今回は、また授業実践のほうにベクトルを向けたいと思います。
今回紹介するのは、「一つの花」の授業の単元構成です。
私のこの記事を見てくださっている先生方ならご存知かと思いますが、中学年の文学教材単元において必要な力は「批評・評価する」力だと考えています。従って、各単元における言語活動も「批評・評価する」力を育成できるようなものにしなければならないと考えています。
しかし、国語の授業において、言語活動が画一的になったり、形骸化したりして、児童は、「また新聞づくりだって…」というような気持ちをもってしまうことに繋がっているのが現状ではないでしょうか。若しくは、児童の意欲を削ぎ落とさぬよう、「感想を書く」ということを単元のまとめにもしてしまいがちです。しかし、それでは、何の力を育成できたのかを児童はもちろん教師自身も見取ることができません。
つまり、中学年の言語活動には、児童の意欲を削ぎ落とさずに批評・評価する力を育成できる要素がなければならないと考えます。
そこで、私は、児童の意欲を削ぎ落とさないように心理学的知見を援用することにしました。詳細は紙幅の都合で避けますが、①知的好奇心②有能さへの欲求③向社会的欲求ーーの3点を満たすような言語活動であれば、児童の意欲も削ぎ落とさないのではないかと考えました。これを具体的に「一つの花」に照らしてみて考えると、最終的な言語活動は、「あなたが作者ならどういう題名をつけるか」ということにしました。
ここには、
①知的好奇心の中の「挑戦性」を促すために単元当初に批評・評価することの意義を説明し、そのために今回は「題名」をつけるという課題を設定したことを明示する。
②有能さへの欲求を満たす条件として、目標を明確化させ、持続的な努力を促すために、単元当初に一度「題名」付けを体験させ、このままではできないことを実感させる。
③向社会的欲求を満たす条件として、クラスの友だちのためにという意識をもたせるために、「題名」だけを考えさせた上で、カテゴリー別にグループを編成し、学び合いをしながら根拠や理由を考えていく場を設定する。
という条件をつけています。
もちろん、これが正解というわけではありませんが、心理学的な知見からどういう条件をつけるとよいかというときの一つの助けになると思います。詳しくは単元構成を付けていますのでご覧ください。

川上 健治(かわかみ けんじ)
明石市立高丘西小学校 教諭
クラスの全員が楽しく学び合い「分かる・できる」ことを目指して日々授業を考えています。また、様々な土台となる学級経営も大切にしています。
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