2023.06.18
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新聞の力を活かす国語授業

小学校高学年の国語科では「新聞を読む」学習が取り上げられています。新聞の特長について学び、新聞を自分の情報源として活用できるようになることが求められています。

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

国語単元「新聞を読もう」での実践

児童に新聞の読み方を解説する高貝記者

以前、ある教科書会社の方に「どうして5年生の最初に新聞の単元があるのか。6年生の方がさらにしっかりと記事を読めるのではないか」と質問をしたことがあります。
すると、その方は、「5年生の初めで新聞の読み方を学び、その後はその力を生かしていろんな場面で新聞を活用してほしいと考えているんです」と答えました。この単元の学習をしてからが本当の新聞活用のスタートである! そう思いました。

そこで、教科書に掲載されている新聞記事資料だけではなく、実際の新聞を活用したいと考えました。普段お世話になっている地域の販売店さんにお願いし、余った新聞を提供いただくことで児童全員に同じ日の新聞を配ることができました。やはり本物の新聞を使うことで子どもたちの関心も高まると感じます。

授業当日に子どもたちに新聞を配布しました。

子どもたちは、
「本物の新聞だ!」
「ウクライナの記事が出ている!」
「写真がたくさん掲載されているね」
「記事には大きな見出しがついているね」
など、感想を述べ合っていました。

難しい活字が並んでいる新聞ですが、子どもたちは積極的にページをめくっていました。私が教師になってから「子どもたちの活字離れ」や「新聞を読まない若者の増加」という話題に接することが多かったことを思い出しますが、新聞のうまい読み方をしっかりと教えることで、そして主体的に新聞を読む経験をさせることで、子どもたちは新聞にも活字にも積極的に触れるようになると思っています。

読売新聞社・高貝記者の授業

今回も実際に新聞社から講師を招いて授業を行いました。今回講師に来ていただいたのは読売新聞社の高貝丈滋記者です。高貝記者は現在は東京本社にお勤めですが、以前は福島県のいわき支局に勤められ、東日本大震災の取材もされてきました。今でも、福島県の大熊町や双葉町などに赴き取材を続けていらっしゃいます。本年度の後半に、子どもたちと震災について学ぶ予定もあるので、ぜひ継続的に指導をいただきたいと思い、高貝記者に講師をお願いしました。

高貝記者のお話はまず新聞の読み方から。

「新聞はペラペラめくって見出しをまずは読んでみよう」

高貝記者が話すと子どもたちは少し驚いたようでした。これまでは、新聞をしっかりと読まないといけないと思っていたのが、見出しだけ見て大まかに記事の内容を理解するとよいことを教えてもらいました。そして、興味があった記事は詳しく読んでみるとよいというアドバイスをいただきました。このお話を聞き、子どもたちは新聞に対して今まで抱いていたイメージと違い、もっと気軽に活用できる資料であると気づきました。そして、これまで以上に自分から新聞を読むようになってきました。これからいろんな場面で新聞を活用していこうと改めて思いました。

スクラップ開始!

新聞活用の手始めに、週に1回の新聞スクラップを開始しました。新聞スクラップは、丸ごと1部の新聞から気に入った記事や気になった記事を切り取りノートやプリントに貼り感想などをまとめていく活動です。丸ごと1部の新聞から、しかし児童が自分で素材を選べるという新聞活用の醍醐味ともいえる活動です。

児童に新聞を配るとすぐに新聞を開き始めました。

「先生、ニュースでやっていたG7広島サミットの記事がたくさん載っているよ」
「小学生用の新聞でもG7のことがたくさん特集されているね」
「スポーツ面では写真がたくさん使われているね」
「コンビニのスウィーツの話題もあるよ」

と友達と話し合いながら、楽しそうに気に入った記事を切り抜き、ワークシートに貼っていました。

お気に入りの記事を選んだあとは、一人一台活用しているタブレットで、記事に関係のあることを調べます。ある子は、ラッコが水族館からいなくなってしまうという記事をスクラップしたので、その水族館について調べていました。また、別の子はコンビニでヒットしたスウィーツの記事を選んだので、そのコンビニについて調べていました。調べたことなどをもとに、記事について分かったことや考えたことを文章でまとめることができました。まだ、初めの段階なので簡単なスクラップですが、全員がお気に入りの記事で新聞スクラップを行うことができました。うれしそうに記事を眺めている子どもたちの様子を見てこれからどんな記事を子どもたちが集めるか楽しみになってきました。

今年度いろんな教科などで積極的に新聞活用を行って子どもたちが様々な面で力をつけていくのが楽しみです。このつれづれ日誌でも、子どもたちの新聞活用の様子を引き続き報告していきたいと思っています。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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