2024.01.18
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算数科「測定領域」における指導の重点

算数科の学習は、「A 数と計算」「B 図形」「C 測定(第1〜3学年)」「C 変化と関係(第4〜6学年)」「D データの活用」の5つの領域に構成されています。

「測定」の領域では、長さ、広さ、かさ、重さを扱い、保存性(動かしたり、分けたり、形を変えたりしても、大きさが変わらないという性質)と加法性(同じ種類のものを加えたり、引いたりできる性質)のある外延量を扱います。

東京都品川区立学校 平野 正隆

指導における3つのねらい

測定領域の一般的に、直接比較から導入し、間接比較、任意単位による測定、普遍単位による測定という4つの段階で学習を進めていきます。

本領域での指導のねらいは以下の3つになります。

①身の回りの量について、その概念及び測定の原理と方法を理解するとともに、量についての感覚を豊かにし、量を実際に測定すること。

②身の回りの事象の特徴を量に着目して捉え、量の単位を用いて的確に表現すること。

③測定の方法や結果を振り返って数理的な処理の良さに気付き、量とその測定を生活や学習に活用する態度を身につけること。

「小学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説 平成29年7月」より

ねらい①量概念、測定の原理・方法の理解、量感覚

授業では、身の回りのものの大きさを比べたり、実際に測定したりして、実感をもって理解できるようにします。その際、比べ方や測定の仕方を児童が見出していけるようにします。その中で、普遍単位や上位・下位単位の必要性に着目させます。その際、「長さにも共通の単位があったから、かさにもあるかもしれない」など、既習の考えとの共通点を見出しながら、単位の関係を統合的に考察していきます。

また、本領域で扱う「長さ」「広さ」「かさ」「重さ」といった外延量には加法性があります。体積は加減計算が可能であることを、活動を通して理解させていきます。

ねらい②量に着目し、単位を使って表現

身近な生活場面から学習につなげていきます。
cmやmLなどの普遍単位が使われている物を探す活動を通して、身近なものの大きさに関心をもたせたり、実際に測って調べたりします。

ねらい③学習の活用

学習で使ったものを任意の計器として活用できるようにします。
「僕のコップは2dLだから、このお椀は3dLくらいかな」といった感じで、測定領域の学習を日常生活に積極的に活用することで、算数への関心はさらに高まっていきます。
数学的な見方・考え方の芽を育て、算数を主体的に学ぶ態度の育成へとつなげていきます。

直接比較から普遍単位へ

なぜ、直接比較から段階を踏んで学習を進めなければいけないのでしょうか。それは、それぞれの考え方に価値があるからです。

兄弟で「どっちのジュースの方が多いか」「どっちのケーキの方が大きいか」を比べたことのある人も少なくないでしょう。日常生活の中でも活用する直接比較から導入することにより、日常の事象を数理的に捉えられるようにする素地を養います。

比べるものが移動できなかったり、目の前になかったり、時間が経つとなくなってしまう場合には、他の媒介物に写し取る間接比較が有効です。調べたい量を別のものに置き換える考え方は、この後の任意単位や普遍単位で数値に置き換える際に有効に働きます。

量の比較によって「置き換え」の大切さを理解すると、次に課題になるのが量の大きさの表現になります。そこで、数値化の重要性に気付きます。「東京ドーム3個分の広さ」とか「馬が2馬身差でゴールした」とか「レモン5個分のビタミンC」といったように、日常生活でも活用もされている任意単位による量の比較・表現に移ります。任意単位の学習を通して、量感を身に付けることも期待されます。自分に身近な計器を用いることで、「AのB個分」という考え方も養われます。

しかし、人によって使う単位が違えば、たとえ数値化したものでも伝え合うことが困難になり、普遍単位の必要性に気付くことができます。
このように、直接比較から段階を踏んで学習を進める意義は、それぞれに価値があり、より普遍単位の重要性を際立たせることができるからです。

・直接比較
「簡単に比べられる。でも、移動できないものは、直接比較では比べられないな」
  ↓
・間接比較
「写し取ったら移動できないものでも比べやすい。でも、長さや、かさを数字で表せたらもっと便利なのに」
  ↓
・任意単位
「量の大きさがわかりやすい。でも、みんな同じもので、はからないと伝えにくいな」
  ↓
・普遍単位
「もっと大きな(小さな)量を表す単位があればいいのに」
  ↓
上位・下位単位へ

まとめ

直接比較から普遍単位へと段階を踏んで学習を進めることで、量の概念形成や測定の原理・方法を理解することができます。また、身の回りの事象を量に着目して捉えたり、数理的な処理の良さに気付いて活用する態度を身に付けたりすることもできます。

「測定領域」の系統性を意識して、既習の考えとの共通点を見出しながら、単位の関係を統合的に考察して学習を進めていくことが大切です。

平野 正隆(ひらの まさたか)

東京都品川区立学校


研究会での実践報告や校内での若手教員育成などの経験を通して、自分の経験や実践が広く皆様のお役に立てるのではないかと考えております。大人・子どもに関わらず、「明日から頑張れそうです」「明日が来るのが楽しみです」と言ってもらえるのが私の喜びです。

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