2022.07.30
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

今年も博学連携で授業づくり!

勤務校のある地域にはさいたま市の伝統産業の一つである盆栽を育てている盆栽園が多く集まる盆栽村があります。そして、盆栽村には大宮盆栽美術館があり、日本中から、いや世界中から盆栽の見学に人々が訪れています。

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

地域の大宮盆栽美術館と連携

大宮盆栽美術館の様子

勤務校では高学年で盆栽づくりが行われるなど、盆栽教育が学校の特色になっています。その活動をさらに発展させるために、現在指導している3年生でも盆栽を取り上げた活動を行っています。3年生では地域学習として盆栽美術館を取り上げ、盆栽だけではなく美術館のよさについても学習しています。
今回は、国語科と社会科の教科連携を行い、社会科で盆栽美術館の見学をし、さらに国語科の時間を活用して、美術館の仕事や美術館の良さについて調べ、発表する活動を企画しました。

大宮盆栽美術館の学校連携を担当する学芸員さんも、学校との連携をどのようにしていくかを模索しておられました。これまで社会科見学や校外学習での小学生の児童が見学に来ますが、その学習をどう発展させて良いのかということが課題だとおっしゃっていました。
そこで、学芸員さんとも連携を密にし、連携して授業づくりを行うことにしました。前任校のころから大宮盆栽美術館に児童の作品を展示していただいたり、個人的にも盆栽のことを指導していただいたりしてきたため、学芸員さんとも連絡を取りやすく、授業への協力をいただくのも大変スムーズでした。

「ぼんさい新聞」をつくる

今年度も児童と10月に大宮盆栽美術館を見学します。そこで、事前学習として「ぼんさい新聞」づくりを行いました。
美術館にはウェブページがあり、所蔵されている盆栽の紹介を見ことができます。3年生では国語科で図鑑などから調べたいことの情報を得る学習があります。その一環としても、また社会科の校外学習の事前学習としても生かせると考えました。

児童は、美術館のウェブページからすぐに自分のお気に入りの盆栽を見つけました。学校で盆栽教育を行っており、高学年で盆栽づくりをしているのを見ているため、児童の中で盆栽は特別なものになっているようです。

児童は、
「先生、私はこの1000年生きている盆栽にしました」
「先生、とても色が素敵なのでこの盆栽にします」
「この盆栽は竜の頭みたいになっていてかっこいいからこの盆栽を新聞に書きます」
と、うれしそうに話していました。そして、お気に入りの盆栽の特徴について新聞にまとめていきました。

新聞づくりでは、まず自分が選んだ盆栽の解説を読み、新聞シートに絵を描きます。盆栽によって個性があり、様々な特徴があるのでそれをわかりやすく描くようにさせます。
その後、選んだ盆栽についての記事を書きます。記事は①盆栽を選んだ理由②盆栽の紹介(盆栽の種類・盆栽の大きさ・推定樹齢など)③盆栽を見た感想ーーで構成しました。新聞づくりは初めてなので、簡単な内容にしています。最後に見出しとして、選んだ盆栽の魅力がたっぷりと伝わる見出しを考えさせました。

見出しの例では、
「竜のような形の『青龍』(せいりゅう)」
「葉の形がかっこいい五葉松」
「1000年も生きている盆栽『轟』(とどろき)」
等、盆栽の魅力を伝えることができていました。

作成したぼんさい新聞は大宮盆栽美術館の夏の子どもたち対象の展示会で展示をしていただきます。多くの方に子どもたちの作品を見ていただきたいと思っています。そして、児童や保護者の方にも盆栽について関心を高めてもらいたいと思っています。

これから学習を広げて

これから、2学期には地域学習の一環として、大宮盆栽美術館の見学を行います。これまでは、単に美術館のたててくださったメニューに従って見学するだけでしたが、その見学をもとに、さらに児童が課題を立てて調べる活動を取り入れていきたいと考えています。
具体的には、盆栽美術館を見学してから児童と一緒に問いを立てます。その問いとは、「盆栽美術館では盆栽のすばらしさを伝えるためにどんな工夫をしているか」です。そして、その問いに対する答えを見つけるために児童が自分たちの課題を立てて調べ学習に取り組みます。

調べ学習には盆栽美術館の学芸員さんに全面的に協力をいただきます。これまで連携をして取組を行ってきたので、こちらの期待に応えてくださいます。大変ありがたいです。児童は学芸員さんにインタビューをして、あるいは資料を提供してもらって、その資料を基に盆栽美術館の良さを発表します。

この授業はさいたま市の教育研究会の研修大会で公開する予定です。きっと多くの先生方が参加してくださると思います。大宮盆栽美術館の学芸員さんも、これから多くの学校と連携して取組を行っていきたいという考えをお持ちのようです。
そのためのヒントとなればと考えています。そして最終的にはさいたま市の子どもたちが地域を愛し、誇りを持てるような学習を行いたいと思っています。この取り組みについて、今後も連続して実践報告をさせていただきます。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop