2022.06.11
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教材研究に博物館・美術館を使う

ここ数年間、私の趣味に博物館や美術館見学が加わりました。

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

授業の充実をさせたい

埼玉県立近代美術館外観

これまで、自分が関心のある企画展や特別展が行われる時や、学校の校外学習の下見などで訪れる他はあまり博物館に行くことがありませんでした。まして、美術館にはほとんど行くことがありませんでした。
しかし、昨年、3年生の社会科で「昔のくらし」を学ぶ際に、教材研究で博物館を回るようになったり、図工の指導の参考に作品を鑑賞に行ったりしたことをきっかけに、博物館や美術館を頻繁に訪れるようになりました。

博物館や美術館を訪れると、もちろん自分自身が学習できますし、好奇心にもかられます。それと同時に、授業へのヒントを得ることができます。
最近の博物館では、展示物を写真に撮ってもよいものが多くなったので、そのまま授業の差材として使えることもあります。教科書の内容をさらに詳しく教えるためのヒントがたくさん隠れています。

博物館・美術館で学ぶ

<埼玉県立近代美術館>

北浦和にある埼玉県立近代美術館によく訪ねます。以前は、自分の子どもたちと一緒に美術館のワークショップに参加していました。美術館の先生が工夫を凝らして、子どもたちの造形意欲を高める様子を見ながら、授業にも生かしてきました。
最近では常設展を何度も見学し、絵画を中心に鑑賞しています。そして、その画家がどんな人生を送り、その絵を描いた時にどんな状態にあったのかなどを考えることで、絵について深い想像ができるようになりました。
絵画の写真撮影も可能になっているので、いくつか心に残った絵画を児童にも見せて感想を聞くようにしています。歴史的な、しかも一流の画家が描いた絵画が身近で鑑賞できるのは大変うれしいです。

<埼玉県立歴史と民俗の博物館>

有名な大宮公園の敷地に県立の「歴史と民族の博物館」があります。ここでは、年に数回行われる企画展や、日本の古代から現代までを概観できる常設展があります。企画展を見学すると常設展も一緒に見学できるのでいつもセットで見学をしています。
企画展では、担当した学芸員さんの解説が数回行われます。その解説を聞いたうえで見学すると大変よく展示の内容を理解できます。いつも解説を聞いてから見学しています。
また、常設展では社会科の授業で扱う内容が多く展示されているので、教材研究としても活用できます。特に、現在担当している3年生で学習する昔の道具類の展示が大変充実しています。写真撮影をすることもできるので、私自身が勉強をしながら、授業で使う素材集めもしています。

<さいたま市立博物館>

市内にはたくさんの市立博物館がありますが、その中でも特にさいたま市立博物館の展示が充実しています。さいたま市に関する郷土資料が常設展で展示してあるほか、年に何度か企画展が行われ、さいたま市や埼玉県に関する展示が行われます。
ここでも、担当した学芸員の方から展示の解説を聞きながら展示を見学するようにしています。これまで知らなかった市内の歴史について理解でき、授業でも取り入れたくなってきます。

<大宮盆栽美術館>

さいたま市は盆栽で有名です。市内には(勤務校の学区ですが)盆栽村があり、その中に大宮盆栽美術館があります。市内の児童は市の代表的な施設として美術館を見学したり、さいたま市の伝統的な産業である盆栽を学んだりしています。
盆栽美術館の学芸員さんは、博学連携に大変熱心で、子どもたちの対象のイベントや講座などをたくさん実施してくれています。私の勤務する学校でも校外学習で見学に行きます。そこで、私自身も美術館を頻繁に訪ねて盆栽について学んでいます。そして、見学に行く事前学習についてのヒントをいただくほか、ある盆栽の季節の移り変わりを写真に収め、掲示板に掲示して児童に見せています。

<さいたま市立漫画会館>

さいたま市には明治から昭和にかけて活躍した漫画家である北沢楽天の寓居跡があります。そこに、漫画会館が設置されています。普段は北沢楽天関係の展示が行われていますが、年に数回企画展で様々な漫画家の展覧会も行われています。
児童が使用する教科書でも5年生の国語の学習で漫画を取り上げた教材があります。そこで、教材研究として、漫画についても勉強しています。

授業づくりに生かしていく

美術館や博物館には授業に生かせる素材がたくさん隠れています。自分自身の楽しみにもなるので、趣味と実益を兼ねられます。これから博物館や美術館で学んだことを生かして授業づくりをしていきたいと思います。
例として、社会科で3学期に「昔のくらし」の学習があります。そこでは昔の道具の写真資料をたくさん掲示して児童が興味関心を高められるようにしていきたいと思います。博物館には昔の道具がたくさん展示されていますので、その写真を活用したいと思います。もちろんできるだけ本物のものを見学できるようにしていきますが、そのための準備をとして資料を活用したいと思います。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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