2023.05.20
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盆栽教育担当として

勤務校のある地域には約100年続いている盆栽村があります。
盆栽村には盆栽に特化した美術館もあり、国内だけではなく、海外からも盆栽の鑑賞に観光客の方がいらしています。

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

盆栽教育をしている学校

地域の大盆栽祭りで展示された児童の盆栽

本校の児童も身の回りに盆栽園がたくさんあるので、小さいころから盆栽に親しんでいる子がたくさんいます。低学年のころから「高学年になったら盆栽づくりをやるんだ」と楽しみにしている子も多いです。そんな盆栽に囲まれた学校で今年度から盆栽教育担当になりました。地域の盆栽園や盆栽のボランティア団体の皆さんにもたくさん協力をいただいており、皆さんの力を借りながら仕事をしていきたいと思っています。

学校には「にこにこ盆栽庭園」があります。ここにはいつも、高学年の児童全員の盆栽と職員が作った盆栽が並べられています。学校に来られる方がよく見学されていきます。また、低学年の児童も盆栽庭園の盆栽を眺めています。私自身も少し疲れると盆栽庭園に立ち寄り、ふっと一息つくことも…

「とってもよい取組ですね。すごいですね」

学校を訪問してくださった方の声。

学校には児童の「盆栽委員会」があり、委員になった児童が水やりなど、盆栽のお世話をしています。おそらく盆栽委員会があるのは日本で唯一では…盆栽委員会では、盆栽の掲示物の作成や低学年への水やり体験の実施など、子どもたちが考えた取り組みをたくさん行っています。このような学校の盆栽教育担当となり、これまでの良い伝統を受け継ぎ、そして新たな取り組みも行いながら活動を続けていきたいと考えています。

盆栽学習を教科に取り入れる

これまでも担当した学年で盆栽を素材に教科学習に取り組んできました。例えば、盆栽の新聞づくり。地域にある盆栽美術館にはたくさんの貴重な盆栽が所蔵されています。本校の児童は美術館の見学にも行きます。その見学に合わせて新聞づくりを行いました。
美術館のホームページには美術館が所蔵している盆栽のデジタルブックがあるので、まずはそのページを見て、お気に入りの盆栽を探しました。そして、その盆栽の情報を詳しく調べ、簡単な新聞にまとめることができました。
作品は盆栽美術館の展覧会に展示していただき、たくさんの方に見ていただくことができました。その後の美術館見学の後にも、さらに進歩した見学新聞を作成し、美術館に展示しました。そのような学習を通して、博学連携を進めてきました。

また、国語科の「話すこと・聞くこと」を取り上げた単元で、盆栽についてしらべたことを発表する学習を取り入れました。調べ学習では、盆栽美術館の学芸員さんと連携し、児童がインタビューする機会もいただきました。

「盆栽美術館ではどのように大切な盆栽を育てているのですか?」
「どうして、外国の方のための工夫をたくさんしているのですか?」
「美術館の魅力をどのように伝えていますか?」

など、たくさんの質問をして美術館や盆栽について学びました。
その学習の中で、子どもたちは地域の良さや特徴についてしっかりと学ぶことができました。学習発表会では、地域の盆栽美術館の特徴について友達や別の学校の先生たちに立派に発表していました。そして、盆栽について、地域についてさらに好きになったようでした。

このような学習をもとに高学年を担当する今年度はさらに盆栽をテーマとした学習を充実させていきたいと考えています。

今年度やってみたいこと

今年度は担当する5年生で毎年恒例の盆栽づくりがあります。講師は全国的に有名な、清香園の6代目である山田香織先生! NHKの盆栽番組の指導をされているほか、各地での盆栽教室を主宰されています。盆栽に関するご著書も多数あり、盆栽の魅力を伝える活動をされています。山田先生が本校の卒業生でもあることから、毎年子どもたちが直接盆栽づくりのご指導をいただくことができます。

そこで、総合的な学習の時間や国語科を通して、地域の盆栽村や盆栽について探究する学習を計画しました。

・盆栽村はどうして大宮につくられたのだろう…
・盆栽園ではどのように盆栽を育てているのだろう
・盆栽の歴史はどんなものだろう…
・盆栽園の方たちはどんな仕事をしているのだろう…
・盆栽にかかわっている方にはどんな方がいるのだろう…

など、自分の興味をもったことを調べる活動を行いたいと思っています。

地域には盆栽園がたくさんあります。盆栽園の方々にも御協力をいただく予定です。そして、これまでも御協力いただいた、大宮盆栽美術館の学芸員さんたちにも引き続き、学習の支援をお願いしています。
今年度行う学習について、子どもたちが充実した活動を行うことができ、さらに地域のことを好きになってほしいと思っています。そして、将来、この地域を離れた後でも、自分の生まれた地域のことについて誇りをもって語れるようになってもらいたいです。そして地域のことをずっと好きでいてほしいと願っています。

さあ、今年度の盆栽を取り上げた授業のスタートです。どんな活動になるか今から楽しみです。
(学習の様子は随時、この「つれづれ日誌」でご報告する予定です。)

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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