2021.04.12
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

単学級の学級経営~4月学級開きの時期に単学級の小学校で意識したいこと~(第1回)

春休みも終わり、あっという間に新学期がスタートしました。学級がスタートするこの時期、子どもたちも先生たちもやる気に満ち溢れています。でも、私もそうですが、恐る恐るアクセルを踏みながら運転している先生もいるかもしれません。単学級(1学年につき通常の学級が1学級)の小学校で、この時期だからこそとくに意識したい点を考えました。

北海道公立小学校 教諭 深見 智一

今回から連載を担当させていただく深見と申します。これまで、小学校の単学級(通常の学級が1学年につき1学級)、複式学級(通常の学級が2ないし3以上の学年が1学級)の担任をさせていただくことが多くありました。学級経営や学級開きについては、著名な実践家がすでに数多くの書籍を出版されていたり、様々な研究会・セミナーなども開かれたりしています。

それらを単学級や複式学級にうまく応用していくこともできますが、少しニッチなテーマである単学級・複式学級の学級経営についてこのような場で取りあげ、情報提供をさせていただくことで、もしかするとどなたかのお役に立てるのではないかなと思い、連載させていただきます。どうぞお付き合いください。

4月、学級開き

この記事がアップされるのは、新年度がスタートして1週間くらいが過ぎたころでしょう。学級担任をされている先生方は、「今年は、これを大切にして指導していこう」とか「4月のうちにこれはやっておかないといけないな」という見通しをもっておられると思います。
私も、年度が替わる3月末から、新年度に取り組みたいことを少しずつリストアップしてきましたが、やることがあまりに多すぎてすでに圧倒されています。不安や慎重さから恐る恐るアクセルを踏みながら、もっと速く前に進みたいという気もちを抑えてそろりそろりのスタートといったところです。前年度の2月くらいの「今年度のゴール(終わり)が見えてきたな」という時期を早くも懐かしんでいます。

そして、今年度はこれまで何度も経験してきた単学級の担任ですが、勤務校の異動があり、様々な面でアドバンテージがない状況にもあります。私がいま何とか持ちこたえているのは、いろいろな先生に質問して、「丁寧に教えていただけている」環境に恵まれているからです。

単学級担任ゆえの負担

以前、私が行った調査で、単学級担任の先生に、「単学級担任であるゆえに負担を感じることがあるか」という質問を行ったところ、次のような結果になりました。

単学級担任であるゆえに負担を感じることがあるか?

通常の学級がすべて1学年1学級の単学級小学校には、6名の通常学級の担任の先生がいらっしゃいます。本調査の結果を単純にあてはめてみると、6名の担任のうち、3名は単学級担任の職務を「負担に感じる」と思っていて、3名はそれほど負担には感じていない、と答えていることになります。半々というところでしょうか。もう少し詳しく分析すると、負担を感じやすいと回答した先生は、初任者層(1-5年目)の先生と、1学年につき2学級以上(複数学級)ある学校から異動してきた先生が多いということが分かりました。

単学級担任の先生のなかには、「学年で足並みを揃えるということがない分、単学級のほうが楽に感じる」「自分のしたい学級経営ができる」という意見をお持ちの先生もいらっしゃいました。経験が豊富で学級経営のノウハウを十分にもっている先生は、そのように感じるのでしょう。

一方で、単学級ならではの課題として、「学年のなかで分担や相談ができず、決めたり準備したりしなければならないことが多い」「授業の進め方など前の担任にも聞くが、その先生も自分のクラスで忙しいので、時間がかかる。一人での責任もあるので、プレッシャーとなる」という負担を感じている先生もいらっしゃいます。

職員室を見渡していただける先生がいらっしゃると・・・

4月は、どの学級でも「学級開き」があり、学級づくりに力が入ります。一方で、異動があったり、校内の体制が変わったり、学級づくりと同時に校務分掌の業務も並行して行わなければならないなど、どの先生も(職員室自体が)慌ただしくなってしまいがちです。
ぜひ、ちょっと余裕のある先生がいらっしゃいましたら、職員室を見渡していただければと思います。「単学級ゆえに、負担を感じやすい先生もいるかもしれない!」という意識をもっている先生が管理職を含めて一人でもいらっしゃれば、私のように救われる先生もいるのではないでしょうか。もし、そういう先生がいることに気づかれたなら、積極的に声をかけていただき、どのクラスも良いスタートが切れる4月にできることを願っています。

次回は、単学級担任はどんなことを負担に感じているのかを取り上げたいと思います。

深見 智一(ふかみ ともかず)

北海道公立小学校 教諭


書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop