重さの量感は身に付きにくい?
「重さ」は、「長さ」「広さ」「かさ」と違い、ものの見かけだけでは捉えられない大きさです。
だからこそ、体験を通した量感の育成が求められます。
東京都品川区立学校 平野 正隆
3年生「重さ」(C測定)の学習
「重さ」は、「長さ」「広さ」「かさ」と違い、ものの見かけだけでは捉えられない大きさです。
そのため、大きさを比較したり、調べたりする生活経験が少ないと考えられます。
まずは、具体物を使って重さを実感しながら測定することで重さの概念を理解していくことが大切です。
量感
量感とは、計器を使わずに「長さ・広さ・かさ・重さ」といった量の大きさの見当をつけたり、ある単位で示された量が実際の物でどれくらいの大きさになるかの見当をつけたりするための、およその感覚のことです。
普段の生活で、計器を常に持ち歩いているわけではないので、量感は生活に生かすために重要な感覚となります。
では、次の量感を考えてみてください。
・A4用紙の縦と横の長さ
・郵便はがきの面積
・ノート(B5)1冊の重さ
重さの量感はつきにくい
普段の生活で重さを意識することは、長さ・広さ・かさに比べて、あまり多くないのではないでしょうか。
体重計に乗るとき、野菜を買うとき、肉を買うとき、どんなときに重さのことを考えますか。
体重だと数値で表していますが、重さの感覚にはつながりません。
野菜を買う時、「どっちのキャベツの方が重いかな」と、両手にひとつずつのせて比べたら、重さの比較にはなりますが、結局何gなのか数値は分かりません。
肉を買う時は、「牛肉●g」と表記してあるのを手にとりますが、毎回同じパックを買わない限り量感にはつながりません。
そもそも、子どもがお肉のパックを頻繁に買うでしょうか。
知り合いの教師に、ラーメン屋でアルバイトをしていた経験がある人がいます。
その人曰く、当時はラーメンの麺200gを手だけではかりとれたそうです。
しかし、辞めてからわりと日が経たずに、その感覚は薄れていったそうです。
ある学力調査問題で、「長さ」「重さ」の量感に関する問題を出したところ、正答率は長さが約7割だったのに対し、重さは約4割程度しか解けていませんでした。
長さについては、定規を日常的に使用していたり、体育で50m走をしたりしていることが、量感に結び付いていたと考えられます。
一方で、重さについては、日常生活で重さを考える経験が乏しく、「〜より重い(軽い)」と考える基準となる物がはっきりなかったのが原因だと思われます。
重さの量感を身に付ける
先ほど考えてもらった最初の2つの問題の答えです。
・A4用紙の縦は約30cmで横は約21cm
・郵便はがきの面積100 mm × 148 mmで148㎠
いかがでしょうか。あくまで量感なので、ぴったりではなくてよいのです。では、最後の問題を考えてみます。
ノート(B5)の重さは500mLペットボトルの飲料に比べて軽いのは分かります。500mLが水なら500gなので(容器の重さを入れると実際は約530g)、それ以下だと予想できます。
次に紙パックジュース200mL (容器の重さを入れると実際は約215g)を思い出して下さい。どっちが重いでしょうか。
さっきよりは悩むかもしれませんが、ノートの方が軽いことに気付く人も少なくないでしょう。学校の給食の牛乳が紙パックなら、それと比較してもいいかもしれません。「200g以下くらい」ここまでくれば、量感として充分なのではないでしょうか。かなり近い値まで来ました。正解は約120gです。
まとめ
長さと同様に、重さについても身近な物を量る活動や身近な物を想起しながら比較する活動を通して、身の回りにある物から基準をつくったり、「〜と同じくらい」「〜よりは重い・軽い」と考えながら量感を養ったりしていく必要があります。
平野 正隆(ひらの まさたか)
東京都品川区立学校
研究会での実践報告や校内での若手教員育成などの経験を通して、自分の経験や実践が広く皆様のお役に立てるのではないかと考えております。大人・子どもに関わらず、「明日から頑張れそうです」「明日が来るのが楽しみです」と言ってもらえるのが私の喜びです。
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