係もありますし、挨拶によって続く人間関係もあります。先生も、以前担任した子に校内で会って挨拶し合います。それだけで、その関係が続いていることを実感します。朝は、寒かったり眠かったりするかもしれませんが、少しでも爽やかな挨拶ができたらいいですね。
終わりに
これまでに様々な話をしてきましたが、経験を重ねていくうちに、自分がこだわっていることが何なのかが見えてきました。
黄金の三日間、最初の挨拶で何を伝えるか、ぜひ新年度に向けて考えてみてください。
平野 正隆(ひらの まさたか)
東京都品川区立学校
研究会での実践報告や校内での若手教員育成などの経験を通して、自分の経験や実践が広く皆様のお役に立てるのではないかと考えております。大人・子どもに関わらず、「明日から頑張れそうです」「明日が来るのが楽しみです」と言ってもらえるのが私の喜びです。
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