2025.04.04
  • x
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

学級開きに子どもたちに伝えたいこと

あなたは自分の教育テーマを持っていますか?
教育テーマを子どもたちに伝えると、授業中や生活指導など、あらゆる場面で一貫した教育活動を送ることができます。

沖縄県那覇市立さつき小学校 教諭 石川 雄介

4月最初に伝えたいこと

あなたは4月最初に担任の先生として何を子どもたちに伝えますか?
「みんなで仲の良いクラスを目指しましょう」「笑顔溢れる一年にしましょう」など、先生の数だけ伝えたい内容も様々だと思います。
私が最初に伝えることの中で大切なことは、「先生の教育テーマ」についてだと思います。

私はどんな大人?

私は4月最初に必ず子どもたちに伝えていることがあります。それは、「先生はどんなことを教える大人だよ」ということです。

私を例にお話をします。
私は、「先生は皆さんに【合い】の大切さを伝える大人です」と伝えています。テーマを伝える良さは、子どもたちに「先生のやりたいこと」「この先生から学ぶこと」が明確に伝えられます。
別に伝えられなくても良いのではという意見もあると思います。確かに伝えなくても日々の教育活動に何も支障はありません。しかし、このテーマが1年間とても有効に使えます。
例えば、全員で整列するときに乱れていたら、「みんなで並びを合わせる【並び合い】を目指そう」と伝えます。授業の準備が間に合わない場面があったら「みんなで声をかけて準備を合わせられる【準備合い】をしよう」と呼びかけます。このように担任のテーマに合わせた声掛けができ、子どもたちも【合い】という言葉を自然と使って学校生活を送ることができます。
実際に私の教室では、子どもたちから「書き合いだから友達の発表や必要だと思うことをメモしよう」「友達合いだから普段遊ばない人とも話をしてみよう」「姿勢合いだから必要な場面は自分から綺麗な姿勢にしよう」などの言葉が出てくるようになりました。【合い】というテーマをきっかけに主体的に活動したり、みんなで声をかけて活動し合ったりする場面が自然と生まれています。

星の数ほどの教育テーマ

最初に記述したように、先生の数だけ様々な教育テーマがあります。
「みんなで仲の良いクラスを目指す」先生であれば、テーマを「仲良し」に設定し、仲良くする良さについて伝える教育を目指せばよいと思います。「授業中に自分の考えが書けたら仲良く話し合う」「自分の掃除場所が終わったら他の人の掃除を仲良く手伝う」など、テーマに合わせた活動を様々な場面で行うことができます。
テーマが「笑顔」であれば、「みんなが笑顔になれる授業を目指すためにどうしたらよいのだろう」「笑顔で過ごせる教室を目指す」などの声かけができます。テーマが「HAPPY」であれば、「みんながHAPPYを感じられる取り組みを考えよう」「HAPPYになるために授業の準備をしよう」など、何か活動をする度にテーマに合わせて考えることができます。そうすると、担任の目指す教育と子どもたちの目指す成長像のベクトルが一緒になり、充実した学級経営を図ることができます。

芯のある教育を

テーマのある良さは「担任自身の考え方にブレがなくなる」ことです。子どもたちに「私はこういうことを教える大人ですよ」と伝えたからには、そこから逸れることがなかなかできなくなります。これをプラスに捉えると、一年間一貫した教育を行うことができるということです。担任自身の目指す児童像が自分の中で明確になり、どんな場面でもテーマを軸として日々の教育活動を行うことができます。
少し余談ですが、「こういうことを教える先生」ではなく「こういうことを教える大人」という表現をしていることにも理由があります。
子どもたちが日頃出会う大人として「家族」「親戚」「地域の人」そして「先生」が多くいます。そのどれもが子どもたちにとって先生であり、学ぶべき対象の人だと思っています。なので、「先生」も「日頃出会う、様々なことを教えてくれる大人」という意味合いを持って、上記のような表現をしています。

最後に

4月最初に先生の教育テーマを伝えるためには、まずは自分のテーマを決めなければなりません。「協力」「思いやり」「友情」「挨拶」などの道徳的な内容や、「漢字力」「計算力」「世界交流」「情報教育」などの学習的な内容も考えられます。
春休みの間に自分の目指す児童像を明確にし、「自分は何を教えたくてこの仕事に就いたのか」「学級の児童をどんな子どもたちに育てたいのか」と深い自問自答の時間を設ける必要があります。
自分のテーマを見つけ、子どもたちと同じベクトルで日々の教育活動を送れたら幸いです。


何卒

石川 雄介(いしかわ ゆうすけ)

沖縄県那覇市立さつき小学校 教諭


沖縄県の小学校教員として10年以上、子どもも担任も楽しむ学級づくりや授業づくりを研究しています。
私のモットーは「合いのある学級づくり」で、特に『思い合い、支え合い、学び合い』に重きを置いています。
また、授業や生活の中で他者尊重の心を育む仕掛けや子どもの興味を惹くアイディアを考えるのが大好きです。
効果的な掲示物の作成や子どもも担任も楽しめるアイディアなど、多種多様な教育場面について伝えていきたいと思います。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop