子どもたちの声を聴き、呼吸を合わせるー子どもと信頼関係を築く5つの方法ー(2)
前回の記事では、「子どもたちの声を聴き、呼吸を合わせる」ことの原点についてお話しました。
今回は私自身が実際に意識していることについて話します。
埼玉県公立小学校 石井 雄大
子どもたちの声を聴き、呼吸を合わせるには、どうすればよいのか。
子どもたちの声を聴き、呼吸を合わせるには、どうすればよいのか。
教師って、熱心であればあるほど、「これをしたい」と思い込んでしまいますよね。「さまざまなところで学んだことを活かしてみたい」「この子たちには絶対○○が必要だ。だから○○しなければならない…!」
その思いが子どもたちと一致してればよいのですが、そうでないときもあります。
時にそれは子どもたちとのズレを引き起こします。信頼関係がうまく構築できないこともあります。
次第に教師自身にも余裕がなくなり、学校に行くのがつらくなってくると思います。
それでは本末転倒。教師も子どもたちも大変になってしまいます。
今回は私自身がつらい経験を乗り越えて、大切にしていることを5つお話します。
1.お互いの気持ちを一致させる
まず子どもたちがどう思っているのか、何を感じているのかを把握することが大事です。
「自分がやりたい」「こうしたい」と思うことを前面に出すのではなく、子どもたちが学校生活をどう送っていきたいのかをきちんと聞くことが大事です。これは、発達段階ごとに、また、その時の実態によって違います。「〇年生だから」「この子どもたちだから」と先入観を持ってはいけません。毎年、毎日、毎時間、毎秒違うのが子どもたちです。
2.とにかく丁寧に
やることがたくさんあったり、「こうしなければならない」という思いが強いと、心の余裕がなくなります。心の余裕のなさは、やがて対応の乱暴さを生みます。子どもはよく見ていますから、次第に教師や学校のことが嫌いになります。
例えば、子どもたちが話しかけてくるとき、どのような姿勢で聴いていますか?どんなにくだらない会話でも、きちんと顔を見て話せていますか。
授業はどうですか。「前に〇年生をやったから、また…」と同じような内容にしていませんか。実態を無視した展開になっていませんか。
子どもたちは、そうした教師の些細な行動や言動をよく見ています。信頼は、些細な対応の積み重ねです。自分の基準で物事を考えないこと。教師にとっては些細なことでも、その子にとっては大きな問題だったりもします。その瞬間にしかない子どもたちとの空間を楽しみましょう。
3.ストーリーをつくる
とにかく子どもたちの文脈で考えましょう。教師の理想像は軸として持ってなければいけません。しかし、そのような理想、言い換えれば「教師の文脈」に沿わせようとしすぎると、子どもたちは離れていきます。
例えば、授業では、子どもたちが「○○してみたい!」など、子ども自身が問いを持てるような授業になっていますか。学級経営で言えば、目標や課題への必要感、達成感をつくるためのストーリーを子どもたちとつくっていますか。行事などで一方的に教師が引っ張っていませんか。大切なことは「子どもたちの文脈」でつくることです。
4.どんな相手でも笑顔で
子どもたちは毎年、毎日、毎秒違います。何をするか分からないし、何が起こるか分からないですよね。学級に手がかかる子がいると、いつもその子が気になってしまったり…
次第に責任感から、「○○すべき」と心の余裕をなくし、たくさん叱ってしまう。そして笑顔が消えていく…子どもを見る余裕がなくなってしまいます。
そうではなく、子どもたちの一つ一つの動作を楽しむことです。子どもたちの行いをどれだけ教師自身が楽しめるか。笑えるか。実は子どもたちのわけのわからなさって、その時期にしかない大切な行動だったりします。
また、時には周りを頼り、チームで対応することです。時には愚痴を言い合うことです。心の余裕をつくる努力をしましょう。
5.子どもはいつでも有能である
子どもたちは、どんな子も素晴らしい才能を持っています。教師は、常に子どもたちから可能性を引き出す存在でありたいものです。
「うちの学級の児童は○○ができない」というような言葉を、しばしば耳にします。それは子どもたちを尊敬していないことの表れです。「○○を身につけさせる」というような考えは教師側のエゴであり、本質的な教育活動とはいえません。
そうではなく、常に一緒に考え、ともに成長していく姿勢が大切です。言い換えれば、「伴走者」でなければなりません。伴走者としての姿勢が子どもたちを成長させていきます。

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