2025.10.26
  • x
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

ドキドキの1年生とのアクティビティー折り紙で育てる継続の力ー(NO.6)

2学期は行事が盛りだくさんの学校も多いことでしょう。私の勤務校でも、周年行事や展覧会があり、職員も子どもたちも充実した9月を過ごしました。一方で、気温の変化の大きさと重なって体調を崩したり疲れが出たりする様子も見られます。
自分自身も体調管理をしながら、子どもたちのエネルギーを感じ取り、無理のない学校生活を送ろうと思っています。
そんな中、最近の1年生の様子から、「継続は力だな」と思うことがありましたのでお伝えします。

特定非営利活動法人TISEC 理事 荒畑 美貴子

折り鶴への挑戦

私のクラスでは1学期から、「鶴が折れるようになること」を目標に取り組んできました。といっても、授業の隙間ができたときに、「終わった人から、鶴を折ってね」と声をかける程度の活動です。それを月に1~2回くらいの頻度で取り組んできました。

子どもたちはとても素直でやる気に満ちており、まったく折れなかったころから、「誰かに教えてもらえばできるはずだ」と信じて、友達に声を掛け合う姿が見られました。私も基本的なことは教えたものの、一人ひとり熱心に教えるようなことはしなかったので、子どもたちの力だけでは、なかなか折れるようにはなりませんでした。

ところが最近になって、ようやく折れる子どもが増えてきて、折るときのコツも分かってきたようです。すると、まったく折れずに自信を失いかけていた子どもたちも折れるようになり、クラスに活気が出てきました。

2学期に入ってからは、折り鶴のほかに、リボン結びや大豆運び(お箸を使って大豆を別の容器に移す)などにも取り組んできました。それらもできる子どもが増えてきたようです。

一般的に、アクティビティというと、「その場でできる簡単な遊び」のように受け取られることがあります。それもひとつのあり方だと思います。しかし、継続して行っていくアクティビティもあると考えています。

器用さを育てるのは、一朝一夕ではできません。折を見て活動を入れていくことで、継続が力となっていくのだろうと思います。

器用さが他の活動に効果をもたらす

数日前、算数の授業で画用紙に描いた図形を切り取る活動をしました。正直なところ、あまり器用な子どもたちではないので、時間がかかるだろうと予想していました。しかし、実際に活動を始めてみると、以前より何倍も速く、きれいに切っていることが分かりました。折り紙がもたらす成果というのは、大きいと感じました。

折り紙のほかにも、体育で身体ほぐしの活動も継続して行っています。身体の柔軟性、機敏性などを育てるのも、さまざまな場面に活かされているのだと感じています。

できることが増えた喜び

先日、子どもたちから「できるようになったことが、たくさんあるんだよね」と声が上がりました。入学してからできるようになったことは、具体的に言葉にできないことも含めてたくさんあります。しかし、それを子どもたち自身が実感できることは、あまり多くはないでしょう。

漢字が書けるようになった、計算ができた、鉄棒ができたといったことは、教師が話せば「なるほど」と思うかもしれませんが、子ども自身の口から「鶴が折れるようになった」「靴ひもも結べるよ」「初めは全然できなかったことができたよ」という声がもれるのは、とてもすばらしいことだと感じました。

静かに見守っていれば、子どもはいつかできるようになるのだということを信じ、これからもさまざまな活動を取り入れていきたいと思っています。

荒畑 美貴子(あらはた みきこ)

特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com

同じテーマの執筆者
  • 松井 恵子

    兵庫県公立小学校勤務

  • 松森 靖行

    大阪府公立小学校教諭

  • 鈴木 邦明

    帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師

  • 川村幸久

    大阪市立堀江小学校 主幹教諭
    (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)

  • 髙橋 三郎

    福生市立福生第七小学校 ことばの教室 主任教諭 博士(教育学)公認心理師 臨床発達心理士

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop