2022.08.13
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教え子と会って・・・

これまで教員生活24年間でたくさんの子どもたちと出会いました。大まかに計算してみると800人近くの子どもたちと一緒に学習をしてきました。

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

急なメール

M君と過ごした小学校

小学校の教員になることを夢見て勉強をしていたころは、たくさんの子どもが自分のもとを巣立っても、時折私のところを訪ねてきてくれるのだろうと思っていました。しかし、予想していた通りにはならずに、卒業させた子どもで私のことを訪ねてくる子はほとんどいません。時々風の便りで近況を聞く程度です。
周りの先生の中には、たくさんの教え子がひっきりなしに訪ねてくる方もいます。私の場合にはそのようにはならずに少々残念に思うこともありました。しかし、私は今受け持っている子どもたちとのこの1年1年を大切にしていけばよいと思いながら教員生活を送ってきました。

そんな中、11年前に担任した教え子M君から学校にメールが来ました。突然のことにおどろきましたが、M君のことは大変よく覚えていました。
それは、担任していた時にちょうどあの東日本大震災が起こったからです。今でもその日のことははっきりと覚えており、クラスの児童の顔もすぐに浮かんできます。
また、その頃、今の前の指導要領に「新聞活用」が大きく取り上げられたため、いろんな新聞社さんが授業を取材に来てくださり、たくさんの取組を行いました。子どもたちといろんな授業に取り組んだので、記憶に残っています。

M君は現在、大学に進学し教職課程を取っているとのことでした。そこで、教師の仕事について話を聞きたいということでした。久しぶりに当時のことなどを話し、懐かしい気持ちになりました。

教え子と会って・・・

教え子と会って、私も小学校の担任をしてくださった先生を思い出しました。5年・6年と担任をしてくださり、また、少年サッカーの監督もしてくださったS先生です。S先生には大変お世話になりました。国立競技場に何度もサッカーを観に連れて行ってもいただきました。今では考えられないことです。本当にたくさんの思い出が残っています。

しかし、小学校を卒業してから、近くにその先生がいるのですがほとんど会いに行くことはありませんでした。また、クラスの同窓会があっても先生とあまり話をすることもありませんでした。
先生からは今では考えられないような厳しい指導もしていただいていたこともあり、思春期を迎えていた私は先生に反発をしていました。何度かお会いする機会があったのですが、ほとんどお話をした記憶がありません。

そんな私でしたが、教職を目指すようになり、S先生から先生の仕事について聞いてみたいと思うようになりました。連絡を取ると快く時間を作ってくださいました。先生と昔のことや先生の仕事について話をして、懐かしい気持ちになったことを覚えています。
そして、私が教師になったら先生からいろんなアドバイスをいただきたいとも思いました。しかし、その数日後S先生はお亡くなりになりました。海の事故でした。先生がなくなったというお話を聞いた時に、夢でも見ているかのような気持ちになったことを覚えています。結局、久しぶりに先生と会い、教職について話をしたのが最後になってしまいました。

「今、ここ」を大切に・・・

先生の死後、教師になった私は、時々先生のことを思い出すことがあります。夢を叶えて教職の道に進みはしましたが、厳しい出来事も多くありました。というより、厳しいことの方が多かったとも思います。
そのようなことをぜひS先生に話し、先生からいろんな助言もいただきたかったと今でも思います。それができないのが残念でなりません。S先生の亡くなった夏休みを迎えると毎年そんなことを考えます。

私も教員経験年数でいえばS先生と教員経験でほぼ並びました。しかし、自信をもって「一人前になりました」とは言い難い状況です。毎日のように新しい課題が生まれて、GIGAスクール構想の進展など、新しい流れの中でもがいている状況です。さらに、精進をしてがんばっていかなければならないと感じています。

そして、先日会った教え子から学びましたが、一番大切なのは、その時に受け持っている子どもたちとの時間を大切にしていくことです。
今という時間は今しかありません。あとから振り返っても戻ってはこないことに改めて気が付きました。そのことを意識して子どもたちと接していきたいと思います。

教え子のM君と会って、いろんなことを考えさせられました。そして、時間は確実に流れていること、そしてそれでも私は教師という仕事が好きで今でもがんばっていられていることは幸せなことだと感じます。
これまでかかわってきた800人近くの教え子も、どこかで自分らしく一生懸命にがんばっているのではないかと思います。あまり会う機会はありませんが、いつでも私は教え子たちの応援団であると思ってやってきました。これからも変わりません。
そして私も今受け持っている子どもたちのために全力でがんばろうと改めて思いました。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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